東洋経済社が2012年に発刊した「都道府県別幸福度ランキング」、今年もつい先日2020年版が発売された。今回紹介したいのは都道府県別ランキング・政令指定都市ランキングではなく、ちょっと渋めに「48中核都市幸福度ランキング」だ。
ところで「中核市」とは?
中核市は政令指定都市同様に政令で指定される都市であり、政令指定都市の要件が人口50万人以上であるのに対して、中核市は人口20万人以上。2020年4月1日現在全国で60市が中核市に指定されているが、2018年度以降指定された12市は今回のランキングに含まれておらず、48市でのランキングとなる。
まずはランキング中の関西の市を見てみよう。結果は以下の通りだ。
【48中核都市幸福度ランキング】
10位 大津市(滋賀県)
18位 高槻市(大阪府)
26位 奈良市(奈良県)
29位 西宮市(兵庫県)
31位 枚方市(大阪府)
36位 豊中市(大阪府)
37位 和歌山市(和歌山県)
42位 姫路市(兵庫県)
47位 尼崎市(兵庫県)
48位 東大阪市(大阪府)
上位24位までに入っているのは大津市と高槻市の2市のみ。多くの市がランキングの下位に位置する。しかもワースト1、2は東大阪市、尼崎市。関西在住者としてはなんとも寂しい限りだ。
*上位2市は交通と自然で優位
比較的高評価であった大津市と高槻市。共通点は交通利便と自然の豊かさ。両市ともJR東海道線の新快速停車駅があり、名神高速道路が利用可能。自然については、大津市には琵琶湖・比叡山という大きな自然資産があり、高槻市は面積の70%近くが市街化調整区域。ON・OFFのバランスの取れた市と言える。
*「人気の阪神間・北摂」が意外に不振
「住みたい街ランキング」では上位常連の西宮市。大阪梅田まで「御堂筋線一本」の千里中央・桃山台がある豊中市。いずれも中位から下位に沈んでいる。両市とも人口増加率や1人当たりの所得などの基本指標では48市中4位・6位とスペックは高いのだが、生活分野が45位・42位とワースト10に入る。「生活利便」と評されることが多い両市だけに、調査内容が気にかかる。
*工業都市は下位に沈没
40位以下の姫路市、尼崎市、東大阪市はいずれも工業都市。姫路・尼崎は製鉄業で発達した街、東大阪は政令指定都市を除いて工場数が日本一だ。どの市も生活分野・教育分野等での評価は低く、産業構造の転換が図られ工業地が住宅地へと転換されるペースに住環境の改善が追いついていないと言える。
「住みたい街ランキング」的なものでは、関西の人気エリア=北摂・阪神間といったイメージがあるが、「幸福度」ではそれが上位ではなく、奈良市や枚方市といった「馴染みのない市」が比較的上位にあるのも面白い。
ちなみに2018年以降に追加されこのランキングに含まれていない(=追加12市に含まれている)関西の市は、八尾市、明石市、寝屋川市、吹田市。次回のランキングでどのように評価されるのかが楽しみだ。
(参考サイト)「令和初公開!48中核市の「幸福度」ランキング(東洋経済)」