「今、旬なマンションランキング」に関西の物件が都合4物件ランクインしていた。100~199戸の3位「ブランズ北堀江プレイス」、6位「プレミストタワー大阪上本町」、200戸以上の5位「プラウドタワー北浜」、8位「ブランズタワー梅田North」だ。
この4物件、共通点が多い。大きくは3つのポイントにおいて同じカテゴリーの物件と言える。一つ目は全て大阪市内中心部の物件(それぞれ大阪市西区、天王寺区、中央区、北区)であるということ。二つ目は駅近物件であるという事(最寄駅からの徒歩分数はそれぞれ2分、3分、1分、1分)。そして三つ目は事業主が大企業であるという事(それぞれ東急不動産、野村不動産、大和ハウス工業、東急不動産)。
この特徴は、単に一つのサイトのランキングの、ある瞬間だけを切り取っただけの話ではなく、今後日本において「資産価値の下がらない不動産」の特徴とも言える。
まず一つ目のポイント「大阪市内」。これは都心物件と読み替えてほしい。ご存知の通り、日本の人口は減少中であり、世帯数も減少に向かった。しかし、日本全国一様に減少しているのではなく、その減り様はまだら模様だ。例えば、大阪府の人口はここ10年来減少しているが、大阪市の人口は増加している。中でも北区・西区・中央区などは平成22年から平成27年にかけて10%以上増加しているのに対し、大阪市外と境界線を接する区は一部を除いて減少している。人口減少とともに「都心部への集中」も並行して起きていると言える。
二つ目のポイント「駅近物件」。バブル時代は、もちろんエリアによる差はあるが、「駅に近い」は「駅まで歩ける」と言葉の意味にそれほど大きな差はなかった。バス便物件も多かった中、駅に近いの一つの目安は徒歩15分だった。それが徒歩10分になり、今では徒歩5分位内でなければ「駅近物件」とは言えない。「駅徒歩分数の遠い物件ほど下落率が高い」という調査もいくつかある。人口減少とともに「駅前不動産」が増加していく中、「眺望が良い」「近傍の自然環境や買い物利便性が高い」といったプラス要因がなければ「駅遠物件」が資産価値を保つ可能性は低い。
三つ目のポイントは「事業主が大手」。事業主が大手でも安心できないという方もいるであろう。確かに杭工事の不具合や、免震ダンパーのデータ改ざん等、大手事業者の不祥事はあった。だが、大手事業主は資金力があるので、そのような場合においても倒産リスクは低く、対応も誠実である場合が多い。また、都心のタワーマンションなどにおいては海外投資家等が買う例も多く、その場合大手事業主の販売物件であることは大きな「販売トーク」となる。もちろん、中古マンション市場においても同じことが言える。
人口減少による不動産需要の衰退は、すでに起きている。ただそれは、日本全体の総和の話。エリアごとにバラつきがあり、上昇しているエリアも多くあることはご存知の通りだ。今回「今、旬なマンションランキング」をみて、「みんなの意見」が案外と的を射ていることに感心した次第だ。
参考サイト:「今、旬なマンションランキング」
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php
2019/11/15 01:29 現在 30日間お気に入り登録数
大阪府の推計人口
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/3387/00014731/H30nenpou.pdf
平成30年度大阪市の現状分析
https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000466335.html