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老後を快適に安心して過ごしたいと考えるシニア世代にとって、住まい選びは特に重要です。「シニア向け分譲マンション」は、バリアフリー設計なだけでなく共用施設がかなり充実しているので、自立した楽しいシニア生活を送りたい方にぴったりでしょう。しかし、購入前に知っておきたい注意点(デメリット)もあります。
今回の記事では、シニア向け分譲マンションの特徴やメリット、注意点を解説します。
目次
1. シニア向け分譲マンションとは
まずは、シニア向け分譲マンションとは何か?サ高住や有料老人ホームとの違いは?について説明します。
シニア向け分譲マンションは、シニア世代が快適に暮らせるようなサービスや共用施設が充実している分譲マンションです。民間事業者が販売・運営をしています。
シニア向け分譲マンションの特徴
- ● バリアフリー設計
- ● 見守りサービスやサポートサービスがある
- ● レストランや温泉などの共用施設がある
- ● プール・ジム・カラオケルームなどの娯楽施設が豊富
- ● レクリエーションや交流活動が活発
- ● 生活の自由度が高い
※すべてのシニア向け分譲マンションが上記のとおりであるとは限りません
シニア向け分譲マンションは、マンション全体がバリアフリー設計となっています。段差がなくてフラットなので、もし車いすを使うことになっても大丈夫です。トイレやお風呂、寝室など、家の中には緊急用の呼び出しボタンが設置されています。一人暮らしの方でも安心して生活ができます。
共用施設が豪華なのも、シニア向け分譲マンションの特徴です。詳しくは後ほど解説しますが、レストランで栄養バランスの良い食事を取って、温泉でゆったり休むことができます。プールやフィットネスジムなどの健康増進施設、カラオケルームや麻雀ルームなどの娯楽施設があるシニア向け分譲マンションも多いです。
マンションによっては、他の入居者との交流活動が盛んなところもあります。季節ごとのイベントやサークル活動など入居者同士で交流することで、退屈せずに楽しいシニア生活を送ることができるでしょう。
サ高住や有料老人ホームとの違い
シニア向けの住まいには、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や有料老人ホームもあります。それぞれの特徴と、シニア向け分譲マンションとの違いは何なのでしょうか。
サ高住と有料老人ホームの特徴
サ高住は、見守りサービス付きのバリアフリーな賃貸住宅です。施設によってサービス内容はさまざまで、食事提供がある施設や、生活支援サービスやレクリエーションが充実している施設もあります。自由に外出や宿泊ができるので、有料老人ホームよりも生活自由度が高いのも特徴です。サービス内容が最低限であれば、かかる費用は3種類の中では最も安価になります。
有料老人ホーム(住宅型)は、食事提供や手厚い生活支援サービスを受けられる居住施設です。レクリエーションなどを通じて利用者同士の交流も行われます。だいたいの1日のスケジュールが決まっていて、外出や宿泊をする場合には申請をしなければなりません。契約方式は利用権方式で、入居時に一時金を支払うことで、その施設を利用する権利を得ることができます。居室や共用設備の費用、各種サービスの費用がひとまとめにパッケージ化されています。
シニア向け分譲マンションとの違いを、表で比較してみます。
※下記の比較表において、サ高住は一般型、老人ホームは住宅型で、どちらも介護を必要としていないとします
シニア向け分譲マンション | サ高住 | 有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
契約形態 | 売買契約(所有権) | 賃貸借契約 | 利用権方式 |
設備 | 一般的な分譲マンションと同じ。 共用施設も充実。 |
キッチン、トイレ、洗面台。 風呂は共用のことが多い。 |
洗面台、トイレ。 風呂は共用。 |
居室の広さ | ◎35~70㎡台 | △原則25㎡以上 | ×13㎡以上 |
食事提供 | 〇 | △ | 〇 |
自炊 | 〇 | △キッチンは共用のこともある | × |
生活支援サービス 健康管理サービス |
〇 | △ | ◎ |
レクリエーション | 〇 | △ | 〇 |
生活自由度 | 〇 | 〇 | × |
相続の対象 | 〇 | × | × |
初期費用 | 数千万~数億円 | 0~数百万円 (相場は数十万円) |
0~数千万円 |
月額目安 | 10~20万円前後 (物件購入費用は除く) |
10~30万円前後 | 10~30万円前後 |
サ高住と有料老人ホームは、初期費用が0円~となっています。それは、初期費用が0円のプランもあるからです。サ高住には敷金や礼金が0円の施設があります。有料老人ホームでは、初期費用が多くかかるけれど月々の支払いが抑えられる「前払い式」と、初期費用が少なくて済む代わりに月々の支払いが高い「後払い式(月払い式)」の2種類に分かれています。
サ高住の費用については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは何か?費用や特徴について解説!
サ高住の特徴や費用相場、老後の住まいの選択肢について解説します。
比較表を見て分かるように、シニア向け分譲マンションは、一般型サ高住と住宅型有料老人ホームのいいこと取りをした住まいと言えるでしょう。また、シニア向け分譲マンションを買えば「所有」することになるので、相続の対象にもなります。次の章では、シニア向け分譲マンションのメリットを詳しく解説していきます。
2. シニア向け分譲マンションのメリット
つづいて、シニア向け分譲マンションのメリットをご説明します。
共用施設が豪華
シニア向け分譲マンションは、共用施設がかなり豪華なものになっています。
シニア向け分譲マンションの共用施設一覧(例)
- ● レストラン
- ● 温泉(大浴場)
- ● プール
- ● フィットネスジム
- ● カラオケルーム
- ● シアタールーム
- ● 図書室
- ● 麻雀ルーム・囲碁将棋ルーム
- ● ゲストルーム
- ● ラウンジ
レストランと温泉は、ほとんどのシニア向け分譲マンションで採用されている共用施設です。レストランは栄養バランスの取れた食事を提供してくれるだけでなく、入居者同士が自然と集まる場でもあります。孤食を防ぐことで、健康面にも良い影響を与えてくれるでしょう。温泉は、シニア向け分譲マンションの中でも特に人気がある施設です。「ゆっくりお湯に浸かりたいけど、高齢になると風呂掃除が大変…」という悩みを持っている方も多いですよね。掃除や光熱費を気にせずに、毎日温泉に入ることができます。
また、プールやフィットネスジム、カラオケ&シアタールームなどの娯楽施設も充実しています。こういった施設を利用したサークル活動が行われているところもあり、他の住民との交流を楽しみながら生活を送ることができるでしょう。
個人の好みに合った自由な生活を送れる
シニア向け分譲マンションでは、一人一人の好みに合った生活を送ることができます。毎日友人と話をしたい人、一人の時間の方が好きな人など、どんなシニア生活を送りたいのかは人それぞれ違います。「一人だと寂しいから有料老人ホームに入ったけど、自由な時間が少なくて疲れる…」という方もいるようです。
シニア向け分譲マンションは門限や外泊の制限はなく、毎日の生活も自由です。共用施設が充実しているので友人も作りやすく、サークル活動などで新しい趣味を見つけることもできるでしょう。居室内にはキッチンやお風呂もある※ので、「たまには自炊をやりたい」「一人で入浴したい」という希望も叶えてくれます。
※間取りによっては、居室内にキッチンやお風呂がないこともあります
サポートがあるから安心・安全
シニア向け分譲マンションは、24時間有人管理やコンシェルジュサービスなど、安心のサポート体制となっています。急に体調不良になったり、転んで怪我をしてしまったりしても、すぐに駆け付けてくれます。近隣の病院や介護施設と提携していて、訪問診療や訪問介護に対応しているところも多いです。
また、シニア向け分譲マンションはセキュリティも万全です。高齢者を狙った詐欺や強盗が増えていて、手口も巧妙化しています。「戸建て住宅に高齢夫婦だけで暮らすのは心配」「一人暮らしだから怖い」という方は、シニア向け分譲マンションやサ高住を検討してみてください。
下記の記事では、空き巣・強盗に狙われやすい家の特徴や対策方法を解説しています。
戸建てにおすすめの防犯グッズ!空き巣・強盗に狙われやすい特徴も解説
空き巣・強盗の被害リスクを軽減するためのおすすめの防犯グッズや防犯対策をご紹介します。
自分の資産だから自由にリフォーム・売却・相続もできる
シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションと同じように「所有」することになります。サ高住などの賃貸住宅と違って、居室内を自由にリフォームすることが可能です。また、自分の子どもや孫に相続したり、第三者に売却したり、賃貸に出したりすることもできます。自分の資産だからこそ、いろいろな選択ができます。
3. 全国のシニア向け分譲マンションを紹介
次に、シニア向け分譲マンションには具体的にどんな物件があるのかをご紹介します。
多くの有名分譲マンションには、シリーズ名(ブランド名)があります。シリーズ名とは、例えば三井不動産レジデンシャルの「パークコート」や「パークタワー」、住友不動産の「シティハウス」や「シティタワー」などのことです。
シニア向け分譲マンションにもさまざまなシリーズがあるので、ご紹介します。
中楽坊シリーズ(メインエリア:関西)
デュオセーヌシリーズ(メインエリア:首都圏)
ダイヤモンドライフシリーズ(メインエリア:首都圏)
エイジングコートシリーズ(メインエリア:関西)
イニシアグランシリーズ(エリア:札幌、福井)
サンミットシリーズ(エリア:大阪、茨城県)
物件によっては、中古マンションとして販売されているものがあります。住まいサーフィンの物件詳細ページでは割安度の判定などもできますので、参考にしてください。
※こちらは参考画像となります。
また、先ほどご紹介したシリーズ以外にも、シニア向け分譲マンションはあります。例えば下記がシニア向け分譲マンションです。
4. シニア向け分譲マンションのデメリット・注意点
最後に、シニア向け分譲マンションのデメリット・注意点を解説します。
物件価格・毎月の諸費用が高い
シニア向け分譲マンションは、サ高住や有料老人ホームと比較すると費用が高いです。物件によりますが、マンション価格は数千万円以上です。例えば現在分譲中のデュオセーヌさいたまSouthは第1期2次先着順価格が3,698万円~7,998万円(47.53㎡~70.56㎡)、ちさと村 中楽坊は先着順販売価格が4,210万円〜11,340万円(45.48㎡〜91.80㎡)となっています。
シニア向け分譲マンションを現金一括で購入する方もいれば、お金を借りて購入する方もいるでしょう。しかし、高齢になると住宅ローンの審査に通りにくくなるので、注意が必要です。
ローンの中には、シニア向けの商品「リバースモーゲージ」というものもあります。リバースモーゲージでは、毎月利息のみを返済します。そしてお金を借りた人が亡くなったときに、自宅(今回の場合は、シニア向け分譲マンション)を売却することでローンが一括返済されるという仕組みです。
リバースモーゲージなら借入時の年齢上限がない商品が多いので、高齢でも資金調達しやすくなっています。また、月々の返済負担が小さいのも大きなメリットです。ただし、複数のリスクがあるので、安易に借りるのはおすすめできません。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
リバースモーゲージの仕組みやメリット・デメリット、注意点を解説します。
なお、シニア向け分譲マンションでは、毎月諸費用も支払わなければなりません。分譲マンションなので毎月管理費・修繕積立金の支払いが必要で、それ以外にも各種サービス料や食事代などがかかってきます。合計で月額10~20万円前後のことが多いようです。また、分譲マンションなので毎年固定資産税も発生します。以上のことから、シニア向け分譲マンションはかなり資金に余裕がある人でないと難しいでしょう。
要介護などの状態によっては、住み続けることができなくなる
シニア向け分譲マンションは、元気に生活している人に適した住まいです。外部の訪問介護サービスと提携している物件も多いですが、基本的には自立した生活が求められます。そのため、要介護状態が重くなった場合や、認知症が進行した場合には、住み続けられなくなる可能性があります。
物件数が少なく、特に新築はなかなか無い
シニア向け分譲マンションは、サ高住や有料老人ホームと比べて、物件数が少ないです。希望エリアにシニア向け分譲マンションがない場合や、選択肢がかなり限られてしまう場合も多くなっています。新築または築浅の住まいを希望する場合には、賃貸のサ高住や、一般的な分譲マンションも含めて探すようにしましょう。
一般的な分譲マンションと比べると、資産価値は低くなることが多い
シニア向け分譲マンションは自分の資産になりますが、一般的な分譲マンションよりは資産価値が低い可能性があります。その主な理由は、下記のとおりです。
シニア向け分譲マンションの資産価値が高くない理由
- ① 立地が良くないことが多い
- ② 購入する人は限られるので、スムーズに売却できない可能性がある
例えば東京都稲城市の若葉台駅周辺には、「ダイヤモンドライフ若葉台」というシニア向け分譲マンションがあります。若葉台が最寄り駅の周辺の分譲マンションと中古値上がり率を比較してみました。
マンション名 | 値上がり率 | 竣工年 | 徒歩分 |
---|---|---|---|
ダイヤモンドライフ若葉台 | -5.3% | 2019年12月 | 徒歩14分 |
若葉台ザ・レジデントパークス | 25.4% | 2008年3月 | 徒歩11分 |
オーベル若葉台ヒルズ | 38.1% | 2015年3月 | 徒歩5分 |
※2024年11月25日時点の情報となります。
中古時価は市況により変動します。最新の数値を確認したい方は物件名をクリックし、物件詳細ページにてご確認ください。
多くのシニア向け分譲マンションは資産価値が高くないので、大幅に値下がりする可能性もあります。相続人に資産を残すというのが主な目的であれば、一般的な分譲マンションの購入がおすすめです。交通・生活利便性が高い立地であれば、日常生活には困らないでしょう。リフォームも自由ですし、リフォーム内容によっては補助金をもらえることもあります。資産価値が高いマンションの探し方は、この後のまとめをご覧ください。
5. まとめ
今回の記事では、シニア向け分譲マンションの特徴とメリット・デメリットを解説しました。
シニア向け分譲マンションは豪華な共用施設が魅力的で、食事提供やコンシェルジュなどの生活支援サービスも充実しています。しかし、費用が多くかかるので、サ高住・有料老人ホーム・分譲マンション(戸建て)とよく比較検討するようにしましょう。特に住宅購入する場合には、情報収集が重要です。とはいえ、どういった情報収集をどうすれば良いか分からないという方も多いでしょう。
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