よい家具を何代にも渡って大切に使い続けていくヨーロッパの文化と比べて、日本人は当座の必要に応じて安易に家具を選びすぎているように思います。結果、室内が雑然としがちになってしまいます。そうした日本人でもすっきりした室内にはあこがれているのです。安くても長く使い続けられる家具はどうしたら選べるでしょうか。
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メイン家具はしっかり相談に応じてくれるお店でじっくり選ぶ
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基調となるメインの家具は良いものをじっくり選ぶのがコツです。
とりあえずの家具は買わずに、時間をかけてじっくり選ぶ!!
以前、わが家では布でくるまれた一人用のソファを5つL型に並べていたのですが、傷んで中を部分的に開けてみると、ウレタンが劣化していて健康被害が出そうなので処分しました。それ以来なかなか好みのものが見つかりません。家具店を巡ったり、ネットを検索したりと好みの家具を探しています。下記の写真は現在リビングにおいてあるソファで、好みのものが見つかるまで手作りしました。発泡スチロールのブロックに以前事務所の打ち合わせテーブルとして使っていた24ミリの合板を乗せ、座椅子を置いたものです。とりあえずのものは買わずにあるものを組み合わせて利用しています。手前に見えている白いテーブルも30年以上使っている自作品です。基調となるメインの家具は良いものをじっくり選ぶのがコツです。できればその部屋でメインのものは多少値が張っても確かな品質のものをじっくり探しましょう。メインの家具の存在感があれば、あとは雰囲気の合うものを探します。同じシリーズの家具でなくても大丈夫です。なんでもセットでそろえようと思うと場所も取り、コストも上がります。
©佐藤章子家具を買うときには室内を実測し平面図を用意していこう!!
マンション等を購入するときは、パンフレットだけでなく、該当する階と間取りの平面図詳細図・電気図・給排水管図・ガス配管図などをもらっておくと、家具の購入時、リノベーションやリフォーム時に役立ちます。平面詳細図に今ある家具の位置とサイズを書き込みます。あとはマス目を書き込んだ厚紙とスケールとはさみを持っていけば、家具を選ぶその場で厚紙を切り取って平面図において確認できます。広い家具店ではさほど大きく見えない家具でも、狭い室内では思いのほか場所をとるものです。
日本は余白の美を大切にします。しかし、こと住まいに関しては欧米の方が余白を大切にしています。狭い日本の家屋に欧米式の家具を導入したために、日本の住まいには全く余白が無くなってしまいました。室内も余白が大切なのです。食卓とくつろぎの場両方に使える家具など多目的のものを選ぶか、伸縮できる家具やコンパクトでもくつろげる家具などを工夫しましょう。そうした要望にしっかりと相談に応じてくれるお店を選びましょう。どんな感じの家具が欲しいかメモをする
持って家具店に行けるようにA4程度の小さな紙に希望をメモします。相反するものでも、とにかく希望をたくさん書き込みます。書いている間に気が変わります。不要になったら取り消し線を入れたり、特に重要なものは赤丸で囲ったりします。何度も眺めて、書いたり消したりすると、次第に整理されてきます。なんでも書いてみるこの方法は、自分に問いかけて本当に必要なことを見分けるアメリカで開発されたファイナンシャルプランニングの手法の一つです。
©佐藤章子安く家具を買うには
まずメインの家具を選ぶのに、おしゃれな家具店や高級家具店も含めて下見をします。量販店にも足を運んで品質や価格などを比較します。見る目を養うことが大切です。目を養った上で安くてよいものを探せば失敗は少なくなります。- アウトレットモールを利用する
- 自分の車で持ち帰る
- DIY店の無料のトラック貸し出しを利用する
- 古道具店で掘り出し物を探す
- セット品崩れ品を狙う
- セット家具の中で必要なものだけを購入する(婚礼家具・ソファセット等)
- 組み立て家具など一部を自作する
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Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)
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写真提供:佐藤章子一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。