【大阪市内の新築マンション、区別の上昇を比較すると??】
ここ数年、新築分譲マンションの価格が上昇している。体感的にはここ1、2年で上昇率は鈍化しているように感じるが、安くなっている感じはしない。大阪市内も同様だ。では、ここ数年で新築分譲マンションの価格はどのように推移したのかを行政区別の資料(※)を参考に大きなトレンドで見てみたい。
※出典:住まいサーフィン掲載中の2012年以降の分譲マンションデータより作成
ローデータとして使用したのは大阪市内の新築分譲マンションのうち駅徒歩10分以内のマンション。価格の安いバス便マンションのデータが入ることで区毎の単価にばらつきがでないようにだ。「駅近マンション」が多い区は単価が高く出ることになるが、それについては「単価の高いマンションでも市場性がある区」であるという風にも解釈できるため駅徒歩分数による補正等は行っていない。
各区毎に最寄駅からの徒歩分数が10分以内のマンションの平均坪単価を算出、2012年の数値と2016年の数値を比較し上昇幅を「上昇率」とした。なお数値そのものよりも傾向を見ることが目的であるため、2012年の分譲がない区は2013年のデータ、2016年がない区は2015年といった形で算出し、大阪市内24区のうち分譲実績のなかった西成区、生野区を除く22区のデータを作成した。
【上昇率TOP3は中央区、東成区、大正区】
坪単価の比較では、22区全てが上昇していた。しかしばらつきは大きい。40%以上上昇した区が5つ。中央区、東成区、大正区(各148%)、住吉区(146%)、西区(145%)。中央区と西区はそれぞれ心斎橋/難波、靭公園/堀江といった繁華街や人気エリアを抱えており、かつ利便性の高いJR大阪環状線内側エリア。東成区は環状線外側エリアではあるが「森ノ宮」駅/「玉造」駅が最寄となる「環状線内側に準じるエリア」。住吉区については「帝塚山ブランド」が通用するエリアの単価が上昇した結果と想定できる。
北区、福島区はそれぞれ21%、7%と上昇率はそれほど高くない。だからといって北区、福島区の人気がないわけではない。上昇幅が低いのは、北区、福島区両区は近年価格が上昇した東成区、大正区などと違い2012年当時から相場がすでに高かったためだ。ちなみに2016年の坪単価は北区240万円、西区200万円。上昇率TOPの東成区(199万円)よりも高い。
【環状線の使えないエリアは不人気】
上昇はしているが上昇幅が低い区も多い。上昇幅が10%以下の区が7区ある(平野区/10%、旭区/8%、西淀川区/7%、福島区/7%、東住吉区/6%、此花区/2%、東淀川区/2%)。上昇しているとはいえ、供給物件の違いなどを考慮していない数値であるため、横ばいである可能性も高い。
この「横ばい7区」のうち福島区を除く6区の共通点は「環状線の外側エリア」であること。6区とも「環状線が最寄駅」となるエリアをもたない。また大阪市内の南北移動によく利用される大阪市営地下鉄御堂筋線、四ツ橋線、堺筋線の駅もない(谷町線は旭区、東住吉区、平野区内に駅を持つ)。総じて交通利便性の高い大阪市内だが、「環状線も地下鉄も利用しづらい」区は、少なくとも分譲マンション市場では人気が低いようだ。
以上、簡単に大阪市内の区別の上昇率を比較してみた。上昇幅の低い区の人気マンションやその逆もあるが、大きなトレンドを外して物件購入するのはこれから先の「少子高齢化」時代を考えると「ハズレ」る可能性が高い。物件単体を精査するはもちろん大切だが、「大阪市内でのポジション」「5〜10年先の市況」といった大きな視座をもつことも忘れたくない。
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