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住まいサーフィン編集部

ユニット工法住宅の魅力と最新トレンド

2024年07月17日

更新日最終更新日:

ユニット工法住宅

日本では地震が多く、住まいの安全性を不安に思ってはいませんか?
実は、60年後も再利用できるほどの丈夫な家があります。それが「ユニット工法住宅」です。

今回の記事では、耐震性が高く、快適な住まいであるユニット工法住宅がどのようなものかご紹介します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. ユニット工法住宅の基本

ユニット工法住宅2

ユニット工法住宅とは

ユニット工法住宅は、住宅の一部分(ユニット)を工場で製造し、現場で組み立てる方式です。プレハブ住宅の一種となっています。プレハブと聞いて簡易的な建物に思う方もいるかもしれませんが、ユニット工法は住まいに特化した優れたプレハブです。外観もスタイリッシュな種類が出ており、人の目を引くことでしょう。

ユニット工法の種類

ユニット工法は使用される素材によってさまざまな種類があり「鉄骨ユニット工法」や「木質系ユニット工法」があります。

鉄骨ユニット工法は、鉄骨の枠組みで作られたユニットです。鉄骨ユニット工法には2つの種類があり、柱・梁などを軽量形鋼で構成し壁・床パネルを張りつける軸組方式と、外壁パネルで構造耐力を持たせるパネル方式があります。

木質系ユニット工法は、木質系の素材に防腐や白蟻防止の処理を行ない部材・パネルで作られたユニットです。

ユニット工法のメリット

ユニット工法は、従来の在来工法に比べて、多くのメリットがあります。

広い空間が造りやすい

ユニット工法を使用すれば、大空間・大開口を実現できます。柱と梁で外力に対抗する構造のため、室内に構造を支える壁などが少なく、広々とした一体空間が作ることができます。広々としたLDKにしたい方などの希望を叶えることでしょう。

品質が一定に保たれる

品質のばらつきがないことは、ユニット工法の大きなメリットです。ユニットは工場の規格通りに製造されるため、職人による腕の差がなく品質が一定しています。施工不良のリスクも少なく安心です。
また、天候に左右されることがないため、雨によって材料が痛むこともなく、悪天候によって作業が進まないこともありません。安定した品質のユニットを効率的に生産することができます。

現場での工事期間が短い

家の80%が工場で製作されるため、現場での作業が短縮されます。よって周囲への騒音や粉塵などの環境への影響も軽減することができます。
組み立てにかかる時間は約1日であり、その後は職人の手により数か月ほどで家が完成します。

耐震性・耐久性に優れている

地震の多い日本では特に魅力的なのが、耐震性・耐久性に非常に優れていることです。
ユニット工法は高層マンションでも使われているラーメン構造と同じものであり、耐震性・耐久性に優れています。ユニット工法は箱型になっているので、地震が起きた際に一部に極端な負荷がかかることなく、建物全体で衝撃を吸収・分散します。また、ラーメン構造は柱と梁が溶接で一体化されているので、通常の柱と梁は金物やボルトで接合している方法よりも格段に地震に強いです。

ユニット工法のデメリット

魅力的なユニット工法住宅ですが、デメリットもあります。

建築できない土地がある

クレーン車でユニットを運び、組み立てるため、家を建てる土地に十分な広さがあることが条件になってしまいます。また、近隣の道路がクレーン車が通れるような幅でなければいけません。

間取りに制限がある

箱を積み上げて作る工法のため、間取りに対する自由度は低いです。注文住宅にこだわりがある方には向いていないかもしれません。
また、工場で生産されるため、途中での間取りの変更は困難です。

リフォームが難しい

ユニット住宅は、構造上リフォームすることに制約が多いです。増築といったユニットを追加するリフォームは可能ですが、構造をいじるようなリフォームは困難です。
地域のリフォーム業者に頼むことはできないことが多いでしょう。建築したハウスメーカーにお願いするとコストもかかるでしょう。
ユニット工法はリフォームに制限があります。

建築費用が高め

現場での作業が少なく人員削減ができるため、コストダウンできるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、費用は割高です。
鉄骨を使用した鉄骨ユニット工法では、一般的な建築で使われる木材よりも、鉄は断熱性や錆びなど鉄の弱点をカバーするため高機能な部材が必要となります。そのため材料費が高額となってしまう傾向があります。

外観や内装の自由度は低い

外観の種類は増えていますが、メーカーによってばらつきがあります。
また、ユニットは規格化されているため、デザインや素材を決まったものから選択することになります。外装・内装ともに木造の工法と比べると種類が多くあるわけではないので、こだわりのある方は満足しない可能性があります。

ユニット工法住宅の割合

国土交通省 建築着工統計によると、令和6年5月の新設住宅着工数は65,882戸であり、その内プレハブ新設住宅(ユニット工法住宅)は7,675戸です。よって、全着工新設住宅に占める割合は約11%になります。ユニット工法住宅は、全体的に見ると新築建設の割合は多くありません。
※国土交通省HP参照:https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001238.html

ユニット工法住宅が新築建築に多く採用されない理由は、日本は木造建築が主流であったり、ユニット工法を採用しているハウスメーカー自体が少ないことが考えられます。工場生産を行うためには、それを可能にするための大規模な工場と高い技術力が必要になるからです。

次に、大規模な工場と高い技術力を持つ大手ハウスメーカーのユニット工法住宅をチェックしていきましょう。

2. ユニット工法住宅の最新トレンド

ユニット工法住宅3
※セキスイハイムHPより引用:https://www.sekisuiheim.com/lineup/grandtoyou_v/

ユニット工法を使用して優れた住まいを提供している大手ハウスメーカーは「セキスイハイム」です。
どのようなユニット工法住宅なのか最新トレンドをチェックしていきましょう。

セキスイハイムのユニット工法の強み

まず、セキスイハイムは、ユニット工法住宅のパイオニアとして、長年培ってきた技術とノウハウを活かし、高品質で耐久性に優れた住宅を提供しています。

セキスイハイムの強みは、独自のユニットテクノロジーにあります。

自然災害に強い

セキスイハイムのユニットは、数百年に一度の大地震にも耐えうる構造です。独自の耐震システムも採用し、地震や台風などの自然災害に強い設計となっています。

断熱性に優れている

セキスイハイムのユニット工法住宅は、断熱性能にも優れており、夏は涼しく冬は暖かい快適な住空間を実現します。

理想の住まいを提供している

セキスイハイムは、住む人のライフスタイルに合わせて、さまざまなプランを提案しています。家族構成や趣味、将来のライフプランなどを考慮し、理想の住まいを実現することができます。

エネルギー自給自足型住宅

近年、地球温暖化やエネルギー問題が深刻化する中、エネルギー自給自足型の住宅が注目されています。
ユニット工法住宅は、その構造の特性を生かして、太陽光発電システムや蓄電池システムなどを効率的に導入することができます。太陽光発電システムは、屋根に設置された太陽光パネルで発電を行い、電気エネルギーを生成します。

蓄電池システムは、太陽光発電で発電された電気を蓄え、夜間や災害時などに利用することができます。
エネルギー自給自足型のユニット工法住宅は、環境負荷を低減し、災害時のリスクを軽減するだけでなく、電気料金の節約にも貢献します。

三世帯住宅

少子高齢化が進む現代社会では、三世代で一緒に暮らす家庭が増えています。ユニット工法住宅は、家族構成に対応した設計が得意です。

また、セキスイハイムはバリアフリー設計に力を入れており、段差を無くすことで高齢者や体の不自由な方が安心して暮らせる住まいを実現することも可能です。

グランツーユーV(木質系ユニット工法)

グランツーユーVは、セキスイハイムが提供するユニット住宅の最新モデルです。2×4工法*を進化させたユニット工法となります。

木質系ユニット住宅などが用意されており、温かみのある空間と高い断熱性能をさらに進化させ、より快適な住空間を実現しています。

グランツーユーVの特徴は、以下のとおりです。

  • ● 安心して長く暮らせる強固な構造体
  • ● 高気密、高断熱の1年中快適な住まい

ユニットの再利用が可能

セキスイハイムは、60年先も再利用できるユニットを製造しています。解体された後のユニットは、検査や処理を行った後に、再利用され新たな住まいへと活用されます。このことからセキスイハイムのユニットの耐久性を感じることができます。
ユニット工法住宅は、その迅速性、高品質、その持続可能性から、多くの家庭にとって魅力的な選択肢です。

今後も技術革新が進み、より快適で安全なユニット工法住宅が開発されていくでしょう。

3.ユニット工法の施工プロセス

ユニット工法住宅がどのように作られていくのか、流れを確認しましょう。

工場での製造

ユニット工法住宅は、内装や設備、外壁などの取り付けが行われ、家の80%以上が工場で製造されます。工場内では、最新の設備や建築現場では使えないような大型機械による自動施工することができるため、高品質なユニットが製造できます。

現場での組み立て

工場で製造されたユニットは、現場に搬入され、クレーンによって組み立てられます。
ユニットの組み立ては、熟練の職人が行い、正確かつ迅速に作業を進めます。現場での組み立ては、短期間で完了することができ、従来の在来工法に比べて、現場での工期を短縮することができます。

ユニットを組み立てた後の作業は、従来の建築と変わらず職人の手により家が仕上がっていきます。

メンテナンス

ユニット工法住宅のユニットは、工場での製造工程で高品質が保たれており、手抜き工事の心配は不要です。

また、箱型構造のユニット工法住宅は、耐震性や耐久性が高い優れた設計です。しかし、そんな耐久性能の高いユニットでも劣化しないことはありませんので、定期的な検査やメンテナンスを行う必要があります。

4.ユニットハウスとの違い

ユニットハウスは、ユニット工法住宅とどう違うのか気になる方もいるのではないでしょうか。

ユニットハウスとは、ユニット工法住宅と同様に工場で80%製造されます。
主に事務所や仮設住宅、イベント施設などに用いられており、見た目はプレハブと似ています。

ユニットハウスも工場で製造されるため高品質であり、納期も約3週間と非常に速いです。
工場で製造されたハウスを現場に簡単に設置できることから、「リモートワーク」「趣味」「家族の離れ」などに使用でき、人気があります。
簡易的なユニットハウスであれば、約10万円からと価格がリーズナブルなことも魅力です。

5.その他の住宅建築方法

最後に、戸建てとマンションの住宅建築の工法をご紹介します。工法は多くの種類があり、それぞれにメリットとデメリットを持ちます。
ユニット工法以外にもどのようなものがあるのかチェックして、自分に合った家を見つけましょう。

戸建ての工法

木造軸組工法(在来工法)

日本で建てられている約8割が木造軸組工法で建てられています。古くからの家の建設の基本となっている工法と言えるでしょう。
全て木材で作られる工法は、デザイン性が高く、日本の狭小土地にも建築が可能で、柔軟な設計をすることができます。
しかし、全て木材で作られるためシロアリの被害に遭うリスクがあります。これを避けるため定期的な検査が必要になります。

※木造軸組工法(在来工法)について詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。

2×4(ツーバイフォー工法)

北米の寒冷地で暖房費を削減することを目的として開発された工法です。2×4は木材の規格のことで、木口の厚さが2インチ、幅が4インチであることから2×4工法という名称が付いています。
角材と合板を接合して、柱や梁の代わりに壁、床、天井、屋根部分を構成します。壁や床を6面で支えるサイコロのような面構造になっており、高度な技術を必要とすることなく作り上げることができます。また、耐震・気密・断熱の性能が高いことが特徴です。
しかしユニット工法と同様に箱を組みあわせて作る家のため、リフォームすることが困難です。壁が家を支えているので、間取りの変更や窓を新たに作ると耐震性を弱めてしまいます。また、木材で作られていることから、木造軸組工法と同様にシロアリ被害のリスクがあります。さらに、使用する部材がJASまたはJIS基準を満たしたものに限られるため、コストがかかります。

軽量鉄骨造

使用される鋼材の厚さが6mm未満のもので建てられる鉄骨工法です。軽量鉄骨造は主に日本では、よくユニット工法と組み合わせて建築に用いられ、戸建てやアパートの構造に使われています。木造軸組工法などの木材の家と比べると、耐震性・耐久性に優れており、品質が安定していることが特徴です。
しかしユニット工法と共に用いられていることから、間取りの変更がしにくいため、リフォームには不向きと言えるでしょう。またコンクリート構造に比べると遮音性も劣ります。

壁式鉄筋コンクリート工法

鉄筋を組んで型枠で囲い、コンクリートを流し込んで固めて壁や床などの建築材として使用する工法です。2×4工法と同じで面で支える構造ですが、鉄骨を使用しているので、間取りの自由度が高いです。鉄骨とコンクリート構造なので、耐火性と遮音性が高いです。
しかし、天候に左右される工法のため工期が長く、費用も高いです。

マンションの工法

重量鉄骨造

使用される鋼材の厚さが6mm以上のもので建てられる鉄骨構造です。
戸建てよりもマンションの構造に多く見られ、「ラーメン構造」の一種です。マンションの他にも、商業施設や工場などもこの工法によるものです。鉄骨の柱と鉄骨の梁がボルト接合されることで頑強な耐久性と耐震性が特徴です。また、壁や柱、梁を気にせずにリフォームすることができるため、家を建てた後も間取りの自由度が高いです。
しかし、コンクリートの建物を比べると遮音性に欠けます。

RC工法(鉄筋コンクリート造)

鉄筋とコンクリートで構造されており、賃貸アパートや賃貸マンションに良く見られる構造です。高級住宅として注文戸建て住宅でも用いられることもあります。
RC工法は、鉄骨とコンクリートで出来ていることから、耐震性・耐火性・遮音性が高いメリットがあります。
しかし、そのコンクリート構造がゆえに結露ができやすい傾向があり、取り壊しや増改築には他の工法よりも費用が割高となります。

S造(鉄骨造)

主要構造部に鉄を用いた構造でマンション建設にも用いられます。建築コストが比較的安く工期が短いことがメリットです。しかし、コンクリートを使用しないので遮音性が低く、断熱性や耐火性が低いことがデメリットです。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

鉄筋と鉄骨、コンクリートで構造されており、マンション建築に用いられます。RC工法やS造と比べて、最も耐震性・防音性・耐火性・耐久性が高いです。性能が良いことから建築コストが高く、工期が長いことがデメリットです。

6.工法を選ぶ際のポイント

ユニット工法を中心にご紹介してきましたが、工法の種類が豊富で選ぶことが難しいと考える方も多いのではないでしょうか。
最後に、工法を選ぶ際のポイントをご紹介します。

建てたい家のイメージに合わせた工法を選ぶ

「開放的な広いリビング欲しい」「木のぬくもりがある家を建てたい」「デザイン性の高い家がいい」「とにかく頑丈な家がいい」など、マイホームの理想は人それぞれ違い、家族でも意見が違うことがあります。
まずは、ハウスメーカーなどに連絡する前に、どのような家に住みたいのか家族で話し合い、どの工法を選ぶべきか希望を擦り合わせましょう。

工務店やハウスメーカーに相談する

自分で情報収集することも大切ですが、どのような工法の種類が自分の希望に合っているか専門家に相談することも重要です。工務店やハウスメーカーに足を運んで相談してみましょう。あなたに合った工法をアドバイスしてもらえます。
また、その工法のメリットやデメリットについても専門家から詳しく説明を受けることができるので、納得した上で選択できます。
予算についても相談しながら工法の種類を選ぶと、後悔せずにマイホームを建てられることでしょう。

7.まとめ

今回は、ユニット工法住宅について詳しく解説しました。ユニット工法住宅の数ある魅力に心惹かれた方もいるのではないでしょうか。

しかし、戸建て住宅に住む上で次のような心配事はありませんか?

  • ● 地震発生時の倒壊リスクが、マンションよりも戸建ての方が高い
  • ● マンションに比べて、部屋が寒い印象がある
  • ● 友人のマンションに比べ、エアコンの効きが悪い
  • ● ヒートショックはマンションよりも戸建てで起きやすい

上記のようなリスクがあるため、デザインだけでなく住宅性能を考慮した家造りが重要です。

住宅性能は目に見えませんが、部屋の暖かさや通気性の良さは住んだ後に実感できます。
さらに、高性能住宅は省エネ効果が高いため毎月の光熱費削減にもつながります。

安全・安心で快適な暮らしを送るために、耐震性や断熱性にも配慮したマイホーム計画を立てましょう。

また近年、住宅関連の様々な補助金制度が運用されており、高性能住宅を建てれば補助金が受け取れます。
さらに、省エネ住宅は税制優遇までも受けられるので活用して損はありません。

リフォームでも補助金はもらえるので、リフォームを考えている方も断熱化を検討すべきでしょう。
補助金の詳細はこちらをご覧ください。

理想の注文住宅を手に入れたい方はこちらの動画をぜひご覧ください。

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