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マンションを購入すると固定資産税がかかるとは知っているものの、それでは実際いくら位かかるのでしょうか?
この記事では2000万円のマンションを購入した時にかかる固定資産税をシミュレーションしてみます。
固定資産税について、その減額措置などを知って、マンション購入のイメージを膨らませましょう。
目次
1.固定資産税とは?基礎知識をおさえよう
固定資産税の基本的な仕組み
固定資産税とはマンション・一戸建て・土地などの「不動産」を所有しているとかかる税金です。
固定資産税は市町村などの自治体が課税する地方税にあたります。
実は以下のようなものにも「固定資産税」はかかります。
固定資産の種類 | 例 |
---|---|
土地 | 田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地 |
家屋 | 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物 |
償却資産 | 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、 飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など |
(総務省:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html)
毎年1月1日の時点で償却資産を所有していると固定資産税の課税の対象となります。
固定資産税の計算方法
それでは固定資産税はどのように納税額が決められるのでしょうか?
固定資産税は下記のように算出されます。
固定資産税額=
固定資産評価額(課税標準額)×1.4%
税率は1.4%が標準ですが、自治体によっては1.5%、1.6%などと違っているケースもありますのでお住いの地域の納税率を調べてみましょう。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは固定資産税の金額を決定する基準となる価格のことです。
建物であれば実際にかかった金額ではなく、面積、木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなどの構造、部屋数、設備などによって決まります。
固定資産税評価額は、土地・建物などをおおむね地価公示価格(時価)のおおよそ60~70%となるように評価されます。
そこから軽減税率などにより評価減されたものが「固定資産税評価額(課税標準額)」となります。
こんな設備が固定資産扱いに!?
以下のような設備が付いていると課税評価額が上がり、固定資産税額が高くなることがあります。
(一部の例)
- ● 床暖房:温水式・電気式かでも金額が変わる
- ● ビルドインエアコン:天井に埋め込むタイプのエアコン
- ● 屋根一体型ソーラーパネル:一体型は課税対象
- ● 外壁タイル:サイディングなどよりも資産価値が高いとみなされる
- ● エコカラット:引き渡し後に施工した場合は対象外
マンションの場合
マンションの固定資産税を計算する場合は全体のうちの持ち分を按分して計算します。
【土地】土地全体の固定資産税を算出し、「敷地権」の土地所有割合により按分して計算
【建物】建物全体の固定資産税を算出し、「一戸部分」所有区分ごとに計算
経年減価補正率
固定資産税評価額は年数の経過とともに評価額は減っていきます。これを減価償却といいます。
2.固定資産税を軽減するための措置と方法
固定資産税の軽減措置について
固定資産税には以下のような軽減措置があります。詳しく見ていきましょう。
住宅用地の特例
一定の条件を満たす新築マンションを購入した時、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」が適用されます。持ち分が200㎡以下だと「小規模住宅用地」となり、固定資産税は1/6に軽減されます。200㎡を超えた部分は一般住宅用地の特例が適用されるため、減税の割合は減り、固定資産税は1/3に軽減されます。
ほぼすべてのマンションに適用され、土地の持ち分にかかる固定資産税が永年にわたり軽減されます。
課税標準が土地の持ち分の固定資産税額の6分の1に軽減、それに伴い土地の持ち分の固定資産税が軽減
【軽減措置適用後の固定資産税の計算例】
固定資産税評価額800万円の土地を購入した場合にかかる固定資産税
土地持ち分の固定資産税評価額
800万円
軽減措置適用後の固定資産税評価額
800万円×1/6=13万3,333円
※土地持ち分の固定資産税評価額の1/6
固定資産税
13万3,333円×1.4%(固定資産税の税率)
=1万8,666円
新築住宅に係る税額の減額措置
新築住宅にかかる固定資産税が3年間(マンションは5年間)、2分の1に減額されます。(適用期限:令和8年3月31日)
また、耐震性、耐久性、可変性等に優れ、適切な維持保全が確保される長期優良住宅を取得した場合は5年間(マンションは7年間)2分の1に減額される減額措置があります。
なお、土砂災害特別警戒区域等の区域内で、都市再生特別措置法に基づく市町村長による適正な立地を促すための勧告に従わないで建設された一定の住宅については特例措置の適用対象外となりますのでご注意ください。
(参考:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html)
節税テクニック
新築のマンションを購入すると土地、建物(一戸部分)のそれぞれに固定資産税が課されます。
まずは一棟全体の固定資産税が土地、建物それぞれ計算された後、その税額が各戸の所有者に割り振られます。これにより、マンションの戸数が多いマンションほど、固定資産税が安くなる傾向があります。
したがって、固定資産税を安く抑えたい場合は戸数の多いマンションを検討すると良いでしょう。
また、各戸の所有者への割り振りは均等ではなく、専有面積の割合によって割り振られます。
床面積が広くなれば固定資産税も増えることを頭に入れておきましょう。
固定資産税の支払い時期
毎年4月から6月頃に市町村役場(東京都内は東京都)から納税通知書が届きます。
1月1日時点で保有している固定資産に対して固定資産税が発生します。1月2日以降に所得した固定資産に対しては翌年以降の納税となります。
固定資産税は市町村の条例で決められた納期(通常年4回)に分けて納税します。一括年払いも可能です。
都市計画税
マンションの多くは市街化区域に属するため、市街化区域に属する新築マンションを購入した場合、固定資産税と一緒に「都市計画税」が課されます。
「都市計画税」は道路・公園・下水道整備などの都市計画事業や土地区画整理事業に全額使われます。
税率は0.3%が上限となっており(実際の税率は自治体ごとに異なる)、固定資産税(1.4%)と合わせて、最大1.7%の課税となります。
都市計画税は固定資産税の納付と一緒に行う必要があり、どちらか一方だけ納付することはできませんので注意してください。
3.2000万円のマンション購入時の固定資産税はどうなる?
購入時に必要な税金のシミュレーション
2000万円の新築マンションを購入した時の固定資産税がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
まず固定資産税評価額を算出するために、土地、建物それぞれの評価額を算出します。新築マンションの場合、設備や間取りで異なりますが、売買価格の建物を60%、土地を70%と仮定して計算します。
前述した軽減措置にて減額し、おおよその固定資産税額を算出しています。
試算条件
・東京に建つ新築マンション
・長期優良住宅ではない
・価格
建物 1,200万円 / 土地 800万円
・固定資産税評価額
建物評価額 1,200万円×60%=720万円
土地評価額 800万円×70%=560万円
・住宅用地の特例、新築の特例を受ける
2,000万円の新築マンションを購入した場合
固定資産税(建物) 720万円×1.4%=10.08万円
(軽減後)10.08万円÷2=5.04万円
固定資産税(土地) 560万円×1.4%=7.84万円
(軽減後) 7.84万円÷6=1.30万円
合計税額(軽減税率適用)
5.04万円+1.30万円=6.34万円
合計金額(減額措置終了後)
10.08万円+1.30万円=11.38万円
新築マンションの軽減措置が適用される期間は建物部分の税額が半額となるため5年間(長期優良住宅は7年間)は約6万円強、軽減措置終了後は約11万円強となります。
中古マンション購入時
中古マンションであれば、市町村の固定資産税台帳に「固定資産税評価額」の記載がありますので、購入前に確認することも可能です。
ただし、土地に関して言えば土地の価格が上昇すれば、それに伴い納税額が上がることもあります。
それでは、築6年、築20年の中古マンションを購入した時の固定資産税はいくらになるでしょうか?
●築6年の中古マンションを2000万円で購入した場合
●経年減価補正率6年 0.8335(東京都)
固定資産税(建物) 720万円×0.8335(経年減価補正率)×1.4%=8.40万円
固定資産税(土地) 560万円×1.4%=7.84万円
(軽減後) 7.84万円÷6=1.30万円
合計金額 8.40万円+1.30万円=9.70万円
築6年経過したマンションでは新築住宅の減額措置を受けることができません。
●築20年の中古マンションを2000万円で購入した場合
●経年減価補正率20年 0.5054(東京都)
固定資産税(建物) 720万円×0.5054(経年減価補正率)×1.4%=5.09万円
固定資産税(土地) 560万円×1.4%=7.84万円
(軽減後) 7.84万円÷6=1.30万円
合計金額 5.09万円+1.30万円=6.39万円
築年数の経った中古マンションの場合、建物税額に経年減価補正率をかけて計算します。
中古マンションは築年数の経過とともに資産価値が劣化し固定資産税が徐々に減額します。
新築と中古マンションでの違い
今までで見てきたように中古マンションの場合、新築マンションと大きく異なるのは軽減措置がない点です。新築マンションであれば5年間(長期優良マンションであれば7年間)優遇措置を受けることができますが、中古マンションの場合はそれを受けることができません。
しかし、中古マンションの建物部分の固定資産評価額は築年数と共に評価替えされて徐々に減り、それに伴い固定資産税も減額します。
とはいえ、どちらにせよ安くない固定資産税を支払う必要がありますので、購入時には購入後に必要な費用を計画的に用意しておくことをお勧めします。
固定資産税Q&A
Q1. 固定資産税、滞納したらどうなる?
固定資産税は納付期限が設けられているので、納付期限を過ぎると催促状が送られてきます。催促状が届いた時点で納付すれば問題ありません。しかし、催促状がきても支払わなければ延滞税が発生しますのでなるべく早く納付を行うようにしましょう。
どうしても支払いが難しいなどの場合は自治体の窓口で相談してみましょう。
Q2. タワーマンションの高層階と低層階では固定資産税が変わる?
一般的なマンションであれば、階数は関係なく面積で決まります。
しかし、タワーマンション(高さ60m以上、20階以上目安)は低層階と高層階で税額が異なります。
眺望などの関係から分譲価格が大幅に異なるため、2017年の法制改革により、高層階は納税額も高くなるように是正されました。2017年1月2日以降に竣工の新築マンションより適用されています。
4.まとめ
この記事では2,000万円のマンション購入時の固定資産税について詳しく解説してきました。
いかがだったでしょうか?思ったよりも高かった。意外とそうでもなかったなど、人によって感覚は異なるかもしれません。
マンション購入でかかる費用は当初考えている以上かもしれません。しかし、税金の控除や補助金などを受けることも可能です。まずはマイホーム購入にかかる費用を全体的にどのくらいかかるかを把握することが大切です。
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