マンション管理適正化法。マンションの維持管理の適正化とマンション再生の円滑化を目的とした法律で、施行は2001年。一昨年の2020年に改正され、今年4月にはその改正内容が施行。管理計画認定制度が開始され認定基準が設定された。
筆者の住む京都市では右京区にある築46年の「西京極大門ハイツ」が、管理水準が高い分譲マンションとして管理計画認定制度の市内第一号物件に認定された。このような制度が各エリアに浸透し、管理の良し悪しが顕在化するのは中古市場にとって良い話だ。
ヴィンテージマンションなどと呼ばれ年数を経ても価格の下がらないマンションがある一方、築古マンションを敬遠する人は多い。敬遠する理由はいろいろあるが、代表的なものとしては「マンションの寿命が心配」「大規模修繕や建替えが不安」であろう。このような心配や不安が、認定制度ができることで完全に解決されるかというとそうでもない。
マンションの寿命は何年?というのはなかなか難しい。管理がきちんとできていて保守修繕がタイムリーに実施されていれば、寿命が伸びるのは確かであろう。しかし、コンクリートの中性化や鉄筋のサビについては一概に何年でダメになるとはいえない。
大規模修繕に関しては、管理の良し悪しが影響するところが大きい。管理会社の言いなりで無駄に手厚い補修工事をしてしまったり、必要なタイミングを見過ごしてしまうこともなく効果的な工事を行うには、正しい管理が行われている必要がある。修繕積立金についても然りだ。しかし、築年数の古いマンションの中にはスラブ厚が薄い等基本性能が低かったり、給排水管がコンクリートに打込まれているような修繕がしにくいマンションなど、管理状態が良くても如何ともしがたい難を抱えたマンションもある。
都市部において分譲マンションが出始めたのが1970年頃。現在築40年を超える分譲マンションは「分譲マンション黎明期」の物件だ。当時はマンション建築のノウハウが業界内で蓄積されておらず、専有部分の給排水が階下の住戸の天井にあったり、敷地内の平置き駐車スペースが分譲されていたりといった、今の新築マンションでは想像もできない事情を抱えていることがある。
「マンションは管理を買え」という格言?もあるように、マンションの資産価値において管理の良し悪しが占める部分は大きい。しかし1970年代以前の分譲マンションを購入するときは、管理の良し悪し以外の個別要因が大切であることを覚えておいてほしい。
[第176号]築古マンションは「管理が良い」だけで買ってはいけない
2022年09月29日