「今、旬な物件ランキング」の「エリア:すべて」の「100〜199戸」のトップが、関西のマンションだった。この首都圏も含まれる「すべて」に関西のマンションがランク入りすること、しかも一位になることはあまりない。その物件名は「リバーガーデン我孫子前」。大阪市住吉区に建設される。さて、住吉区と言われても(関西人でも)よくわからない人も多いであろう。今回はこの「我孫子エリア」を含む住吉区の紹介をしたい。
【北部は高級住宅街、南部は低利用地の多く残るエリア】
我孫子が位置する住吉区は、大阪市の最南部にあり、堺市との市境である大和川と接している。阪神間や北摂と違い、住宅地としてはあまり名前が上がらないエリアだ。しかしそれは住環境が劣っているからではなく、地元需要が中心となる一戸建てと違い、広域に対して大量の広告投下が行われる分譲マンションが少ないからだ。「分譲マンションが少ないのは住環境が劣っているからではないか?」という見方もできなくはないが、少なくとも住吉区、特に北部についてはその見方は当てはまらない。
住吉区の北部は、上町台地の南端部分と重なり、帝塚山と呼ばれる高級住宅街がある。帝塚山は北側隣接の阿倍野区から住吉区にかけてエリアの総称で、大阪市内では珍しいお屋敷が建ち並ぶ街区。ただそのお屋敷街も、邸宅の敷地がそのまま一棟の分譲マンションになるなどして、徐々に街並みは変わりつつある。区の南部は、もともとは畑等が多くあった未開発エリア。今では住宅開発が進んでいるが、それでも大阪市内他エリアと比べると畑や空き地が等が比較的多く残っている。また、住宅開発は一戸建てが中心であり、大阪市内他エリアと比べ分譲マンションは少ない。なお、冒頭に名前を挙げた「リバーガーデン我孫子前」があるのがこのエリア。分譲マンションが少なく高度利用された土地の少ないエリアに建つ「住吉区最高層(20階建)」にインパクトがあったからだと想像できる。
【交通利便性が高いのが特徴】
前段にも書いたように、住吉区は大和川に接する大阪最南部の区であるが、大和川に接する区は、西側(河口川側)から順に住之江区、住吉区、東住吉区、平野区と4区ある。この4区の中でも、住吉区は交通利便性が高いのが特徴だ。ちなみに4区に通る鉄道は以下の通り。
住之江区
南海本線
大阪メトロ四つ橋線
大阪メトロ中央線
大阪メトロ南港ポートタウン線
阪堺電気鉄道
住吉区
JR阪和線(長居、我孫子町、杉本町)
南海本線(粉浜、住吉大社)
南海高野線(帝塚山、住吉東、沢ノ町、我孫子前)
大阪メトロ御堂筋線(長居、我孫子)
阪堺電気鉄道
東住吉区
JR関西本線
JR阪和線
近鉄南大阪線
大阪メトロ谷町線
平野区
JR関西本線
大阪メトロ谷町線
路線数は住之江区と変わらないが、住之江区は区域のおよそ半分が南港地区と呼ばれる大阪湾に突き出た埋め立てエリアであり陸路での移動が不便。東住吉区についてもJR阪和線・JR関西本線は区境を通っているため区内は南部を中心に鉄道空白エリアが多い。一方住吉区は西から順に南海高野線、JR阪和線、大阪メトロ御堂筋線が区域の南北を貫き、どのエリアでも天王寺・難波等の大阪市内南部の中心市街地への移動にストレスがない。ちなみにJR「住吉」駅は、神戸市東灘区にあるJR東海道線の駅で住吉区とは関係がない。
また、住吉区内にはいわゆる「ちんちん電車」とよばれる路面電車、阪堺電気鉄道(阪堺電車)が走る。阪堺電車には阪堺線と上町線の2路線があり、稜線とも住吉区内を走り、北方向はそれぞれJR環状線と連絡する「新今宮駅前」駅(終点はさらに一駅北側の「恵比寿町」駅)、「天王寺駅前」駅へと向かう。自動車と同じ道を路面電車が走る光景は牧歌的であり、住吉区の魅力といっても良い。
【古墳時代からの歴史が住吉区の魅力】
住吉区のランドマークといえば、住吉大社。本殿は国宝に指定され、日本書紀にも記載がある由緒ある神社。毎年多くの初詣客で賑わうので、行ったことはなくともニュースで見たことがある人も多いであろう。もう一つは大阪府営公園としては浜寺公園とともに大阪で一番歴史の古い公園、住吉公園……と言いたいところだが、この住吉公園。名前は「住吉」だが、西隣の住之江区に位置する。住吉公園は、住吉神社の表参道だった場所にできた公園で、元は住吉区であったがその後分区となり住之江区の含まれるようになった。
住の江の/岸による波/よるさへや/夢の通ひ路(ぢ)/人目(ひとめ)よくらむ
百人一首でおなじみのこの句。冒頭の「住之江」とは住吉の海岸であり、住吉区が詠まれた歌である。紙幅の関係と筆者自身が歴史の専門家ではないので詳しくは書かない(書けない……)が、住吉区は歴史的エピソードの宝庫。古墳時代から現代に至るまでの、歴史を語る様々な古墳や史跡が残る。居住エリアを選ぶ際の価値観が多様化しつつある昨今、注目度が高まる可能性は十分にある。
参考URL:今、旬なマンションランキング(2019/04/11時点)
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php