田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第164号]千里ニュータウン「唯一の始発駅」~阪急線千里線「北千里」駅

2022年03月23日

住まいサーフィン」でいつも私が注目する「今、旬なマンションランキング」。地域トレンドがざっくりわかるので、エリアを俯瞰して見るのに重宝している。大阪北摂のランキング( *)で面白いことが起きていた。全28物件中11物件のアクセスが「北千里」駅だった。登録数1件でもランクインしており、また相当古いマンションもある。これを持ってして「北千里」の人気急上昇!などというつもりはないが、せっかくなので「北千里」駅界隈がどんなエリアなのかを紹介したい。

「北千里」駅は阪急千里線の始発駅。大阪府吹田市北部、北摂と呼ばれるエリアにある。鉄道好きな人なら日本初の自動改札機設置駅として、その名前を知っているかもしれない。千里ニュータウンの北東部に位置し、千里ニュータウン街開きの1962年から5年後の1967年に開業した駅だ。

駅前のロータリーに面してイオン北千里店、dios北千里と二つのショッピングモールがあり、その周囲は住宅街。URの団地や整然とした区画の一戸建て街が広がる。さらにそれを囲むように千里中央公園、千里北公園、万博記念公園と徒歩10~20分内には大規模な公園がある。さすがニュータウンと言うべき計画された都市だ。職住超接近・買物超利便の都心タワーが注目される一方、北千里のようなかつての王道、保守本流、ストロングスタイルとも言うべき住宅街の注目度は減っている。それは、そのような住宅街の多くが交通利便性の悪い場所に位置するのが大きな理由だろうが、この北千里は都心部へのアクセスは優れている。

阪急北千里線は阪急京都線「淡路」駅からの支線だが、本線並みの利便性がある。その大きな理由は本線直通列車があるだけでない。大阪メトロ堺筋線に乗り入れがあるからだ。阪急線は京都線、神戸線、宝塚線、共に終着駅は「大阪梅田」駅。淀屋橋、なんば等の大阪市中央区方面には乗り換えが必要だ。しかし北千里(と言うより千里線各駅)は「天神橋筋六丁目」駅、「北浜」駅などを経由して「日本橋」駅、「天下茶屋」駅まで直通の乗り換えなし。大阪市内中心部への移動は本線よりも便利といえる。

また、「北千里」駅の駅舎は終着駅らしくないホーム形状で、細長い区画の土地が北側に向かって伸びているのと合わせ考えると、過去に延伸計画があったことは想像に難くない。だが、今はその計画もなくなり「北千里」駅は北大阪急行電鉄「千里中央」駅と並んで千里ニュータウン内の座って通勤できる始発駅である。

ところがもう一方の始発駅である「千里中央」駅は、北大阪急行電鉄の延伸が長い時間を得てようやく実現。「千里中央」駅のさらに北側の箕面市まで延びて「箕面船場阪大前」駅と「箕面萱野」駅の2駅が2023年に開業予定となっている。来年からは「千里中央」駅が通過駅となる一方「北千里」駅は「千里ニュータウン内唯一の始発駅」となる。

始発駅の住宅街という古き良きニュータウン感を保持する「北千里」駅。吹田市による「北千里駅周辺活性化支援事業」も進んでいる。5年後10年後の街の変化が楽しみな駅である。

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この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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