昔から住まいに関係して起こる家庭内の事故や病気は意外に多いのです。ここ20年ほどは、住まいにおける健康面が注目されるようになり、より安全な建材や設備等が取り入れられています。でも、せっかく安全に配慮して作られた住まいでも、使い方を間違うと全く意味をなしません。家族の健康と安全を守るためには、住まいの使い方をきちんと知っておかなければならないのです。
-
住まいに潜む危険から家族を守ろう!
-
健康被害から家族を守ろう!
場所によって温度差がありませんか?
昔の日本の住まいは、隙間だらけでした。そのために自然に空気が入れ替わっていたのですが、反面、暖房のきいた居間などと比較して廊下やトイレは極端に寒く、ヒートショックによる脳梗塞・心筋梗塞などの原因になっていました。有害物質を使っていませんか?
建材によるシックハウス症候群被害が有名になりましたが、今は安全な基準が定められています。しかし規制のない家具や芳香剤や殺虫剤などを日常的に多用していては意味がありません。ハウスダストに気を付けていますか?
狭い日本の家屋にはモノがあふれています。掃除も行き届かなくて当然です。さすがに心身ともストレスになっているのでしょう。「断捨離」、「ミニマリズム」という言葉が注目を集めています。シンプルな暮らしが健康につながります。意外に多い家庭内の事故
たこ足配線はありませんか?
たこ足配線自体も問題ですが、つまずいたりする事故のもとになります。また、掃除がしにくくなり、ほこりが溜まりがちです。バリアフリーになっていますか?段差は見やすいですか?
マンションは段差が少ないと思いますが、玄関と玄関ホールは大理石等で統一されているケースもあり、わずかな段差が転倒の原因になります。小さな子供やお年寄りがいる場合は、段差の部分が見えやすいように工夫しましょう。手すりは、適正位置にありますか?先端が内側に曲げられていますか?
手すりは必要とする人の身長や状態により適正位置があります。位置を間違うとかえって危険な場合もあります。手すりの端は壁側に折り曲げられていないと、端に袖口を取られて転倒する原因になります。転落防止に気を配っていますか?
マンションの場合は戸建てと違って住居内に階段もなく、玄関の段差も少ないので転落は関係がないと思われるかもしれませんが、窓やバルコニーからの転落への配慮は大切です。階数が高いだけに注意が必要です。あなたの住まいは災害から安全ですか
地震の危険度は?
日本はどこに暮らしても地震の被害に遭う可能性があります。集中豪雨に対して安全ですか?
下水管があふれて、マンションの1階が浸水する被害がニュースになったことがあります。氾濫・津波に対して安全ですか?
首都圏の0メートル地帯は、河川が氾濫したら1階だけでなく上の階も浸水する可能性があります。大きな河川の堤防を自転車等で走っていると、水位より地面の方が低いところが多い気がします。家の周辺の安全は大丈夫?
段の高さの違う階段がありませんか?
町を歩いていると意外にこのケースを多く見かけます。段差が均一でないと危険です。最初は均等であっても地盤沈下等でいびつな段差になったケースも見受けます。勾配の違うスロープは危険!
以前スーパーの入り口で子供が転ぶのを見たことがあります。よく見ると道路から店内までがスロープになっていて、途中で勾配が変わっていました。子供は親の後を追いかけていたので足元を見ていなかったようです。劣化した手すり等がないかチェックしていますか?
マンション内外の劣化は住民が常に注意して観察すべき部分です。エッジが鋭い金属製品の場所をチェックしていますか?
戸建住宅であれば、サッシやシャッターが建物から飛び出している角が子供の頭などの位置にある場合は危険です。マンションでも角部屋の出窓などは、そばを通行できるようになっていると、子どもが走り回って、頭をぶつける可能性があります。街灯や防犯カメラの配置は適切ですか?
私が暮らす地域は駅前でそれなりに犯罪もあります。隣接するマンション間でコミュニティを作って、街灯の位置や防犯カメラの位置を調整しています。1階の専用庭で注意することは?
上の階からの落下物に注意が必要です。以前、マンションの玄関を出た時に上から陶器のコップが落ちてきたことがあります。その時は子どもの目線以上の高さにまで割れた破片が飛び散りました。子供の目に当たる可能性は十分にあります。赤ん坊をベランダに出して、一人で遊ばせていた時に落下したようです。地域ならではの危険はチェックしていますか?
都会には都会の、田舎には田舎の危険があります。他の地方から転居してきたときは、地域が持つ危険性をチェックしましょう。
大切なのは、何が危険かを察知する想像力と自分の命は自分で守る意識です。最近自転車によく乗りますが、一時停止の標識を守る乗り手は皆無です。右側通行で一時停止標識を無視して、スピードを出して右折して、出会い頭にぶつかりそうになったことは数え切れません。こちらが用心しているので事故につながっていないだけです。子供に自転車を買い与える時に、標識の意味を含めて交通ルールを徹底的に教えている親はどの程度いるでしょうか。
-
Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)
-
写真提供:佐藤章子一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。