ネットで面白い記事を見つけた。それは、「アクセスの悪さでは負けない」と思う街ランキング。要は交通利便性の良し悪しに目をつけたランキングだ。当該記事では「東京23区版」として、23区をアンケートに基づき「アクセスの悪い街」を列挙している。東京の地理をある程度知っている人には、なるほどと思える記事かと思う。
ところで筆者が住む京都市。11の区に分かれているが、マンション高騰や観光公害で話題になるのは一部の観光地や中心市街地のみ。観光で来たことはあっても、名所旧跡周辺以外は位置関係もわからないという人も多いであろう。というわけで、筆者の独断と偏見で京都市内の「アクセスの良し悪し」についてポイントを絞って簡単に解説したい。
【鉄道アクセスの良いエリアは僅か】
京都市域は山間部まで広げると相当に広い。全市域の面積は827.9km2。大阪市(223km2)と神戸市(552.3km2)の合計面積以上だ。その過半は山間部で、市街化区域に限ると約150km2と大阪市よりも狭い。
しかし大阪市が全9路線(ニュートラム含む)の地下鉄網で鉄道移動の利便性が高いのに対し、京都市内の地下鉄は南北に走る烏丸線と東西に走る東西線の2路線のみ。京都市内の鉄道移動は不便だ。
鉄道移動で不便を感じたくないなら地下鉄2路線が利用できる中京区、東西線の代わりに阪急京都線で東西移動が可能な下京区で暮らすのが良い。特に「田の字」と呼ばれる両区の中心地である四条烏丸を中心としたエリアは、西に行けばJR二条駅、東に行けば京阪本線、南に行けばJR京都駅。このエリアでは鉄道移動の不便さは感じない。
【バスを使いこなせば交通利便向上】
中京区下京区の周囲に位置する右京区、上京区、左京区、東山区等は鉄道移動は利便と言い難い。また、鉄道駅まで移動が困難な鉄道網からの「漏れ」も多い。そのようなエリアをカバーするのがバス路線だ。京都市内の主要地をほぼ網羅している京都市バス以外に、郊外エリアでの運行が多い京都バス、京阪線のある京都市内東部を走る京阪バスがある。うまく使えば移動に苦労はない。
ただバス移動は(京都市内に限らないが)慣れないと使いにくいのが欠点。例えばJR京都駅北側ロータリーは15の乗り場がある。四条河原町の交差点には、交差点の東西南北それぞれに京都市バス8つ、京阪バス5つ、京都バス3つ、合計16個のバス停がある。初めての利用で間違えずにバス停を見つけるのはなかなかハードルが高い。地元民でも自分の使う路線以外は覚えていない。
また路線によっては観光客の利用が多く、人気観光地を通る路線では途中の停留所から乗れなかったり、乗降に手間取る人が多く運行に遅れが生じたりする。観光シーズンや休日は「使い物にならない」路線も存在する。
【アクセスの良い穴場は伏見区】
中京区下京区以外でアクセスの良い狙い目の街は伏見区の中心部だ。区全体で見れば、山間部や鉄道駅が徒歩圏に存在しない交通利便性の低いエリアが多いが、中心部では京都市営地下鉄烏丸線と乗入れしている近鉄京都線と京阪本線、JR奈良線が並行して走っており交通利便性が高い。
他にも3線3駅が利用可能な山科駅界隈、六地蔵駅などもアクセスは良い。両駅とも京都市営地下鉄東西線利用で、京都市役所や烏丸御池等の京都市内中心市街地へ乗り換えなしの一直線。これらのエリアでは、価格が高くなりすぎた為に京都市内中心部での購入が難しくなったファミリー層に向けた分譲マンションの供給が今後は増えるだろう。