拙著「マンションを今すぐ買いなさい」に書いたように、今後出てくるマンションは価格が高くなるだけではない。
建築受注が前年度比4割もアップしている建設業界にとって、施工不良や納期遅れを避けるのは容易ではない。
ザ・パークハウスグラン南青山高樹町の報道は氷山の一角に過ぎない、と考えた方がいい。
それも、三菱地所レジデンスと鹿島建設という大手同士の組み合わせですら起こっている現状に鑑みると、中堅以下は想像するのが怖くなるほどだ。
こうした構造に関する問題は専門性も高く、誰も気づかないケースは多い。
その代表例が姉歯・ヒューザー事件であり、施工会社が鉄筋の少なさを指摘したことに端を発する発覚劇だった。
つまり、分譲マンションとして建っているものの耐震診断をするには、1000万円規模の専門的な調査が必要であり、個人が判断できるレベルではない。
何十万かけたところで、インスペクションはまったく役に立たなかったことは既に証明済みである。
これからの新築はそうしたリスクを内包していることを理解することから始めたい。
建築の安心を買いたいなら、建築費が安く、分譲価格も安かった時代の物件はリスクが低くなる。
2001~06年、2011~13年に竣工した物件がそれに該当する。
逆に気にしないことにして割り切ってしまうのもありだと思う。
瑕疵担保保険で、築10年以内は担保されるのだから、いざとなったら保険があるという考え方である。
いずれにしても、購入する側が気持ちを固めて、覚悟を決めた方がいい。
[第414号]「施工不良は対岸の火事ではない」
2014年02月04日