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マンションを売却した後には、確定申告が必要なことがあります。
また、申告不要であっても、申告することで節税になることもあるのです。
しかし、会社員の場合、普段は確定申告をしないという方がほとんどでしょう。必要書類や申告の流れなど、分からないことが多いと戸惑ってしまいますよね。
今回の記事では、マンション売却後の確定申告について解説します。
令和5年度(2024年)申告分の必要書類や提出方法をご紹介しますので、今年申告予定の人も是非ご覧ください。
目次
1. マンション売却後の確定申告に関する基礎知識
まずは、マンション売却後に行う確定申告の基礎知識についてご説明します。
マンション売却後、確定申告が必要なケース
そもそも、マンションなどの不動産売却をしたら必ず確定申告しなければならないのでしょうか。
結論としては、基本的に確定申告はするべきです。
しかし、必ずしなければならない場合と、必要ではないけれど確定申告した方が良い場合があります。
確定申告が必須なのは、売却して利益が出た場合です。
売却(譲渡)によって生じた所得のことを「譲渡所得」といいます。
譲渡所得は課税対象になるので、必ず税務署に申告して、税を納めなければなりません。
利益(譲渡益)に応じて、所得税や住民税が課せられます。
なお、譲渡所得にはさまざまな特別控除制度があります。
控除が適用された結果、譲渡所得税額が0円になるという方もいるでしょう。
しかし、その場合でも確定申告をしないと特別控除が適用されないので注意してください。
確定申告を怠ると、税務署からペナルティが課されて、本来の税額よりも多く支払うことになってしまいます。
マンション売却後、確定申告すると節税になるケース
マンションを売却したけれど損失が出たという方もいるでしょう。
譲渡所得がマイナスの場合は、確定申告は不要です。
マンションを売ったのにマイナスになるとは、どういうことなのでしょうか。
まずは、譲渡所得の計算方法からご説明します。
譲渡所得は、下記の方法で計算できます。
譲渡所得=譲渡価額-譲渡費用-取得費
譲渡価額とは、売却代金の総額になります。
売却代金以外に未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合には、その額も含めましょう。
譲渡費用とは、仲介手数料や契約書に貼った印紙代など、譲渡する際に発生した費用のことです。
取得費とは、売却したマンションを取得したときにかかった費用です。
マンションの購入代金だけでなく、登録免許税や不動産取得税、仲介手数料や登記依頼費用なども含まれます。
ただし建物の代金については、建物減価償却費相当を差し引いたものになるので注意しましょう。
取得費が分からない場合は、譲渡価額の5%で概算します。
参考:取得費となるもの
このように、譲渡所得を算出するには購入代金や当時かかった諸費用を使用するため、場合によってはマイナスになることもあるのです。
譲渡所得がマイナスになった場合を「譲渡損失」といいます。
譲渡損失であることを確定申告することによって、「損益通算」や「繰越控除」などの制度を利用できることがあります。
損益通算とは、同年中に生じた利益と損失を相殺する制度のことです。
譲渡損失があると、その年の他の所得から損失分を引くことができる場合があり、結果的に所得税や住民税などを節税できます。
繰越控除とは、損失が大きくてその年だけでは相殺できない場合、翌年以降に繰り越して控除される制度です。
適用されるためには様々な要件があります。詳しくは下記の記事でも解説しています。
要件を満たしているのなら節税効果は大きいため、確定申告をする方が良いでしょう。
申告の時期
確定申告は、いつやっても良いものではなく、申告時期が決まっています。
マンション売却後の確定申告は、売却の翌年2月16日から3月15日の間に行います。2023年中に売却した場合、2024年(令和6年)2月16日(金)から3月15日(金)までが申告期間になります。
例えば2024年1月5日に売却をすると、確定申告は2025年中に行う必要があります。
時期を間違えないようにしましょう。
後ほどご説明しますが、確定申告時には様々な書類が必要になります。
直前に焦らないように、早めに準備をすることが大切です。
申告の方法
確定申告は、お住まいの地域を管轄する税務署に対して申請します。
1年間の間に引っ越しを繰り返している場合、確定申告をする時点で住んでいる地域になります。
申請方法は、以下の3つです。
ご自身がやりやすい方法で申請しましょう。
- ● 税務署へ持参
- ● 税務署へ郵送
- ● e-taxでのオンライン申請
申告期間中、申告会場などで相談することもできます。
事前予約が必要な場合や、相談可能日が限られている場合があるので、事前に税務署HPや電話などで調べてから行く方が確実です。
また、申告する際には国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用することをおすすめします。
郵送や持参の場合でもこちらを使用して作成・印刷することができて、e-taxであればそのまま送信までできます。
画面の案内に従って入力をしていくだけなので、確定申告書をすべて手書きするよりもずっと分かりやすいです。
計算も自動で行われるので、計算間違えの心配もありません。
また、国税庁の作成したこちらのページでは確定申告についての公式説明動画を視聴できます。
パソコンまたはスマートフォンからの申請方法についても動画説明されています。
確定申告の大まかな手順を理解できるので、確定申告のイメージが沸かない方は視聴してみてください。
2. マンション売却後の確定申告における必要書類
次に、マンション売却後の確定申告で提出する書類についてご説明します。
基本の必要書類
まずは、税務署に提出する書類を見ていきましょう。
【基本の提出書類】
書類名 | 取得場所等 | |
---|---|---|
確定申告書(B) 「申告書第一表、第二表」 「申告書第三表(分離課税用)」 |
税務署または 税務署ホームページ |
確定申告書等作成コーナーで 入力・印刷(またはe-taxで送付)可能 |
譲渡所得の内訳書 (確定申告書付表兼計算明細書) |
税務署または 税務署ホームページ |
確定申告書等作成コーナーで 入力・印刷(またはe-taxで送付)可能 |
戸籍の附票または 住民票の除票の写し |
役所 | 売却の契約締結日前日において、 住民票に記載されていた住所と 売却マンションの所在地が異なる場合に必要 |
マイナンバーカード | マイナンバーの記入が必要なため | |
本人確認書類 | 郵送の場合は写しを添付 | |
源泉徴収票、 社会保険料控除証明書等 |
申告に必要な書類 |
なお、譲渡所得に関する特例を利用する場合は、別途提出する書類があります。
その書類については、後ほど解説します。
次に、確定申告書や内訳書を作成するために必要な書類を見ていきましょう。
【申告書等作成のために必要な書類】
書類名 | 取得場所等 | |
---|---|---|
マンション売却時の売買契約書 | ご自宅にて保管 | |
マンション売却時の費用に関する 領収書等 |
ご自宅にて保管 | 譲渡費用の計算に使用できるもの。 登記費用・印紙代・仲介手数料など。 |
マンション購入時の売買契約書 | ご自宅にて保管 | |
マンション購入時の費用に関する 領収書等 |
ご自宅にて保管 | 取得費の計算に使用できるもの。 登記費用・印紙代・仲介手数料など。 |
マンション購入時の売買契約書や費用に関する領収書等を無くしてしまったという方は、取得費は売却費用の5%で概算します。
特例の適用を受ける場合の提出書類
次に、譲渡所得に関する特例控除を利用する場合の提出書類について見ていきましょう。
「居住用財産を売却した場合の3,000万円控除の特例」については、原則、先ほどご紹介した基本の提出書類だけで問題ありません。
また、売却したマンション及び買い換えたマンションの登記事項証明書は、法務局で取得できます。
登記事項証明書は「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」を添付することで省略可能です。
- 居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例
- ● 基本の提出書類
- ● 売却したマンションの登記事項証明書
- 特定の居住用財産を売却した場合の買換え特例
- ● 基本の提出書類※1
- ● マンション売却時の売買契約書の写し
- ● 売却したマンションの登記事項証明書
- ● 買い換えたマンションの売買契約書の写し
- ● 買い換えたマンションの登記事項証明書
- ● 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し又は
既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類※2
※1 売却前10年以内に、住民票へ記載されていた住所を異動したことがある場合も、戸籍の附票か住民票除票の写しが必要。
※2 買換資産が築25年を超える中古住宅である場合
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- ● 基本の提出書類
- ● 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》※3
- ● 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
【租税特別措置法第41条の5用】※3 - ● マンション売却時の売買契約書の写し
- ● 売却したマンションの登記事項証明書
- ● 買い換えたマンションの売買契約書の写し
- ● 買い換えたマンションの登記事項証明書
- ● 買い換えたマンションの住宅借入金等の残高証明書
※3 確定申告書等作成コーナーで入力・印刷(またはe-taxで送付)可能。
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- ● 基本の提出書類
- ● 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》※4
- ● 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
【租税特別措置法第41条の5の2用】※4 - ● マンション売却時の売買契約書の写し
- ● 売却したマンションの登記事項証明書
- ● 売却したマンションに係る住宅借入金等の残高証明書
(譲渡契約締結日の前日のもの)
※4 確定申告書等作成コーナーで入力・印刷(またはe-taxで送付)可能。
なお、人によっては追加書類の提出が必要な場合もあります。
書類の詳細や他の特例を利用する場合については、税務署の「令和5年分申告のしかた」をご確認ください。
3. 申告の流れとよくある質問
最後に、申告するまでの大まかな流れとよくある質問についてご説明します。
確定申告の流れ
確定申告の流れは、このようになっています。
- ① 適用される特例控除を確認の上、必要書類を用意する
- ② 譲渡所得の内訳書を記入する
- ③ 各申告書を記入する
- ④ 必要な添付書類と共に税務署へ提出する
ポイントは、最初に申告書ではなくて内訳書を記入するところです。
なお、確定申告書等作成コーナーを利用する場合、画面の表示に従って入力すれば②と③は完成します。
申告書の手引きには事例別の書き方がありますので、確認しながら記入してみましょう。
よくある質問
マンション売却後の確定申告でよくある質問にお答えします。
マンション購入時に土地と建物の価格が分かれて記載されていない場合、取得費はどうやって計算する?
取得費の計算をする際、建物については減価償却費相当額を差し引く必要があります。
しかし、マンション購入の場合、売買契約書には土地と建物まとめての価格しか記載されていないこともあります。
建物の価格がいくらだったのか分からないときは、どうやって計算すれば良いのでしょうか。
申告書の手引きによると、土地と建物の価格が分かれていないときは以下の計算式を使用して良いということになっています。
①新築マンションの場合
売却した建物の建築年に対応する「建物の標準的な建築価額表」の建築単価×専有部分の床面積=建物の取得価額
②中古マンションの場合
売却した建物の建築年に対応する「建物の標準的な建築価額表」の建築単価×専有部分の床面積-その建物の建築時から取得時までの経過年数に応じた償却費相当額=建物の取得価額
「建物の標準的な建築価額表」は、令和5年分については申告のしかた41ページに記載されています。
この方法で算出した建物取得価額に、所定の償却率や経過年数などを掛けて、減価償却費相当額を計算しましょう。
申告するのを忘れてしまったり、期限を過ぎてしまったりした場合はどうすれば良い?
期限内に確定申告をできなかった場合は、できるだけ早く申告してください。
参考:確定申告を忘れたとき
なお、期限を過ぎると無申告加算税が課されることがあります。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じた金額です。
税務署からの調査を受ける前に自主申告をした場合は、5パーセントの割合を乗じた額になります。
自分で確定申告するのが難しいときはどうする?
売却に関する特例控除はさまざまですが、どれも要件が定められています。
併用できない特例も多いです。
そのため、どの特例を適用するのが一番良いのか分からないという方も多いでしょう。
また、確定申告書類には専門用語が多いです。
税務署へ相談するという方法もありますが、そもそも作成する時間がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合は、税理士に依頼をすることで代わりに確定申告をやってもらえます。
報酬を支払う必要はありますが、ミスなく確定申告を完了することができます。
税理士によっては節税のためのアドバイスなどをしてもらえることもあるようです。
税理士によって得意分野も違います。
せっかくなら、譲渡所得に関する確定申告が得意な税理士にお願いできるとより安心ですね。
まずはお近くの税理士を調べてみましょう。
4.まとめ
今回の記事では、マンション売却後の確定申告に関する基礎知識や、必要書類について解説しました。
必要書類のほとんどは、ご自宅に保管されているものになります。
将来的に、現在住んでいるマンションを売却したり買い替えたりするという方もいるでしょう。
売買契約書や領収書などは、無くさないよう大切に保管をしてください。
また、確定申告での主な作業は、申告書と譲渡所得内訳書の作成です。
税務署の手引きには事例別の記載例もありますが、実際に記入してみると分からないことが出てくることも考えられます。
場合によっては、税務署へ相談することになるかもしれません。
申告期間は限られているので、余裕を持って作成することが大切です。
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