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住まいサーフィン編集部

日影規制について知っておきたいポイント

2024年07月24日

更新日最終更新日:

日影規制

家を建てるときにどのくらい日当たりが良いか?向いている方角は?と言った住環境はとても大切です。

快適な生活を送るうえでとても大切となる日照権。それを法的に規制しているのが「日影規制」です。

「日影規制」の定義から知っておくべきポイントまでわかりやすく解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 日影規制とは?

基本的な概念と目的

日影規制とは、「ある建築物の建築によって周辺地域に日影が生じ、日照の十分な確保が不可能となることを防止するために、建築物が周囲に落とす日影の時間について制限を設けるものです。」

(建築基準法第56条の2、別表第4)

建築物によってできる影が、一定時間、周辺の建物にかかることがないように規制を設けたのが「日影規制」(ひかげきせい・にちえいきせい)です。周辺の建物の日当たりを確保するために定められた建築物の高さ制限になります。

一年のうち一番影の長くなる『冬至』の午前8時から午後4時までを基準にしています。
※北海道のみ午前9時から午後3時まで
※冬至は一年で太陽が一番南に傾くため、影が最も長くなります

上記時間帯の内、日影となる時間の長さが一定時間より短くなるように建物の高さを制限しています。

一日の内どれくらいの時間日影になるか、周辺の建物の影により自宅に日が当たらない時間を制限するということを目的とした法律(建築基準法)です。

対象となる建築物と土地

日影規制は対象となる建物が属する「用途地域」「建物の高さ」「敷地境界線からの範囲」でその制限時間が決まります。

「用途地域」とは計画的に市街地を形成するために用途に応じて分けられたエリアのことを言い、都市開発を計画的に進めるために決められており、この基準を元に住宅が建てられます。

日影規制は主に高層建築物や集合住宅が多い都市部で重要視されています。

日影規制により、周辺住民の日照権が保護され、住環境の質を維持することが目的です。

この法律は、都市計画や建築設計の際に必ず考慮されるべき重要な要素となっています。

用途地域別に規制された日影となる制限時間は下記の表のとおりです。

日影規制は各自治体によって地域の実情に応じて、適切な時間が下表の範囲内で決められています。

用途地域 規制される建築物の高さ 測定面の高さ 規制値の種別 敷地境界線から
5〜10mの範囲
敷地境界線から
10m超
第一種・第二種
低層住居専用地域
・軒の高さが7mを超える
・地階を除く地上階数が3以上
1.5m (一)
(二)
(三)
3時間
4時間
5時間
2時間
2.5時間
3時間
第一種・第二種
中高層住居専用地域
・高さが10mを超える   4.0m
6.5m  

(一)
(二)
(三)

3時間
4時間
5時間
2時間
2.5時間
3時間
第一種・第二種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
準工業地域
(一)
(二)
4時間 
5時間
2.5時間
3時間
用途地域の指定のない区域

・軒の高さが7mを超える
・地階を除く地上階数が3以上
・高さが10mを超える

1.5m
4.0m
(一)
(二)
(三)
3時間
4時間
5時間
2時間
2.5時間
3時間

測定面の高さとは

当該建物の敷地の平均地盤面からの高さが1.5m(1階の窓中央を想定)、4.0m(2階の窓中央を想定)、6.5m(3階の窓中央を想定)、いずれかの水平面で測定します。この水平面のことを測定面と呼びます。

規制となる日影時間

敷地境界線からの距離によって、一日のうち日影になる時間を制限しています。

規制となる日照時間、日影規制時間を下表のようにまとめました。

規制日影時間
規制となる日影時間と敷地境界線の範囲

2. 日影規制の具体的な内容

次に具体的に日影規制の考え方を見ていきましょう。

日影規制の表記と制限内容

下記の図のように日影規制は敷地境界線からの距離で日影になる許容時間が異なります。

日影規制

敷地境界線からの距離、地盤面の高さを基準として、次のような形で制限内容が表記されます。

【日影規制 ◯ー◯h/測定面の高さ◯m 】

 例  4ー2.5h/4m
    ① ②  ③

①敷地境界線から5~10mで日影になる許容時間(=図:規制値①)
この場合、敷地境界線から5~10m範囲では日影になるのは4時間以内にしなければならない

②敷地境界線から10mを超えた範囲で日影になる許容時間(=図:規制値②)
この場合、敷地境界線から10mを超えた範囲で日影になるのは2.5時間以内にしなければならない

③測定する地盤面からの高さ(=図:規制値③)
この場合、地盤面から4mの高さの位置で日影になる時間を計測し、許容時間以内にしなければならない

日影を生じても良いとされる時間が短く、測定面の高さが低い区域ほど規制が厳しくなり、高い建物を建てることができません。

日影規制の緩和

日影規制には道路・水面・線路による緩和があります。

道路・水面・線路緩和

  • ● 建築物の敷地が、道路、水面、線路敷等に接する場合、当該道路等に接する敷地境界線は、当該道路等の幅の2分の1だけ外側にあるものとみなす。
  • ● ただし、道路等の幅が10mを超える場合には、当該道路等の反対側の境界線から当該敷地の側に5mの線を敷地境界線とみなす。

(建築基準法第56条の2第3項)

日影時間の規制対象となるラインは道路幅員の1/2(幅員が10m以上の場合は幅員から5mを差し引いた距離)だけ通常に比べ外側に緩和されます。

日影規制は「敷地から見て道路がどちらの方位にあるか」ということが大きく計算結果に影響します。
日影規制は、北側道路が有利です。ただし、北向き住戸の住環境に注意が必要となります。

また「敷地形状が東西に長いのか、南北に長いのか」ということも大きく影響します。
日影規制では南北に長い敷地の方が有利です。南北に長い敷地の方が敷地の南側でより高く建てられるため、大きな建物を建てることが可能になります。

北側斜線制限と日影規制の関係

北側斜線制限は、建物の北側に位置する建物が、南からの日当たりを確保できるよう配慮したルールです。

北側斜線制限の適用区域は「第一種・第二種低層住居専用地域」「第一種・第二種中高層住居専用地域」そして「田園住居地域」です。

規制の内容は敷地の境界線から垂直に5mまたは10m上がった先の高さで一定の勾配(縦:横=1.25:1)を付けて、隣地の建物に太陽が当たるように配慮するものです。(図参照)

北側斜線制限

日影規制と北側斜線制限、どちらの規制にも関わる土地の場合、より制限が厳しい方にしたがい建築することになります。

3.日影規制の影響と対策

建築計画への影響

日影規制は、建物や構造物が隣接する敷地や道路に影を落とすことを制限する法律で、都市部での建築計画に大きな影響を与えます。

この規制により、建物の高さや配置が制約されるため、デザインや設計の自由度が低下します。

対策としては、設計段階から日影シミュレーションを実施し、影響を最小限に抑える方法を検討することが重要です。

具体的には、建物の配置を工夫することが大切です。

また、自治体の条例やガイドラインを事前に確認しすることも忘れてはいけません。

これにより、スムーズな建築計画の進行が期待できます。

日影規制に関するよくある質問

Q. 複数の異なる日影規制の対象区域に含まれる場合はどうなるの?

A. 最も厳しい区域の制限を受けることになります。

Q. 5m以内の隣地にある建物は日影規制の対象になるの?

A. 日影規制の対象になるのは5m以上離れたところからになるので、5m以内にある隣地の日照は考慮されません。

Q. 日影規制の対象外の区域の建物は関係ない?

A. 日影規制の対象外の区域に建つ建物であっても高さが10mを超える建物で、その建物が日影規制区域内に日影を生じる場合はその対象区域内と同様の制限を受けることになるので注意が必要です。

4.まとめ

この記事では日影規制、また北側斜線制限についてわかりやすく解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

日影規制・北側斜線制限を知っておくことの重要性をご理解いただけたでしょうか?

この記事をお読みの方は、注文住宅を検討している方も多いかと思います。

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しかし、戸建て住宅に住む上で次のような心配事も考えられます。

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  • ● マンションに比べて、部屋が寒い印象がある
  • ● 友人のマンションに比べ、エアコンの効きが悪い
  • ● ヒートショックはマンションよりも戸建てで起きやすい

上記のようなリスクがあるため、デザインだけでなく住宅性能を考慮した家造りが重要です。

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