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住まいサーフィン編集部

【2025年最新】住宅・建築物安全ストック形成事業とは?支援内容を解説!

2025年06月09日

更新日最終更新日:

住宅・建築物安全ストック形成事業について、この記事で分かること

国が実施する住宅リフォームの支援制度にはさまざまな種類があります。その中の一つが「住宅・建築物安全ストック形成事業」です。
リフォームは費用負担が大きいため、補助金や助成制度をうまく活用できるかどうかがポイントになります。では、この制度では具体的にどのような支援が受けられるのでしょうか?

今回の記事では、「住宅・建築物安全ストック形成事業」の概要と具体的な支援内容をご紹介します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 住宅・建築物安全ストック形成事業とは?目的と仕組みを解説

まずは、住宅・建築物安全ストック形成事業とはどんな事業なのかご説明します。

住宅・建築物安全ストック形成事業は、既存の住宅・建築物の安全性確保を総合的かつ効率的に促進することを目的とした事業です。

住宅・建築物安全ストック形成事業とは何か

例えば旧耐震基準で建てられた建物など、耐震性に不安のある建築物が放置されていると、大きな地震の際に倒壊するおそれがあります。そうした建物には、耐震改修などの適切な対策が求められます。
また、避難経路が限られている建物では、火災が発生した際に外へ避難できなくなるリスクもあります。直通階段の増設などによって、2方向の避難経路を確保することが重要です。

建物の安全性を確保することは、いざというときに命を守るうえで欠かせません。しかし、改修や工事には高額な費用がかかるケースも多く、個人や民間事業者にとっては負担が大きいのが実情です。
そこで国は、建物の安全性確保を推進するために「住宅・建築物安全ストック形成事業」を実施することにしました。

なお、この事業は国が個人や民間事業者に対して直接補助金を支給するものではなく、地方自治体(地方公共団体)を通じて補助が行われる仕組みになっています。地方自治体で行われている補助制度のおおもとが「住宅・建築物安全ストック形成事業」になります。
具体的に地方自治体で行われている補助制度については、記事の後半でご紹介します。

2. どんな支援が受けられる?住宅・建築物安全ストック形成事業の内容と補助対象

住宅・建築物安全ストック形成事業は、一言でいえば「建物の安全性を確保するための支援制度の総称」です。この枠組みをもとに、さまざまな分野に対応した補助制度が展開されています。

住宅・建築物安全ストック形成事業の主な制度例

例えば「建築物火災安全改修事業」は、大阪市北区のビル火災を契機に創設された制度であり、避難経路の確保やスプリンクラーの設置などを支援します。
このように、住宅・建築物安全ストック形成事業は、災害や社会的に問題となった事件・事故を契機として整備・拡充されてきた背景があります。

直近では、2024年1月の能登半島地震を受け、建物被害の深刻さや改修費用の高騰などが課題として浮き彫りになりました。その影響もあり、2025年度(令和7年度)は、住宅・建築物の耐震改修に係る補助限度額が引き上げられました。

それでは次に、各制度の具体的な内容を見ていきましょう。今回は、特に住宅に関連性が高い住宅・建築物耐震改修事業がけ地近接等危険住宅移転事業について詳しく解説します。

耐震診断・耐震改修の支援(住宅・建築物耐震改修事業)

住宅・建築物耐震改修事業とは、地震による倒壊リスクを減らすため、住宅や建築物の耐震診断・補強設計・改修・建替え・除却などを支援する制度です。

住宅と建築物で支援内容や条件が一部異なっているので、今回は住宅の支援内容をご紹介します。
住宅向けの支援は、「個別支援」「パッケージ支援(総合支援メニュー)」に分かれています。

個別支援とパッケージ支援
画像出典:令和7年度住宅・建築物安全ストック形成事業(国土交通省)

個別支援では、「補強設計等」と「耐震改修・建替え・除却」の2段階で支援が行われます。
補助率は、補強設計等が3分の2、耐震改修や建替え等はマンションで3分の1、戸建住宅で23%が国と地方自治体によって補助されます。
限度額については上記画像をご覧ください。

一方でパッケージ支援は、定額(115万円・140万円・175万円)が交付されます。
対象はマンション以外の住宅で、補助額は建物の立地や地域区分(例:多雪地、密集地)により異なり、補助対象工事費の8割が上限です。

さらに、耐震改修とあわせて省エネ改修を行う場合には、追加で補助を受けることも可能です。

住宅の省エネ改修に係る補助限度額
画像出典:令和7年度住宅・建築物安全ストック形成事業(国土交通省)

省エネ基準住宅よりもZEH水準住宅の方が、交付額は大きくなっています。

以上が、国土交通省による住宅・建築物耐震改修事業(住宅向け)の基本支援です。地方自治体独自の支援がある場合には、さらに手厚い補助を受けることができます。

なお、本事業ではブロック塀の撤去や安全対策に対する補助も実施されています。通学路や敷地境界などの安全対策として活用可能です。

土砂災害リスクへの対応(がけ地近接等危険住宅移転事業)

がけ地近接等危険住宅移転事業は、危険な場所にある既存不適格住宅に対して、住まいの安全確保を目的とした移転支援制度です。
がけ崩れ・土石流・雪崩・地すべり・津波・高潮・出水といった危険から住民の命を守るために、住宅の除却や移転を支援をします。
既存不適格住宅とは、新築当時は法律に適合していたものの、その後の法改正によって現在の基準には適合しなくなった住宅のことです。

がけ地近接等危険住宅移転事業は、主に以下の費用が補助の対象となります。

がけ地近接等危険住宅移転事業で補助される主な費用

  • ● 除却等費(既存住宅の解体・引越し・仮住まいなどの費用)
  • ● 建物助成費(移転先住宅の取得に関する利息費用)

除却等費とは、危険な住宅の解体費や引越費用、仮住まいのための費用などを対象とした補助です。
補助額の目安は、木造住宅で3.2万円/㎡、非木造住宅で4.6万円/㎡となっており、限度額は1戸あたり97.5万円となっています。

建設助成費とは、移転先となる住宅を新築・購入・改修する際に金融機関から借入をした場合、その利息相当分を補助する制度です。
借入利率の上限は年8.5%で、多くの自治体では1戸あたり421万円を上限としています。

がけ地近接等危険住宅移転事業も地方自治体が主体となって行う事業なので、条件や補助内容は地方自治体によって違います。
また、自治体によっては公営住宅への移転も対象となるケースがあるため、まずはお住まいの市役所や町村役場に相談してみるのがおすすめです。

3. 自治体によって補助金額はどう違う?耐震支援制度の具体例を紹介

最後に、住宅・建築物安全ストック形成事業による各自治体の支援制度をご紹介します。今回ご紹介するのは、「住宅・建築物耐震改修事業」に関する支援制度です。

東京都板橋区

東京都板橋区では、平成12年5月31日までに建てられた建築物を対象に、耐震化にかかる費用の一部を助成しています。
※一部は昭和56年5月31日以前に建設された建築物のみが対象

木造住宅に対する耐震化助成メニュー(令和7年度版)は、以下のとおりです。

助成内容 限度額 助成率 適用対象
耐震診断 10万円 費用全額 除却工事のための診断
25万円 費用全額 補強設計等のための診断
除却工事
(解体工事)
50万円 3分の1 昭和56年5月31日以前に建設された建築物
補強設計等 8.5万円 費用全額  
耐震改修工事 220万円 10分の9 昭和56年5月31日以前に建設された建築物
160万円 3分の2 昭和56年6月~平成12年5月31日までに
建設された建築物
建替え工事
(新築工事)
100万円 費用全額 高齢者等かつ特定地域内
耐震シェルター等 15万円 2分の1  
30万円 10分の9 避難困難者

※高齢者等とは、65歳以上の方、障がいのある方、歩行困難な難病の方、小学校就学の始期に達するまでの方です。
避難困難者とは、要介護認定3~5など、自力での避難が難しい方を指します。
特定区域内については板橋区公式サイトをご覧ください。

なお、板橋区では、令和7年度から一部メニューについて、助成限度額や助成率が大幅に引き上げられました。

また、一部の助成メニューでは、区が指定する業者による施工が、補助を受けるための条件となります。
こうした業者指定の条件は、板橋区に限らず、多くの自治体で採用されています。自治体によっては、区内(市内)の施工業者を利用すると助成額が上乗せされるケースもあるため、事前の確認が重要です。

千葉県浦安市

千葉県浦安市では、昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅や分譲マンションなどを対象に、耐震化にかかる費用の一部を助成しています。
木造住宅の助成内容(令和7年度版)をご紹介します。

助成内容 限度額 助成率 適用対象者
耐震診断 12万円 10分の9  
補強設計 4万円 2分の1  
工事監理 6万円 2分の1  
工事費 110万円 2分の1  
130万円 2分の1 高齢者等

※高齢者等とは、市民税非課税世帯の方、高齢者または高齢者と同じ世帯に属する方、重度の身体障がい者またはその同居者を指します。

なお、浦安市では分譲マンション向けの耐震化支援制度も設けられていますが、補助額は公式には公開されておらず、利用を希望する場合には直接窓口に問い合わせる必要があります。また、自治体によっては木造住宅向けの支援制度しかない場合もあるのでご注意ください。

4.まとめ

本記事では、住宅・建築物安全ストック形成事業の内容について解説しました。

耐震改修は、多くの自治体では昭和56年以前に建てられた建物が対象になっています。昭和56年以前に建てられた建物は、基本的には旧耐震基準となります。大地震はいつ起きるか分からないからこそ、耐震改修は重要です。
旧耐震基準については、こちらの記事をご覧ください。

震災時にも影響する!?新耐震と旧耐震の大きな違い。

旧耐震基準と新耐震基準の違いと、新耐震基準であれば安心なのかどうかについて解説します。

支援内容や条件は、自治体によってさまざまです。応募期間が限られていることもあるので、自宅の改修を検討されている方は早めに確認しましょう。

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