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住宅のバリアフリー化リフォームに介護保険が適用できます。
ご両親が高齢になり、自宅のリフォームを考えている方も多くいるのではないでしょうか。
自宅をバリアフリーにすることで安全に暮らすことができますが、それに伴って工事費用が負担になりますよね。
そのような際に活用したいのが「介護保険の住宅改修費」の支給です。「居宅介護住宅改修費」とも言います。
今回は、バリアフリー化リフォーム検討中の方が知って得をする情報をご紹介します。
目次
- 4 介護保険の住宅改修でできること
- - 介護保険の住宅改修①手すりの取り付け
- - 介護保険の住宅改修②段差の解消工事
- - 介護保険の住宅改修③床や通路の床材の変更
- - 介護保険の住宅改修④引き戸などの付け替え
- - 介護保険の住宅改修⑤洋式トイレへの取り換え
- - 介護保険の住宅改修⑥上記の住宅改修に付帯して必要な改修工事
- 5 申請の流れ
- - ①担当のケアマネージャーなどに相談
- - ②住宅改修業者との打合せ・理由書の作成
- - ③自治体に事前申請
- - ④自治体の事前申請承認後に着工
- - ⑤事後申請
- - ⑥本審査後に住宅改修費の振り込み
1. 介護保険の住宅改修費とは?
介護保険の住宅改修費とは、厚生労働省が定めた制度で、介護が必要になった人が自宅で自立した生活を送れるよう、バリアフリー化のリフォーム費用に介護保険を利用できる仕組みです。手すりを設置したり、段差をなくす工事をすることで、介護が必要になった方が在宅時に安心して暮らせるように支援しています。
また、自宅をバリアフリーにリフォームすることで、日常生活に介護が必要なご両親が自分でできることが増えてくることでしょう。よって、介護者である家族の負担を軽減する目的もあります。
2. 住宅改修費支給対象者
支給対象者は、自宅で生活をしている要支援・要介護認定を受けている人です。
要支援1~2、あるいは要介護1~5の認定を受けていることが条件となっています。
介護が必要な状態でも認定を受けていない方は、適用対象外になるので気を付けましょう。現在、自宅のバリアフリー化リフォームを検討中で、介護認定されていないご両親がいる場合は、まずは最初に介護や日常生活に支援が必要な状態であるか認定(要介護認定)を自治体から受けておきましょう。
また、現在自宅に住んでおらず、介護施設や別宅で生活をしている場合は適用されません。自宅で生活している方のみが対象です。ただし、介護施設の退去日が明確に決まっており、自宅での生活が予定されているケースは、例外で支給対象となることがあります。
3. 住宅改修費の支給額と自己負担額
自宅で生活をしている要支援・要介護者が自宅をバリアフリー化する住宅改修を行う際、実際の改修費の一部が介護保険から支給されます。
実際にいくらまで支給してくれるのか、自己負担がいくらになるのか解説していきます。
介護保険の支給限度基準額は上限20万円
自宅の改修費に介護保険が適用できるのは原則1回で、ひとり生涯上限20万円です。
ただし、要介護状態区分が3段階上昇した場合や転居した場合のみ、再び20万円までの支給限度基準額が設定されます。
介護保険負担割合に基づいて自己負担額が異なる
介護保険が適用される住宅改修費の助成制度では、上限20万円の全額が支給されるのではなく、一定の自己負担が発生します。
この自己負担額は、改修時点での介護保険負担割合に基づいて決まります。
65歳以上の方については、原則として改修費用の9割(最大18万円)が保険から支給され、残りの1割(最大2万円)が自己負担となります。
所得に応じて介護保険負担割合が変わるため、所得が一定以上ある方は自己負担が2割となり、特に所得の高い方では3割が自己負担になります。
また、特定疾病に該当する40歳から64歳までの方は1割が自己負担となります。
20万円を超えた場合は、超過分が全額自己負担です。
下記が、自己負担額の例です。
65歳以上の要介護者の自宅を20万円で改修する場合、18万円は自治体が負担し、2万円が自己負担となります。20万円以上の大掛かりな改修の場合は、20万円を超えた分すべての改修費が自己負担となります。
次に、どのような改修に介護保険が適用するのか見ていきましょう。
4. 介護保険の住宅改修でできること
介護保険が適用できる工事は定められています。どのような工事で支給が受けられるのかチェックしましょう。
介護保険の住宅改修①手すりの取り付け
手すりは転倒防止や足腰の弱った身体を支えることに欠かせません。玄関・廊下・トイレ内・バスルーム・玄関から部屋に移動する際の通路などへの設置が介護保険の対象となります。
介護保険の住宅改修②段差の解消工事
段差のある室内は要介護者にとって大変危険です。転倒から寝たきり生活にもなりかねません。通路の段差や傾斜を改善するため、スロープの設置や敷居を低くしたり、床上げする工事が介護保険の対象となります。
介護保険の住宅改修③床や通路の床材の変更
段差と同様に危険なのが、滑りやすい床です。滑って転倒することを防ぐために、滑りにくい床材にリフォームすることに介護保険が適用されます。
介護保険の住宅改修④引き戸などの付け替え
車いす生活になった場合、引き戸にすると部屋から部屋への移動を容易にできるようになります。引き戸の他にも、アコーディオンカーテンや扉の撤去、ドアノブの変更などにも介護保険が適用されます。
介護保険の住宅改修⑤洋式トイレへの取り換え
和式トイレは高齢者の体に負担のかかる姿勢になり、場合によっては転倒する恐れのあるリスクのあるものです。和式トイレから洋式トイレへ取り換えることで、リスクを下げることができます。よって洋式トイレにも介護保険が適用されます。
介護保険の住宅改修⑥上記の住宅改修に付帯して必要な改修工事
上記のような改修工事に付随して必要となる工事にも、介護保険が適用されます。例えば、手すりを取り付けるための壁の補強や、ドアを交換する際に必要な柱や壁の改修、床材を変更する際の下地の補修なども、住宅改修費の支給対象となります。
次に、申請の流れを見ていきましょう。
5. 申請の流れ
介護保険の住宅改修支給の申請の流れを詳しく解説します。
①担当のケアマネージャーなどに相談
まず最初に担当のケアマネージャーに相談します。担当ケアマネージャーと改修場所や内容を確認しましょう。
ケアマネージャーがいない場合は、自治体の窓口や地域包括支援センターに問い合わせします。
②住宅改修業者との打合せ・理由書の作成
改修工事前に工事予定箇所の写真(日付入り)を撮影し、住宅改修業者に「見積書」を作成してもらいます。
また、担当のケアマネージャーに「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらいます。こちらの理由書がない場合、支給を受けることができません。
理由書の作成は原則としてケアマネージャーが行いますが、ケアマネージャーがいない場合は、作業療法士や理学療法士、福祉住環境コーディネーター(2級以上)なども作成できます。
③自治体に事前申請
申請には主に下記の書類が必要です。
- ● 住宅改修支給申請書(自治体から発行してもらう)
- ● 住宅改修が必要な理由書
- ● 理由書作成者の資格を証明する書類(写し)
- ● 工事費見積書 (宛名は利用者本人に限ります)
- ● 改修前の状態が確認できる写真(日付入り)
- ● 図面
- ● 介護保険被保険者証(写し)
- ● 介護保険負担割合証(写し)
※賃貸住宅の場合、住宅の所有者の承諾書
※受領委任払いを利用する場合は、住宅改修費受領委任払取扱事業者登録届出書と住宅改修費受領委任払いに係る確約書
④自治体の事前申請承認後に着工
必ず事前申請の承認が出てから工事を開始しましょう。改修後は、完成した改修箇所を写真(日付入り)で撮影しましょう。
⑤事後申請
改修後は下記の書類を自治体に申請しましょう。
- ● 介護保険住宅改修完了届
- ● 住宅改修に要した費用の領収書原本(宛名は利用者本人に限ります)
- ● 工事費内訳書 (宛名は利用者本人に限り、かつ事前申請の見積書と同内容のもの)
- ● 住宅改修の完成後の状態を確認できる写真(日付入り)
※賃貸住宅の場合、住宅の所有者の承諾書
⑥本審査後に住宅改修費の振り込み
事後申請提出後に、本審査が始まります。改修が介護保険の対象と認められると、指定の口座に費用が振り込まれます。
自治体によって申請する書類が異なるケースがあるので、必ずお住まいの地域の自治体にお問い合わせてお手続きください。
また、やむを得ない事情がある場合は、工事が完成した後でも申請できることがあります。
6. 介護保険の住宅改修費の知っておきたいポイント
介護保険の住宅改修費支給は、利用者の経済的な負担を減らすため、支払い方法にいくつかの種類があり柔軟な対応が取られています。
住宅改修費は支払い方法が選択できる
自治体によって異なりますが、住宅改修費の支払いには3つの方法があります。
償還払い方式
リフォーム工事終了後、まずはご自身が住宅改修業者に工事費用の全額を支払います。その後、自治体より自分の指定した口座に自己負担額を差し引いた金額が支給される方法です。
受領委任払い方式
リフォーム工事終了後に、住宅改修業者に自己負担分のみを支払い、自治体が介護保険の適用分を住宅改修業者へ直接支払う方法です。これにより一時的な負担を軽減することができます。
受領委任支払い方式を利用する場合、「受領委任払い取扱事業者」として登録された事業者による住宅改修である必要があります。各自治体のホームページに、住宅改修費受領委任払取扱事業所一覧が設けられていることが多いので、そこから利用可能な事業所なのか確認しましょう。
また、申請はリフォーム着工前に自治体に申請する必要があります。着工後の申請では、受領委任払いができないので気を付けましょう。
給付券方式
住宅改修費用を給付券として発行し、自己負担額を軽減する取り組みをしている自治体もあります。受領委任払い方式と同様に、自己負担額を自身が支払い、残りの介護保険適用分の金額を自治体が発行する給付券で直接給付券取扱事業者に支払います。この支払い方法も着工前の事前申請と住宅改修費受領委任払取扱事業所で工事を行う必要があるので、注意しましょう。
このように自治体には、利用者の負担を軽減する支払い方法が用意されています。お住まいの自治体では、どのような支払いの選択肢があるのか問い合わせてみましょう。
住宅改修費は分割して利用できる
住宅改修費用が上限額の20万円を超えない場合は、次回のリフォーム時に残りの保険適用分の金額を分割して利用することができます。
要介護区分の変更と引越しで住宅改修費を再度支給してもらえる
原則として介護保険の住宅改修費支給はひとり1回限りとなっていますが、要介護状態が重くなり、要介護区分が3段階以上上がった場合には再び支給を受けることができます。2回目も上限は20万円です。また、引越しをして住居が変わった場合も再度利用することが可能です。
両親が介護認定を受けていれば、それぞれ申請が可能
同じ家に要介護認定者が複数いる場合は、それぞれが介護保険の住宅改修費支給の申請することができます。同じ家の改修になるので、共有の部屋を工事した場合は、どちらか一方が申請します。工事箇所が重複しないようにそれぞれに分けて申請しましょう。
住宅改修費が上限額を超えてしまった時の対処方法
大掛かりなリフォームが必要な場合、上限の20万円を超過することもあるでしょう。事前見積もりの時点で、支払いが困難な場合は、下記の取り組みを利用すると良いでしょう。
リフォームローンの利用
リフォームローンは金利が少々高めではありますが、まとまった資金が用意できない場合に利用されることが多いです。リフォームローンは住宅ローンよりも審査が通りやすいです。
リフォームローンの選び方や金融機関ごとの特徴は、こちらの記事で解説しています。
リフォームローンの選び方は?金利や担保・金融機関の特徴を解説
リフォームローンの特徴・金利や担保の有無、各金融機関の商品について詳しく解説します。
自治体独自の住宅改修補助制度の利用
自治体によっては住宅改修補助制度を独自に導入していることがあります。それらの制度には、要介護認定が必要ないもの、介護保険との併用が可能なものや併用が不可なもの、介護保険の支給額によって上限が変わるものなど、さまざまあります。
例えば、下記の自治体が補助制度を行っています。
●浴槽の取替えと付帯する工事に上限379,000円、和式便器から洋式便器への取替えと付帯する工事に上限106,000円を助成(世田谷区)
●階段昇降機またはホームエレベーターの購入と、その設置の工事費用に上限1,332,000円を助成(港区)
詳しくはお住まいの自治体の窓口や担当のケアマネージャーに確認しましょう。
7.まとめ
今回は介護保険が適用される住宅改修費支給について解説しました。介護が必要な方の自立した生活と安全のため、介護をするご家族の負担を減らすため、バリアフリー化リフォームをご検討中の方の参考になると幸いです。
また、自宅のリフォームに関連する補助金には「長期優良住宅化リフォーム推進事業」があります。自宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォーム、子育て世帯向け改修が対象です。
快適な暮らしのための改修や長く住める家の改修に、これらの制度の活用を検討してみましょう。
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