不動産投資と収益物件の情報サイト「建美家」に住宅系収益不動産の政令指定都市別利回り調査が掲載されていた。これがなかなか興味深い。政令指定都市20都市を比べての講評は同サイトの記事に譲るとし、関西の政令指定都市である大阪市、京都市、神戸市、堺市を見てみたい。
同調査では区分マンション・一棟アパート・一棟マンションの三つのカテゴリーでそれぞれ順位をつけているのだが、関西4都市のそれぞれの順位は以下の通り。
■区分マンション
順位 | 政令指定都市 |
---|---|
11位 | 堺市 |
13位 | 神戸市 |
18位 | 京都市 |
20位 | 大阪市 |
※1位は静岡市
■一棟アパート
順位 | 政令指定都市 |
---|---|
7位 | 神戸市 |
9位 | 堺市 |
10位 | 京都市 |
17位 | 大阪市 |
※1位は新潟市
■一棟マンション
順位 | 政令指定都市 |
---|---|
6位 | 堺市 |
9位 | 大阪市 |
12位 | 神戸市 |
17位 | 京都市 |
※1位は岡山市
■3部門平均
順位 | 政令指定都市 |
---|---|
15.3位 | 大阪市 |
15位 | 京都市 |
10.7位 | 神戸市 |
8.7位 | 堺市 |
大阪市、京都市の順位が低い。利回りが低い=価格が高い、と言えなくもないが、それは同じ利回りの物件がそれぞれ購入時と売却時の価格が同じであった場合、利回りが高い物件を買った方が得、すなわち利回りの低い物件は割高であるということ。最終的に物件が「高い」か「安い」かを判断するには、物件自体の価格がどうなるかも考慮しなければならない。
逆に言えば利回りが高いということは、物件価格に下落の懸念がある。利回りが低い物件に比べ、利回りが高い物件は物件価格が上昇する可能性が低い、といっても良い。
また、この調査では過去からの推移も掲載されている。2019年下半期から今回の2022年上半期の期間、関西4都市で大きく動いたのは一棟アパートの利回り。大阪市(9.63%→7.81%)、堺市(11.39%→9.30%)、神戸市(11.08%→9.79%)と、ほぼ横ばいの京都市(9.03%→9.12%)以外は大きく利回りが下落(=価格は上昇)している。
一棟アパートが関西で人気が高いのは、区分マンションの利回りの低さから説明できる。大阪市の区分マンションの利回りは6.65%と政令指定都市唯一の7%切り、京都市も7.22%。賃料収入を得るためには区分マンションよりも一棟アパートの方が良い。
一方、堺市と神戸市は区分マンションと一棟アパートの利回り差がほとんどない。堺市に関しては区分マンションの方が利回りが高くなっている。あくまで物件次第であることは承知だが、数字だけを見れば「区分マンションを買うなら堺市と神戸市がお得」と言える。
投資用不動産と居住用不動産は別物のように見えても、資産価値を測る際に「賃料がいくら取れるか」を考慮するという点においては同じ。「住まいサーフィン」をご覧になっている方には言わずもかなとは思うが、自宅を検討する際は売買価格を見るだけではなく、賃料と想定利回りを見ることで思わぬ「掘り出し物」が見つかることがある。
※参照:区分マンションで静岡市が3期ぶりに1位(2022年上半期 政令指定都市 住宅系収益不動産「高利回りランキング」)