マンション名に冠される地名。最近京都の物件は「京都」がつくことが多い。
SUUMO掲載の「これから販売予定のオススメ新築分譲マンション」に掲載されているマンション14物件のうち、マンション名に「京都」が入っていないマンションは3物件のみ。それぞれ「パラドール西院四条通マークス」、「プレサンスロジェ伏見」、「パラドール御所西グランデ 」。過半数の新築分譲マンションの物件名に「京都」が入っている。
画像出典:【SUUMO】京都府のこれから販売予定のオススメ新築分譲マンション(2024/7/10時点)
1物件(「クラッシィハウス京都六地蔵」は京都府宇治市)を除き、どれも京都市内物件。京都なのだから物件名に京都という名前が入るのは間違いではないが、どの物件も最寄駅が京都駅ではなく、しかも西京極、西大路、松ヶ崎等地元民からすれば馴染みのある地名。地元の感覚からすると「京都」とわざわざ入っていることに意味はない。
例えば「ローレルコート京都柳馬場六角」。京都に住む人がこの名前をみれば、柳馬場通と六角通が直行する辺りにあることはすぐわかる。いわゆる「田の字エリア」と呼ばれる京都市内中心部周辺住民であれば、縦の通り名と横の通り名は大体頭に入っているからだ。場所を特定するには通りの名称を使う。むしろ町名で言われたほうがわからない。
以前はマンション名にわざわざ「京都」と入れている分譲マンションはあまり見かけなかった。
「京都市の分譲マンション管理計画制度認定マンション」にある物件名を見てほしい。2000年以前に供給されたマンションは、「ネオコーポ北山(1985年建築)」「ルモン上堀川(1996年建築)」「フォルム一条東堀川(1987年建築)」「フォルム堀川今出川(1988年建築)」のように「マンションブランド名+通り名」となっているマンションが多数だ。
それが2000年以降に竣工した物件には「プレミスト京都烏丸御池(2016年建築)」「エステムプラザ京都四条烏丸(2004年建築)」のように、京都市内で最もメジャーな通りの交差点名を冠しているにもかかわらず「京都」の文字が入っている。
これは地元民には馴染みのある地名なのに敢えて「京都」を付け加えているのは、首都圏の富裕層やインバウンド需要に向けた対策であり、京都以外の人へのアピールに他ならない。かつてのように、京都市内中心部でのマンションを物件から周囲数キロ圏の地元在住者が主な購入者だった時代には「柳馬場六角」にわざわざ「京都」をつける必要はなかった。
今後は、国内需要は薄いが富裕層や外国人等の人気の高いエリアで、「日本」「JAPAN」等が冠される分譲マンションが珍しくなくなるかもしれない。