【概ね堅調だった関西の不動産市況】
2017年、関西の不動産市況は概ね堅調だった。大阪市内のタワーマンションの販売については昨年ほどの勢いは感じられなかったが、活気があった。京都市内は高級マンションの販売が昨年より勢いが減ったがその分を補ってあまりあるほどに旅館業需要に沸いた。一方、神戸市内は西宮市から一連のエリアとなる阪神間エリアの高級住宅街の需要が堅調だったが大阪、京都の市場と比較すると勢いがなかった。この辺りの感覚と近しい数値だったのが平成29年都道府県地価調査の結果だ。京都市、大阪市、神戸市それぞれの都市の対前年平均変動率は住宅地商業地ともに増加したが、少し差のついた結果となった。
【京都・大阪ほど盛り上がらない神戸】
住宅地については三都市の差はほとんどない。京都市1.0%(平成28年0.6%)、大阪市0.5%(0.5%)、神戸市0.5%(0.5%)と三都市ともに前年に続く微増傾向。一方商業地はというと京都市10.3%(平成28年6.5%)、大阪市8.0%(8.0%)、神戸市4.2%(3.6%)と神戸市が水をあけられた格好となっている。京都と大阪が元気で、神戸はそれに及ばない理由として観光効果が挙げられる。
三菱総合研究所の調べ(「関西インバウンドマーケティング基礎調査(2017)」によると2016年の主要な観光地・エリアへの訪問数(年間推計値)は、大阪は、難波、心斎橋が702万人、梅田・大阪駅周辺が551万人、大阪城が443万人、日本橋が420万人。京都は東山が480万人、京都駅周辺が371万人、金閣寺周辺が274万人。両エリアとも100万人を超える方も車があった場所が大阪はUSJ、あべの・天王寺、海遊館・天保山、京都は河原町・烏丸・四条、伏見、嵐山・嵯峨野、等他にも複数あった。
それに対して兵庫(神戸)は最高が神戸・三宮の74万人。残念ながら観光地としての神戸は大阪、京都と比べて人気が低い。ここが京都市10.3%、大阪市8.0%、神戸市4.2%の差となっている。
ただ、来街者数だけを比べると大阪は京都よりも多くを集めており京都市>大阪市の説明がつかない。この逆転の理由は旅館需要にある。
【土地価格を押し上げる】
観光地として多くの人が流入してくることで起きる変化は二点。飲食や物販などの商業施設がその恩恵にあずかることができるのが一点。もう一点は宿泊施設の需要が増えることだ。土地や建物を購入したり借りたりし、商業施設や宿泊施設を運営したいというニーズが増えるため建物賃料、不動産価格が上昇に向かう。もちろん住宅地より商業地のほうがその傾向が大きい。
たとえば2016年度の旅館業営業許可数を見てみよう。国土交通省の発表によると2016年度に旅館業を許可を得た件数は、京都市838件、大阪市206件、神戸市16件。圧倒的な差だ。自身の保有マンションで宿泊施設運営を行う事業者もあるが、新規に旅館業取得する事業者の多くは既存の建物を賃貸で借りる、もしくは購入するまたは建築するという行為を行っている。旅館業の許可が取得されたということは、それだけ不動産が動いたというわけだ。また旅館業の開業は、当然ながら住宅地よりも商業地の方が多い。旅館業需要の差が京都大阪と神戸の差と言え、大阪の4倍超の旅館業許可が京都市商業地が大阪市のそれを上回る理由といえよう。
ちなみに上記の数値を見ると神戸市の新規許可件数が異常に少ないように見えるが16件というのは統計を見ると全国20の指定都市中の7位。しかも3位の福岡市は大阪市の件数とはかなり差のある32件。以下、札幌市30件、広島市25件、名古屋市19件の次であり全国的に見て低い数字であるわけではない。京都市、大阪市の件数の方が異常なのだ。
参考URL
http://www.mri.co.jp/news/press/uploadfiles/WMU20171107_v2.pdf
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001194504(第4章8表)
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