前回に引き続きマンション騰落率の話。前回は大阪市、神戸市、京都市の区別騰落率を紹介した。今回は2017年の中古マンション騰落率ランキングの上位10物件(関西)をみてみたい。区毎に算出された数字を見るよりもさらに「値上がりしたマンション」の特徴が際立っている。
1)都心ド真ん中の非住宅地
上位10物件のうち京都市中京区と大阪市中央区が3物件ずつ。他も大阪市西区2物件、大阪市北区1物件と大阪/京都の都心物件が並ぶ。トップの「ザ・京都レジデンス岡崎」(京都市左京区)と10位の「グランドパレス夕陽丘」(大阪市中央区)はそれぞれ「岡崎」「夕陽丘」という「人気住所地」であるが、他の物件はどれも「住宅地」とは言えない場所ばかりだ。
2)駅徒歩5分以内
上位10物件のうち8物件が徒歩5分以内。駅徒歩10分以上は1物件もない。駅徒歩6分以上は「人気住所地」として紹介した「ザ・京都レジデンス岡崎」(徒歩9分)と「グランドパレス夕陽丘」(徒歩8分)だけだ。
3)JRでも私鉄でもなく地下鉄沿線
先の2つの条件ではそれぞれ2物件が例外となったが、全ての物件に当てはまる条件がある。10物件とも大阪と京都の違いはあるがどれも地下鉄線の駅が最寄駅なのだ。「都心」「駅近」が地下鉄線最寄なのは当たり前といえるが、JR線や阪急線などの人気沿線人気駅で多くの物件が分譲された中、騰落率上位が全て地下鉄最寄駅というのは興味深い。
4)売主の優劣は関係なし
上位10物件のうち複数物件を供給しているのは野村不動産(「プラウド京都東洞院」「プラウド京都麩屋町御池」いずれも京都市中京区)のみ。他は全て異なる事業主。住友不動産、東急不動産等の大手からシティトラスト不動産、第一交通産業といった中堅以下の事業主まで見事にバラバラだ。
今後、上記条件に当てはまる物件が値上がりするかどうかはわからない。ここ数年で分譲単価が極端に値上がりした大阪のタワーマンション、京都市内中心部の高級物件は価格の調整局面に入っているという見方もある。しかし、人口が減少し住宅が余っていく時代において、「郊外よりも都心」「駅遠よりも駅近」の物件の方が資産価値が崩れにくいのは確かだ。
「2017年中古マンション騰落率ランキング」の記事中に、物件探しの新たな3つのポイントとして「超高級物件」「狭い物件」「再開発物件」が挙げられている。残念ながら東京と違い大阪、京都、神戸の「超高級物件」マーケットは極端に小さい。狙い目は「都心」「駅近」の「狭い物件」「再開発物件」と考えてよい。
(参考)「2017年中古マンション騰落率ランキング」
https://s.sumai-surfin.com/contents/20171219