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マンションを購入する際、一般的には住宅ローンを組む方が多いかもしれません。
しかし、資金に余裕があるなら現金一括で支払った方がお得なのでしょうか。現金一括で支払えるだけのお金を持っていても、住宅ローンを利用するべきか悩んでいる方もいるかと思います。
本記事では、マンションを現金一括で購入するメリット・デメリットや現金一括購入が向いている人についてご紹介していきます。
購入額別の支払いシミュレーションもしているので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.マンションを現金一括購入するメリット
まずは現金一括でマンションを購入するメリットを確認していきましょう。
住宅ローン契約の手数料や手間がかからない
マンションを現金一括購入する場合、住宅ローン契約に関する費用や手間をかけずに済みます。
住宅ローンを利用しないため、金融機関とのやり取りが発生しません。
現金一括購入で必要な書類
- ● 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- ● 印鑑(実印・認印)
- ● 印鑑証明書
- ● 住民票
- ● (銀行決済の場合)通帳・銀行印・キャッシュカード
上記のように、現金一括購入の場合はローン契約の際に必要となる収入を証明する書類や、購入予定の物件に関する書類を金融機関に提出するといった手間もかかりません。
審査や保証人を立てる必要もありませんので、購入からマンション引渡しまでの手続きをスムーズに行うことができます。
また、住宅ローン契約時はローン手数料として、合計で数十万円の費用がかかります。
しかし、現金一括でのマンション購入の場合は、これらの費用を一切支払う必要がありません。
諸費用のコストを抑えてマンションを購入することが可能になります。
住宅ローンに関連する諸費用
- ● 金銭消費貸借契約書 印紙税・・・契約書に収入印紙を添付して納める税金
- ● 事務手数料・・・住宅ローンを借り入れる金融機関に支払う手数料
- ● 保証料・・・保証会社に対して支払う手数料
- ● 登録免許税・・・登記をする際にかかる税金
- ● 司法書士への登記依頼料・・・不動産登記を依頼した場合の費用
住宅ローン利息の支払いが不要
そして、現金一括購入の最大のメリットが住宅ローンの利息を支払わずに済む点です。
毎月の返済や利息の負担が不要となります。
超低金利が続いている現在ですが、数十年のローンとなると支払う利息は数百万円もの金額となります。
返済期間が長ければ長いほど利息は高額になります。
例)5,000万円のマンション
変動金利0.4%/35年ローン/元利均等返済の場合
35年間の利息は合計359万円となります。
実際には金利変動のリスクもあるため、これより多い金額となる可能性が大きいです。
現金一括でマンションを購入した場合、この利息の支払いがなくなるため金銭的な負担をだいぶ抑えて購入することができます。
中古マンションの交渉順位が上がる
現金一括購入の3つ目のメリットは、中古マンション購入において有利に働くケースが多い点です。
現金一括購入は、住宅ローン本審査が否決となるリスクを考慮せずに売買が進められるためです。
住宅ローンの事前審査に通っていても、本審査で落ちる可能性もあり、その場合契約自体が白紙撤回されてしまいます。
急いで手放したい事情がある売主にとって、スピーディーに売買が進められる現金一括購入は有難いものです。
また、現金一括購入できる買主は確実に取引でき、全額を迅速に回収することができるので、売主にとっては大きな魅力となります。住宅ローンを利用する買主よりも現金一括購入できる買主と取引したほうが売主にとって低リスクでメリットが大きいことがわかります。
このように確実に手に入れたいお得な中古マンションであれば、現金一括での購入がおすすめです。
場合によっては、現金一括購入を交渉材料とすることで、値引きに応じてもらえる可能性も高くなります。値引き交渉においても「現金一括購入」は効果を最も期待できる方法といえるでしょう。
2.マンションを現金一括購入するデメリット
つづいて、現金一括購入のデメリットについても知っておきましょう。
住宅ローン控除が受けられない
現金一括購入の大きなデメリットが、住宅ローン控除が受けられない点です。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けられる優遇制度で、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から減税されます。住宅ローンを組んだ人の利息負担を軽減する目的で実施されている制度のため、現金一括でマンションを購入した場合、住宅ローン控除による所得税と住民税の減税は受けられません。
現在、住宅ローン控除の最大控除額は455万円で、新築マンションであれば最大13年間控除を受けられます。(中古マンションの場合は最大10年間になります)
新築マンションの住宅ローン控除の最大控除額
住宅の種類(性能) | 2024年~2025年入居の 最大控除額 |
---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 年間31.5万円 最大409.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 年間24.5万円 最大318.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 年間21万円 最大273万円 |
その他の住宅 | 0円※1 |
※1:2023年中の建築確認で年間14万円、最大140万円
中古マンションの住宅ローン控除の最大控除額
住宅の種類(性能) | 最大控除額 |
---|---|
住宅の種類(性能) | 最大控除額 |
中古認定・ZEH・省エネ住宅 | 年間21万円 最大210万円 |
その他の中古住宅 | 年間14万円 最大140万円 |
このように、住宅ローン控除額は新築・中古・マンションの環境性能などの各条件で異なっています。
もっとも控除額が大きいのは、環境性能の高い新築マンションとなっています。
そのため、住宅ローン控除を最大限活用した後で繰り上げ返済するのもおすすめです。
住宅ローン控除について、詳細・最新情報は国土交通省のホームページをご覧ください。
(参考)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
住宅ローン控除については、こちらの記事でも詳しくご説明していますのでご参照ください。
団体信用生命保険(団信)に加入できない
住宅ローンを利用すると、基本的には団体信用生命保険(通称:団信)に加入することになります。団信とは、返済中に債務者(ローンを借りた人)に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンが保険金により弁済される制度のことです。
一般団信は死亡時と高度障害時が保障対象ですが、最近は団信が充実している金融機関が増えています。
例えばがんと診断されると残債がゼロになるものや、入院して所定条件を満たすと入院中の返済額相当の給付金を受けられるものなどがあります。
がん団信や疾病対象の団信は基本的には金利を上乗せして加入しますが、通常の生命保険と比較すると割安であることが多いです。
また、一部ネット銀行などでは金利上乗せをしなくても加入できることがあります。
しかし、マンションを現金一括で購入をすると、団信には加入できません。
手持ちの資金に不安が生まれる
現金一括購入のデメリットとして、高額なマンションを購入することによって手持ち資金が少なくなってしまう点があります。
人生は何が起こるか分からないもの。「病気で働けなくなった」「退職で収入が減った」などの急な生活の変化にも備え、手持ちの現金に余裕を持たせておくといざというときも対応できます。
現金一括でマンションを購入する際は、購入後も生活に支障がないだけの手持ち資金が充分残るかよく検討する必要があります。
また、余剰資金の投資運用により利息以上の利益が生まれる可能性もあります。
すでに退職し無職である場合などを除き、低金利の住宅ローンを活用して現金は手元に残しておく方が安心です。
税務調査が入る場合もある
現金一括でマンション購入した場合、税務署からの調査が入る可能性があります。不動産購入は大きな金額が動くため、購入資金の調達方法や贈与の有無、購入目的を確認するのが調査の目的です。
そのため、人から贈与されたお金でマンションを購入する場合には注意が必要です。
年間110万円を超えると贈与税の支払いが発生しますので、税金の申告を正しく行っているか確認しましょう。
ちなみに、住宅購入を目的とした親族からの贈与の場合、条件を満たせば、最大1,000万円まで非課税となります。
ご自身で購入資金を準備した場合や、資金を援助してもらった際に贈与税についての申告・納税を正しく行っている場合、それを証明できれば大丈夫です。不動産の売買契約書や贈与契約書などの重要書類は必要になったときのためにきちんと保管しておくことが大切です。
火災保険への加入忘れに注意が必要
現金一括購入でマンション購入した場合、火災保険への加入を忘れてしまう場合があります。
火災保険とは、損害保険の一つで建物や建物内の家具・家電などの家財が、火災や風災・水災などの自然災害で損害を負ったと認められる場合に補償をする保険です。
住宅ローンの利用時は多くの場合で金融機関から火災保険への加入を求められます。ほとんどの金融機関が、火災保険への加入を住宅ローンの融資条件としているためです。しかし、現金一括でマンションを購入する場合は、保険加入は購入者の任意となっています。
火災保険や地震保険など、ご自身に必要な保険を選定し忘れずに加入するようにしましょう。
3.現金一括購入or住宅ローン 支払いシミュレーション
続いては、マンションの現金一括購入をすると実際にいくらお得になるのかを確認しましょう。
マンションの購入価格別に、住宅ローンの利息合計と控除額の差額を算出しました。
利息と控除額の差額が、現金一括購入により支払わずに済むお金=節約できたお金となります。
前提条件
2024年入居、省エネ基準適合の新築マンションを購入
35年ローン/変動金利0.4%/元利均等返済でシミュレーション
購入額 | 控除額合計 | 13年利息 | 13年差額 | 35年利息 | 35年差額 |
---|---|---|---|---|---|
3,000万円 | 222万円 | 128万円 | -94万円 | 215万円 | -7万円 |
4,000万円 | 273万円 | 171万円 | -102万円 | 287万円 | 14万円 |
5,000万円 | 273万円 | 214万円 | -59万円 | 359万円 | 86万円 |
6,000万円 | 273万円 | 257万円 | -16万円 | 430万円 | 157万円 |
7,000万円 | 273万円 | 300万円 | 27万円 | 502万円 | 229万円 |
8,000万円 | 273万円 | 343万円 | 70万円 | 574万円 | 301万円 |
9,000万円 | 273万円 | 386万円 | 113万円 | 646万円 | 373万円 |
1億円 | 273万円 | 429万円 | 156万円 | 646万円 | 445万円 |
住宅ローン控除が終了する13年目での繰り上げ返済、35年完済の2パターンをシミュレーションしています。
上記前提条件では、6,000万円までは、利息として支払う額よりも控除される額の方が大きい結果となりました。
省エネ基準適合住宅の控除対象は残高の3,000万円までのため、金額が大きくなると住宅ローン控除のお得感は薄れます。高額のマンションを現金一括購入できる方にとっては、住宅ローン控除で得られる恩恵は少ないことが分かります。
長期優良住宅やZEHマンションの場合は控除対象残高が3500~4500万円までのため、是非一度ご自身で試算してみてください。
次に、現金一括購入が向いている人はどのような人なのか考えていきましょう。
4.現金一括購入が向いている人とは
余剰資金で購入する人
現金一括購入がおすすめできるのは、手持ち資金に余裕がある方に限ります。
ただし、住宅ローン金利が最低水準の今、資金に余裕がある方でも住宅ローンを活用するのが一般的になっています。
手元に残した資金を他の運用に回すことで、住宅ローン利息以上の利益を得ている方も多くいます。
しかし、投資運用を積極的にするつもりがない方には、現金一括でのマンション購入もおすすめできます。
なぜなら不動産購入そのものが資産形成の手段の一つでもあるためです。
現物資産である不動産はインフレに強い資産とも言われています。
資産価値の高いマンションであれば、購入時より物件価格が上昇することも。
値上がりするマンションを購入できれば、自宅がいざというときに身を助ける資産となります。
将来の売却も視野に入れ、資産性も考慮してマンションを選びましょう。
資産価値の高いマンションの探し方はこちらのコラムをご確認ください。
住宅ローンが利用できない物件を購入する人
住宅ローンを利用できない物件を購入したい場合は、現金一括での支払いを検討しましょう。
住宅ローンの利用は、分譲マンションは30㎡以上という条件が設けられているのが一般的です。そのため、30㎡以下のワンルームなどを購入する場合は投資用ローンを利用することになります。住宅ローンは投資目的物件の購入資金に利用することはできません。
投資用ローンでは住宅ローンと比較し金利が高くなるため、利息が大きくなってしまいます。
そのため、一人暮らしで小さな部屋を買いたい方は現金一括購入もおすすめできると言えるでしょう。
ただし注意点として、住宅ローンが使えない物件はイコール売り手の付きにくい物件と言えます。
売却できなくなる可能性があることを念頭に置き、賃貸需要が高いエリアを見極めて購入しましょう。
また、築年数が経過した物件は住宅ローン審査が厳しくなります。
特に、木造一戸建ては建物価値の下落が早く、希望額が借りられない場合も。
フルローンが組めない物件は売り手が付きにくく、安く売り出される傾向になります。
現金一括でとにかく安く買いたい方は、中古の一軒家も狙い目です。
5.まとめ
本記事では、現金一括のメリット・デメリット、現金一括購入が向いている人をご紹介しました。
資金に余裕がある方やお得な中古物件を狙いたい方には現金一括購入もおすすめできます。
ただし、現金一括購入は手持ち資金を大きく減らすことになります。
購入検討の際は、「資産価値」についてよく理解した上でマンション選びを行いましょう。
また、現在は住宅ローン金利が非常に低い水準で推移を続けています。そのため、手持ち資金は使わずに、住宅ローンを活用しての購入もおすすめです。
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