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日本の戸建ての9割以上が木造住宅なのはご存知でしょうか?
高温多湿な日本で好んで建てられている木造住宅。
その工法の一つに「在来工法」というものがあります。
今回はこの「在来工法」の特性やメリット・デメリットについてご紹介していきます。
目次
1. 在来工法とは?その基本的な概念と特徴
在来工法「木造軸組工法」の定義
在来工法は日本で古くから用いられてきた伝統工法が発展、簡略化されたもので「木造軸組工法」とも呼ばれます。
主に柱と梁といった軸組で支えるのが特徴です。
コンクリートで作られた基礎の上に柱と梁で家の骨組みを作り、筋交いや耐力壁で水平方向にかかる力に耐えられるよう強さを出します。
在来工法の歴史と背景
「在来工法」はシンプルかつ大量生産を可能とする、結合部に金物を用いた工法です。
建築基準法制定の際に西洋建築の思想を取り入れた木造構造を「在来工法」と総称しています。
木を組み合わせ、仕口や継ぎ手で組み上げられる日本古来の伝統工法を引き継いだほぞ・ほぞ穴による接合方法が基本ですが、さらに結合部にボルトやプレートを用いて柱同士を強固に固定しています。
また、建築基準が厳格化し高い耐久性が求められる近年では、伝統工法ではあまり使われていなかった木材を斜めに渡す筋交いを使うのが基本となり、建築基準法でもその使用が義務付けられています。
2. 在来工法のメリット
在来工法で家を建てる際のメリットを見ていきましょう。
自由度の高さとデザインの柔軟性
在来工法の一番の強みは何といってもその自由度の高さとデザインの柔軟性です。
梁と柱だけで基本となる構造部分を構成するので、ある程度壁を自由に構成することができます。
また、同様にリノベーションやリフォームも可能となります。
木造建築ならではの温かみ
木造住宅は自然の素材を使うので、「温かみを感じる」「落ち着く」などという効果もあります。
それと同時に自然の素材である木材は呼吸をしていますので「吸湿効果」も高いです。
そのため、周りの湿度が高くなれば調湿機能としての役割も果たします。
対応できる施工業者の数
在来工法は日本で古くから施工されていた伝統的な工法になり、施工できる業者の数も多いです。
そのため、建築を依頼する際も施工業者を比較検討することが容易な点も大きなメリットです。
3.在来工法のデメリット
次に在来工法のデメリット・注意点についてみていきましょう。
建築期間の長期化
在来工法では、柱・梁・壁などを1つ、1つ組み合わせていくので、工期が長期化する傾向にあります。
また、間取りやデザインの自由度が高いので、それに伴う細かな打ち合わせが必要となり設計図の完成までに多くの時間を要してしまうことが多いです。
大量生産型の標準規格の建物に比べるとどうしても工事期間が延びてしまい、竣工までに多くの時間がかかることがあります。
断熱性や気密性の課題
在来工法は、柱や梁で構成されているため隙間が多い構造になります。
上下に隙間があり、通風経路となってしまいます。
通風経路にグラスウールなどの断熱材を充填させ、対策をきちんととる必要があります。
また、石膏ボードを内側に貼ることで気密性を増すことができます。
十分な断熱性や気密性を得るためにも施工業者は慎重に選びましょう。
4.在来工法とツーバイフォー工法の比較
構造の違い
ツーバイフォー工法とは2インチ×4インチの木材を組み合わせて作る工法です。
骨組みで支える在来工法とは異なり、壁で支えるのがツーバイフォー工法です。
「木造枠組壁工法」とも言い、四方の壁と床、屋根・天井のパネル(枠組み)の6枚の板で空間を作るボックス型の構造です。
短期間での建築が可能な反面、間取りやデザインなどの自由度は低い傾向にあります。
耐震性の比較
在来工法よりツーバイフォー工法の方が耐震性が優れていると言われていましたが、現在では在来工法の耐震性も大幅にアップしているので、工法による差はほとんどありません。
ツーバイフォー工法はボックスが重なった構造で、各部屋を6面で支えるため、地震や台風での揺れにも強いです。
一方、在来工法は点と点を結んだ構造のため耐震性は低いと言われていましたが、「筋交い」や「耐力壁」を用いることで耐震基準が大きく強化されています。
度重なる地震のたびに法改正が行われ、耐震基準は大幅にアップしています。
現行の基準で建てられる住宅の耐震性は震度6~7でも耐えられるようになっています。
工法の違い
在来工法とツーバイフォー工法を比べて表にまとめてみました。
建てる建設会社によっても異なりますが、下記のような傾向にあると言えるでしょう。
在来工法 | ツーバイフォー工法 | |
---|---|---|
間取りの自由度 | 高い *大きな窓や開口部を設けることができる |
比較的低い |
コスト (※メーカーや選ぶ材料により異なる) |
少し高め (坪単価 50万円~) |
比較的安い (坪単価 30万円~) |
工期 | 長め | 少し短め |
リフォーム | 大幅なリフォームが可能 | 大幅なリフォームは難しい |
施工業者 | 様々な施工業者を選ぶことができるが その分品質に差がある |
限られているが、品質に差は生まれづらい |
5.施工業者・ハウスメーカーをどう選ぶ?在来工法なのか?ツーバイフォー工法なのか?
在来工法なのか、ツーバイフォー工法なのか?工法によって間取りの自由度やかかってくるコストも異なります。
在来工法は、木造住宅の建て方の中でもっともスタンダードな工法であり、多くのハウスメーカーで行っています。
【在来工法とツーバイフォー工法の割合】
- ● 在来工法76%
- ● ツーバイフォー工法22%
※林野庁「木造住宅に関する意向」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/30hakusyo_h/all/chap4_3_2.html
そのため、ハウスメーカーの選択肢が多く、好みのデザインや希望に合う住宅を提供するハウスメーカーを見つけやすいです。
【施工業者を選ぶ際に確認すべきポイント】
- ● 住宅に使用する素材やデザインがイメージに合っているか?
- ● 営業担当者の人柄や提案力は?
- ● 住宅の安全性は十分か?
- ● 保証やアフターメンテナンスはどうなっているか?
施工業者によって、得意とする構造・工法が違いますので、自分が優先する点をしっかり理解したうえで施工業者を選ぶようにしましょう。
6.まとめ
この記事では在来工法とツーバイフォー工法についてみてきました。
ご自身が希望する住宅はどのような住宅でしょうか?
しっかりとイメージしたうえで、ご自身の希望に沿った家を建てるためにも、そのメリット・デメリットを把握してハウスメーカーを選べるといいですね。
この記事をお読みの方は、注文住宅を検討している方も多いかと思います。
注文住宅を建てる方の多くは、まず先にデザインを重視する傾向にあります。
しかし、戸建て住宅に住む上でこのような心配事はありませんか?
- ● 地震発生時の倒壊リスクが、マンションよりも戸建ての方が高い
- ● マンションに比べて、部屋が寒い印象がある
- ● 友人のマンションに比べ、エアコンの効きが悪い
- ● ヒートショックはマンションよりも戸建てで起きやすい
上記のようなリスクがあるため、デザインだけでなく住宅性能を考慮した家造りが重要です。
住宅性能は目に見えませんが、部屋の暖かさや通気性の良さは住んだ後に実感できます。
さらに、高性能住宅は省エネ効果が高いため毎月の光熱費削減にもつながります。
安全・安心で快適な暮らしを送るために、耐震性や断熱性にも配慮したマイホーム計画を立てましょう。
また近年、住宅関連の様々な補助金制度が運用されており、高性能住宅を建てれば補助金が受け取れます。
さらに、省エネ住宅は税制優遇までも受けられるので活用して損はありません。
リフォームでも補助金はもらえるので、リフォームを考えている方も断熱化を検討すべきでしょう。
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