田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第146号]マンション名からわかること

2021年06月24日

マンション名にはいろいろなブランド名がある。例えば「今、旬なマンションランキング」の「200戸以上のマンション」のタワーマンションを見ると、「パークタワー勝どき」「ブリリアタワー浜離宮」「プレミストタワー白金高輪」「ブランズタワー芝浦」「プラウドタワー亀戸クロス」「ローレルタワー御堂筋本町」といった名前が並ぶ。

この「パーク(タワー)」「ブリリア」「プレミスト」「ブランズ」「プラウド」「ローレル(タワー)」がブランド名であり、それぞれ三井不動産レジデンシャル、東京建物、大和ハウス工業、東急不動産、野村不動産、近鉄不動産のブランド名だ。

この辺を覚えておけばマンション名を見ただけで事業主が分かり、また事業主が分かればそれぞれの個性、クセ、特徴、そういったものも自ずと見えてくる。

ただ、ブランド名だけで事業主がわかるわけではない。共同事業物件がそうだ。

たとえば「ローレルタワー御堂筋本町」。このマンションは近鉄不動産のブランド名を冠しているが、事業主は近鉄不動産と東急不動産、総合地所の3社となる。東急不動産が事業主なら「ブランズ」という言葉が入っていてもよさそうだが入っていない。共同事業主の一方の知名度が低い場合にも名前を入れないことがあるが、東急不動産にはそれは当てはまらない。おそらく出資割合に差があるものと考えられる。

このように一社だけ事業主名がわかるようなマンション名もあれば、複数社がマンション名でわかる場合もある。「プレミストタワー大阪新町ローレルコート」は大和ハウス工業と近鉄不動産、「ブランズジオ等々力」なら東急不動産と阪急不動産といった具合だ。

出資割合の多い事業主名のブランド名を使う、出資割合の差が大きくなければ両方使う。では出資割合は近いが多数の事業主が関係するような場合はどうするか?どの事業主とも全く関係ない名称を使うこともある。

「SHIROKANE  The  SKY」がそうだ。このマンションの事業主は5社。もしブランド名を冠すると「ブリリアルネシティタワー白金プラウドパークホームズ」などとなってしまう。そんな名前は流石におかしいので、ブランド名の有無で揉めないように全く違う名前をつけるというわけだ。

ただ本物件に関しては、再開発案件であり私企業のブランド名をつけられなかった、またはあえてつけていないということも考えられる。

中古マンションを見る場合は、ブランド名の変遷も知っておいた方がいい。例えば野村不動産。現在メインのブランド名は「プラウド」だが2002年頃までは「ステイツ」、さらにその前は「コープ野村」だった。マンション名で建築時期もある程度わかるということだ。仲介現場にいる年配の方や長く不動産に携わる人であれば、つい野村不動産のマンションを「ステイツ」と言ってしまう人もいるだろうが、30代前半くらいまでの方や最近探し始めた方なら「ステイツ?」となるだろう。

マンション名から取れる情報は案外と多い。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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