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住まいサーフィン編集部

住宅ローン金利の決まり方を解説。変動と固定はこう違う!

2025年05月02日

更新日最終更新日:

住宅ローン金利のイメージ図

マイホーム購入時に、多くの人が利用する住宅ローン。その返済額を大きく左右するのが「住宅ローン金利」です。金利が高ければ利息の負担が増え、返済総額も膨らんでしまいます。しかし、その金利はどうやって決まっているのでしょうか?

今回の記事では、住宅ローン金利の基本的な決まり方と、変動金利・固定金利で異なる仕組みをわかりやすく解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 住宅ローン金利の仕組み

まずは、住宅ローン金利がどのような仕組みで決まるのかをご説明します。

人によって適用金利は違う

住宅ローンといえば「ネット銀行は低金利、メガバンクは高め」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし最近では、メガバンクでもネット銀行並み、あるいはそれを下回る最優遇金利を提示するケースが増えています。

特に変動金利では、メガバンクでも最優遇が適用されれば0.5%台で借りられることがあり、条件によってはネット銀行より有利な場合もあります。
一方でネット銀行は、比較的安定して低金利が提示されるうえ、金利上乗せなしで団信の保障が手厚い商品が見られます。

ただし、こうした“最優遇金利”がすべての申込者に適用されるわけではない点には注意が必要です。
実際の適用金利は、次のような仕組みで決まります。

  • 基準金利 − 優遇金利 = 適用金利(実際の金利)

住宅ローン金利の基本構造

なお、優遇金利は「優遇幅」や「引き下げ幅」と表現されることもあり、その幅は申込者の属性や利用条件によって異なります。
つまり、同じ金融機関・同じ住宅ローン商品でも、実際の金利は人によって異なる可能性があるのです。

住宅ローン金利個別の決まり方

住宅ローン金利の決まり方は何となく分かったものの、このような疑問を持った人もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • ● そもそも基準金利って何?どうやって決まるの?
  • ● 優遇金利は返済期間中ずっと同じってこと?
  • ● 変動金利と固定金利は基準金利の決まり方が同じなの?

住宅ローン金利の決まり方は少し複雑なので、分かりにくい部分が多いです。それぞれ詳しく解説していきます。

基準金利(店頭金利)とは

住宅ローンの金利を理解する上で、まず押さえておきたいのが「基準金利」です。

これは各金融機関が独自に設定している、住宅ローン金利の「定価」のようなもの。「店頭金利」とも呼ばれますが、両者に違いはありません。

例えば、三菱UFJ銀行の住宅ローン基準金利はこのようになっています。

三菱UFJ銀行の基準金利(2025年5月時点)

  • 変動金利:2.875%
  • 固定金利(固定3年):4.01%
  • 固定金利(固定10年):4.41%

このように、多くの金融機関では、変動金利と固定金利で基準金利が異なっています。また、固定金利の場合は「固定する期間の長さ」によっても基準金利が変わってきます。

なぜ金利の種類によって基準金利が違うのかというと、基準金利を決めるベース(基準)となる指標が違うからです。詳しくは次の「変動金利と固定金利の基準の違い」で解説します。

なお、優遇金利が一定であれば、基準金利が変化しない限り適用金利はずっと同じです。しかし基準金利が引き上げられると、それに連動して適用金利は上がってしまいます。
つまり、住宅ローンを返済することになった場合には基準金利に注目する必要があるということです。

優遇金利の決まり方

次に、住宅ローンの適用金利を大きく左右する「優遇金利」について見ていきましょう。

優遇金利とは、基準金利から引き下げになる金利幅のことです。優遇金利の大きさによって、適用金利が決まります。
例えば基準金利が2.0%で優遇金利が▲1.5%だと、適用金利は0.5%になります。

優遇金利は、主に住宅ローンの審査結果によって個別に決定されます。年収、勤務先、借入額、信用情報などの条件が考慮され、信用力が高いほど優遇幅が大きくなる傾向があります。

また、金融機関によっては、一定の条件を満たすことで優遇幅が拡大される仕組みも用意されています。

優遇金利の拡大例

  • auじぶん銀行
    auモバイル契約などの関連サービス利用
  • 地方銀行など:
    ①給与振込口座の指定
    ②指定のクレジットカード保有
    ③カードローン契約の締結

このような条件を満たすことで、金利面での優遇を受けられることがあります。

なお、優遇金利には、「通期優遇型」「当初優遇型」の2種類があります。

  • 通期優遇型:返済期間を通じて優遇幅が一定
  • 当初優遇型:一定期間を過ぎると優遇幅が縮小し、適用金利が上昇する

優遇金利の2タイプ

変動金利や全期間固定金利の場合は、「通期優遇型」が主流です。
一方、「5年固定金利」「10年固定金利」などの期間選択型固定金利の場合は、「当初優遇型」が採用されることが多く、固定期間終了後に金利が一気に上がる可能性がある点に注意が必要です。
※期間選択型固定金利とは、あらかじめ決めた固定期間終了後に、変動金利か固定金利どちらかを選ぶタイプの住宅ローン

このように、優遇金利は住宅ローンの実質的な金利を決める重要な要素です。
金利タイプと合わせて、優遇の仕組みや条件を理解することが、賢い住宅ローン選びにつながります。

2. 変動金利と固定金利の基準の違い

つづいて、変動金利と固定金利の金利の決まり方の違いについてご説明します。

住宅ローンは、大きく分けると「変動金利」と「固定金利」の2タイプになります。
変動金利が返済期間中に金利が変わる可能性があるタイプで、固定金利は金利が一定のタイプです。
さらに、固定金利にはずっと金利が一定の「全期間固定金利」と、設定した期間だけ金利が一定の「期間選択型固定金利」があります。

変動金利と固定金利は、基準金利を決める“指標”が異なるため、動き方にも違いがあります。

  • 変動金利:短期金利(短期プライムレート)をもとに決まる
  • 固定金利:長期金利(10年国債利回り)をもとに決まる

※金融機関によっては、資金調達コスト・営業コスト・収益等も含めて総合的に勘案する場合や、別の指標を基準としている場合があります

変動金利は短期プライムレートをもとに決まる

変動金利の基準となっている短期プライムレートとは、金融機関が信用力の高い企業に短期間(1年以内)で融資する際の最優遇貸出金利を指します。

現在、主要行の短期プライムレートの最頻値は「1.875%」となっています。
記事前半で三菱UFJ銀行の変動金利の基準金利が「2.875%」であると紹介しましたが、数字が似ていますよね。
メガバンクや地方銀行では、短期プライムレートに+1%したものを変動金利の基準金利としていることが多いです。

短期プライムレートは、日銀が決める政策金利に連動する仕組みになっています。長らく低水準で推移していましたが、状況は徐々に変わりつつあります。

2013年以降、日銀は大規模金融緩和政策を続け、短プラは長年1.475%の低水準で据え置かれてきました。しかし、2024年3月のマイナス金利解除に加え、同年7月、そして2025年1月には追加の利上げが実施されたことで、短プラも上昇。
現在は1.875%となっており、住宅ローン金利にも、日銀の利上げの影響が表れ始めている状況です。
※日銀の金融政策について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

このように、短プラが上がれば、それをもとに決まる変動金利の基準金利も上昇するため、今後も適用金利が引き上げられる可能性が高くなっています。

政策金利が上がる
→ 短期プライムレートが上がる
→ 変動金利の基準金利が上がる
適用金利も上がる

固定金利は長期金利(10年国債利回り)がベース

一方、固定金利は「10年国債利回り」などの長期金利を参考に、基準金利が設定されます。10年国債とは、政府が発行する満期10年の債券で、国が投資家からお金を借り、利子を支払う仕組みです。
その利回りは、投資家の需給によって変動します。

例えば、「今後金利が上がりそう(儲かりそう)」と投資家が予想すれば、10年国債は売られて利回りが上昇します。逆に、将来の金利が下がると見込まれる場合は、利回りが下がる傾向にあります。

固定金利の基準となる10年国債利回りは、市場の影響を受けて日々変動しており、変化の幅も大きいのが特徴です。
特に2025年3月下旬から4月にかけては、短期間での乱高下が目立ちました。

10年国債利回り推移

2025年3月27日には、一時1.59%台まで上昇。しかしトランプ政権が追加関税の実施を検討していると報じられたことで、リスク回避の動きが強まったことから、4月上旬には1.1%台まで急低下しました。
その後、「関税措置を90日間延期する」との発表が行われたことで、過度な警戒感がいったん和らぎ、長期金利は再び上昇に転じました。

このように、10年国債利回りは金融政策や国際情勢の動きに反応しやすく、その変化が住宅ローンの固定金利にも影響してきます。

住宅ローンは、融資を受けるタイミングの基準金利によって適用金利が決まる仕組みです。
変動金利の場合は、融資後も基準金利の動きによって適用金利が変わりますが、固定金利は原則として契約時の金利がそのまま続くため、借り入れのタイミングがとても重要です。

つまり、融資時点の基準金利が高ければ、それだけ支払う利息も多くなります。
特に売買契約から融資(引き渡し)までの期間が長い場合は、その間に金利が上昇してしまい、当初想定よりも返済額が増えるリスクがある点には注意が必要です。

3. 住宅ローン金利が上昇するとき

最後に、住宅ローン金利が上がるのはどのようなときか、そのケースを解説します。

基準金利が上がるとき(変動金利)

変動金利の場合は、一般的には優遇金利の大きさはずっと一定になります。そのため、適用金利が上がるのは基準金利が上がるときです。

多くの金融機関で、変動金利の住宅ローン金利は年2回(4月1日・10月1日)見直されます。そのタイミングで基準金利が上がっていれば、2~3ヶ月後に実際の金利に反映されるでしょう。
※4月見直し→7月返済分から反映。10月見直し→翌年1月返済分から反映。

ただし、変動金利には以下の2つのルールを設けている金融機関が多いです。

  • ● 5年ルール:5年間は月々の返済額が変わらない
  • ● 125%ルール:前回返済額の125%を超える金額にはならない

半年ごとに金利が見直されていても、実際に返済額が変動するのは5年に1度です。また、125%ルールにより返済額が急激に増加することがないため、返済できなくなるリスクが抑えられます。

ただし、5年の間に増加したり125%を超えたりした分の金利は、最終返済時に清算されます。
金利がわずかに上昇しただけでも、月々の返済に占める利息の割合は増え、その分元本の減り方が遅くなります。
その結果、将来的にまとめて返済しなければならない金額が膨らむリスクがあることを、理解しておきましょう。

当初優遇期間の終了後(期間選択型固定金利)

全期間固定金利の場合は、返済の途中で金利が変わることは基本的にはないです。※フラット35のように、当初の一定期間、金利が引き下げとなることもあります
一方、期間選択型の固定金利では、当初優遇期間が終了すると優遇金利の幅が小さくなるケースが多いです。

金利タイプ 優遇金利(引き下げ幅)
10年固定金利 当初10年:-2.5%
期間終了後:-1.5%

上記表の例で、借入当初の固定金利の基準金利を3.65%、11年後の基準金利を4.0%としましょう。当初10年の固定期間終了後に、再度10年固定を選ぶと、適用金利は以下のようになります。

  適用金利
1年目~10年目 1.15%
11年目~20年目 2.5%

11年目~20年目の適用金利がかなり高くなってしまいました。

期間選択型固定金利を選ぶ場合には、繰り上げ返済や借り換えを視野に入れておく方が良いでしょう。それが難しい、あるいは変動金利にも不安を感じる場合は、初めから全期間固定金利を選ぶことをおすすめします。

最新の金利情報を詳しく知りたいという方は、毎月更新している下記の記事をご覧ください。

今後の金利はどうなる?住宅ローンの金利推移について解説!

住宅ローン金利の最新情報と今後どう推移するのかについて解説します。

4.まとめ

今回の記事では、住宅ローン金利の決まり方について解説しました。

住宅ローンの金利は、返済総額に直結する非常に重要な要素です。適用金利は「基準金利」から「優遇金利(引き下げ幅)」を差し引いて決まり、金融機関や申込者の条件によって異なります。

また、変動金利と固定金利では、金利が決まる仕組みも、金利の動き方もまったく異なります。
最近では政策金利の引き上げや長期金利の上昇により、住宅ローン金利にも変化の兆しが出てきています。

現在の変動金利は低めの水準にありますが、それはあくまで“新たに借りる人の最優遇金利”の話です。変動金利であっても、借入当初の優遇幅が小さかった場合は、今も比較的高い金利で返済を続けている可能性があります。
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住宅ローン借り換えのタイミングは?金利を見直すときの注意点まで徹底解説!

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