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2024年7月31日に、日銀(日本銀行)は政策金利の追加引き上げを決定しました。この決定は、住宅ローンにどのような影響を与えたのでしょうか。
また、10月の日銀会合では政策金利は据え置きとなりましたが、「今後近いうちに利上げされる可能性が高い」という報道もあります。変動金利や固定金利はこれからどのように推移していくのでしょうか。
本記事では、住宅ローン金利の最新情報と今後の動向について解説します。
目次
1.今後の金利推移はどうなる?
気になる住宅ローンの金利推移について、先にご説明します。
7月に日銀が政策金利の利上げを決定したことにより、2024年秋に一部金融機関で変動金利が0.15%引き上げとなりました。
ただし、金融機関によって対応は分かれていて、優遇金利を拡大することで新規借り入れや借り換えの金利は据え置きとしているところもあります。
また、2024年11月にはりそな銀行が「WEB完結金利優遇キャンペーン」を開始。キャンペーンの条件を満たせば、従来の水準である0.3%台で借りることができます。
このように、各金融機関の住宅ローン利用者の獲得競争は激しくなっています。
2024年11月1日現在の、主な金融機関の金利(変動金利)はこちらの図のとおりです。2024年4月時点の最優遇金利との差も算出しています。
※住信SBIネット銀行・PayPay銀行・イオン銀行・SBI新生銀行は、自己資金が10~20%以上の場合の優遇金利
2024年11月1日時点
住宅ローン最優遇金利(変動)
銀行名 | 新規 | 借り換え | 4月との差 |
---|---|---|---|
三井住友銀行 | 0.625% | 0.625% | +0.15% |
みずほ銀行 | 0.375% | 0.375% | – |
三菱UFJ銀行 | 0.345% | 0.345% | – |
りそな銀行 | 0.390% | 0.390% | +0.05% |
住信SBIネット銀行 | 0.448% | 0.448% | +0.15% |
auじぶん銀行 | 0.479% | 0.469% | +0.16% |
PayPay銀行 | 0.465% | 0.499% | +0.15% |
ソニー銀行 | 0.647% | 0.647% | +0.25% |
イオン銀行 | 0.530% | 0.530% | +0.15% |
SBI新生銀行 | 0.410% | 0.410% | +0.12% |
楽天銀行 | 0.844% | 0.844% | +0.261% |
各金融機関の固定金利は、こちらの記事でご紹介しています。
既に住宅ローンを変動金利で借りている人については、2025年1月返済分から影響が出る場合が多いです。多くの金融機関では毎年4月と10月に適用金利が見直されて、その2~3ヶ月後から実際の適用金利に反映されます。
住宅ローン返済中の場合
今後どれだけ金利が上がる?
銀行名 | 影響時期 | 上昇幅 | 5年・125% ルール |
---|---|---|---|
三井住友銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | あり |
みずほ銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | あり |
三菱UFJ銀行 | 2024年12月 返済分〜 |
+0.15% | あり |
りそな銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | あり |
住信SBIネット銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.25% | あり |
auじぶん銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.25% | あり |
PayPay銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | なし |
ソニー銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.25% | なし |
イオン銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | あり |
SBI新生銀行 | 2025年1月 返済分〜 |
+0.15% | なし |
楽天銀行 | 2025年4月 返済分〜 |
未定 | あり |
|
※左端の●は金利の基準。独自基準の場合、短プラだけでなく資金コスト・営業コスト・収益なども加味して決定。
※11月1日現在の情報のため、変更になることがあります。
5年ルール※が適用されている人については、必ずしも直ちに返済額が増えるわけではありません。しかし、返済額における利息の割合は大きくなります。
※5年ルールが適用される場合、返済額は5年間一定になります
続いて、今後の固定金利についても簡単にご説明します。
固定金利も今後上昇していく可能性があります。
2024年7月30・31日に行われた日銀金融政策決定会合で、長期国債買入れの減額計画が決まりました。買入れが減額することで国債の需要が少なくなり、国債の価格減少に繋がります。国債価格が減少すると利回り上昇になる、つまり長期金利は上昇すると考えられます。
後ほど詳しく解説しますが、住宅ローンの固定金利は長期金利(10年国債の利回り)が基準です。そのため、長期国債買入れの減少は固定金利に影響を与えることになります。
ここからは、日銀の金融政策と今後の住宅ローン金利についてさらに詳しく見ていきます。
今後の変動金利
まずは多くの人が借りている変動金利について解説します。
変動金利は、短期金利(短期プライムレート)が基準となっていることが多いです。短期プライムレートは、主に日銀の金融政策(政策金利)から影響を受けます。
2024年7月に、日銀は政策金利の追加利上げを発表。短期金利(無担保コールレート)は0.25%程度で推移することになりました。引き上げ幅は、0.15%です。
ここで、無担保コールレートと短期プライムレートの違いを見てみましょう。
- 無担保コールレート:金融機関同士が無担保で資金を借りて、翌日に返済する取引にかかる金利
- 短期プライムレート:金融機関が最優良企業にお金を貸し出す際の「最優遇貸出金利」のうち、1年以内の短期貸出金利→変動金利の基準
短期プライムレートは、無担保コールレートを参考にして各金融機関が独自に決定する利率です。無担保コールレートが上がれば短期プライムレートが上がって、その後変動金利の基準金利も上がります。
それでは、今後も利上げが続いていくのでしょうか。
2024年10月30・31日に日銀の金融政策決定会合が行われ、政策金利は据え置きされることが決定しました。しかし植田総裁の会見によると、「経済・物価の見通しが実現すれば、金利を引き上げる」「利上げのタイミングは予断を持たずに判断する」とのことです。早ければ2024年12月に利上げが決定するかもしれません。
金利がどれくらい上がるのかというのも、気になる問題です。日銀の9月会合では「経済・物価がオントラックで推移していく場合、早ければ2025年度後半の1.0%という水準に向けて、段階的に利上げしていくパスを考えている。」という意見がありました。政策金利1%というと、今よりも金利が0.75%上昇するということになります。
このように今後も利上げが続く(つまり変動金利も上昇が続く)可能性が高いですが、そのためには日本の経済成長が不可欠です。経済情勢が悪いのに金利だけが上がっていくということは考えづらいでしょう。
今後の固定金利
固定金利については、10年国債利回りなどの「長期金利」を参考に決められます。
国債とは国が発行する債券で、国は投資家からお金を借り入れて、一定の利子を支払います。利回りとは投資金額に対する利益の割合のことで、償還期間が10年のものが10年国債です。
10年国債利回りは、市場の取引状況(投資家の動き)によって決まります。
最近の10年国債利回りの推移をご説明します。
日本の10年国債利回りは、2024年4月頃から上昇傾向になり、5月29日には一時1.075%と2011年12月以来の12年ぶりの高水準となりました。
その後は落ち着いた状態となっていましたが、2024年10月は上昇傾向でした。
ここで住宅ローン金利の話に戻りましょう。
2024年11月は多くの金融機関で固定金利が引き上げられました。引き上げ幅は、10年固定金利の場合は0.01~0.11%です。
それでは、固定金利は今後どうなるのでしょうか。結論としては、上昇する可能性がありますが、低下する可能性もゼロではありません。
- 今後の固定金利(10年国債利回り)に関連すること
- ● 日銀の長期国債買入れ減額:上昇する可能性がある
- ● アメリカFRBの利下げ:低下する可能性がある
先ほど解説したように、日銀の長期国債買入れ減額によって、結果的に固定金利が上昇していくことが予想されます。
しかし、日本の10年国債利回りは欧米の影響も受けやすいです。アメリカFRBは2024年9月18日に0.5%利下げすることを決めました。今後の会合でも利下げが継続すれば、10年国債利回りが低下する可能性があります。
ただし、(アメリカの)10年国債利回りは10月に急上昇していることもあり、先は読めない状況です。大統領選の結果やその後の政策によっても変わってくるでしょう。
固定金利は金利が上下しやすく、さらに先が予想しづらい状況です。物件契約から融資実行までの期間が長い場合には、契約時点の参考金利から大幅に変わる可能性もあるということを念頭に置いてください。
マンション価格は今後も上昇していく
マンション価格の高騰が続いていますが、その大きな原因が金融緩和(マイナス金利政策)です。マイナス金利政策が行われている間は、金融機関が日銀にお金を預けるとマイナスになってしまいます。そのため、金融機関は積極的に企業や個人にお金を貸すようになりました。
結果的に不動産デベロッパーにも多くのお金が流れ、マンション用地の仕入れ価格は上昇し続けました。
マイナス金利政策が解除されて政策金利が上がっているなら、マンション購入は価格が下がるのを待ってからの方が良いのでしょうか。
残念ながら、マンション価格は2026年頃までは下がらないことがほぼ決まっています。マンションは土地の仕入れから販売まで2~3年ほどかかるからです。
建築資材や人件費も高騰しているので、価格はしばらく下がらないでしょう。
ただし、マンション価格が高騰しすぎているのも事実で、購入できる人も限られています。需要が低いエリアでは、売り上げが伸びなくて値下げに踏み切ることもあるかもしれません。
多くのエリアでは今後も価格が上がることが決まっていて、そして住宅ローンは低金利だからこそ、早めに住宅購入をすることが重要です。
今の変動金利の相場は0.4~0.5%ですが、一部金融機関では0.3%台で借りることもできます。団信が充実している金融機関も多く、住宅ローン控除制度もあります。
将来金利が上がって返せなくなることが不安な場合には、資産性を重視して住宅選びをしましょう。
資産性が高い住宅であれば値下がりしづらく、いざというときのリスクヘッジとなります。
資産性が高い住宅の選び方は記事のまとめでご紹介しています。
2.2024年11月の住宅ローンの金利推移
2024年11月最新の住宅ローンの金利についてご説明します。
変動金利の最新金利
変動金利はほとんどの金融機関で金利は据え置きとなりました。ソニー銀行・SBI新生銀行・楽天銀行は前月よりわずかに金利が引き上げられました。
今月から、SBI新生銀行は自己資金を10%以上出すことで金利が0.02%優遇されるプランを開始。また、りそな銀行も手続きをWEBで完結した人が対象になる金利優遇キャンペーン(金利0.1%引き下げ・期間限定)を開始しました。
11月は多くの金融機関において0.4~0.5%台で新規借入することが可能です。
各金融機関の金利を知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
なお、既に住宅ローンを借りている人については、2025年1月返済分から0.15%前後金利が上がるケースが多くなっています。5年ルールがある場合はすぐに返済額は変わりませんが、返済額における利息の割合は大きくなります。
固定金利・フラット35の最新金利
固定金利は、前月よりも引き上げとなりました。0.03~0.05%引き上げとなったケースが多いですが、金融機関によっては0.1%ほど引き上げとなっています。
全期間固定金利であるフラット35(借入期間21~35年、団信あり、融資率9割以下)の11月の金利は、1.84%でした。フラット35は、10月の金利から0.02%上昇しています。
3.住宅ローンを借り換えるなら今はベストタイミング
既に住宅ローンを借りている人の中には、「私の契約している住宅ローン、金利が相場に比べて高い」「いざというときのためにも、団信をもっと手厚い内容にしたい」と考え、借り換えを検討している方もいらっしゃるでしょう。
借り換えをしたいという方は、今がベストなタイミングと言えます。
変動金利は、2009年から15年ほど基準金利が変わっていない状態でした。しかし、2010年頃の金利相場と2023年頃の金利相場を比べると、2023年の方が圧倒的に低金利となっています。
その理由は、金融機関が自分の住宅ローンの商品を魅力的に見せるために、引き下げ幅を拡大して適用金利を下げているからです。
金融機関の住宅ローン契約者獲得競争は続いています。2024年秋にはほとんどの金融機関で基準金利が上がりましたが、引き下げ幅をさらに拡大させることで適用金利を据え置きとしている金融機関もありました。
借り換えでも、新規借り入れと同じ引き下げ幅を設定している金融機関も多いです。さらには新規借り入れよりも借り換えの方が金利優遇されていることもあります。
借り換えに関する手数料などを加味しても、金利の差を考えると借り換えをした方がお得なケースが多いでしょう。
今後も金利が上がっていく可能性があるからこそ、引き下げ幅が小さい方は借り換えをすることをおすすめします。
借り換えについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
住宅ローン借り換えのタイミングは?金利を見直すときの注意点まで徹底解説!
借り換えのタイミング、メリット・デメリットについて解説します。
4.まとめ
住宅ローンの変動金利は、今後上昇していくことになります。それなら固定金利の方が安心だと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、必ずしもそうとは限りません。固定金利はこの1~2年で大きく上昇したので、変動金利との金利差が大きくなっています。
変動金利と固定金利どちらが良いか迷っているという方は、こちらの記事をご覧ください。
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