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住まいサーフィン編集部

地震で被災したら住宅ローンはどうなる?保険やローン特約についても解説!

2024年09月17日

更新日最終更新日:

地震後の住宅ローンについて、この記事で分かること

日本は世界の中でも特に地震が多い国です。
2024年1月には能登半島で大地震が発生、8月には初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。今後、大地震はいつ起きてもおかしくありません。

住宅を購入した人や購入検討している人の中には、地震で我が家が倒壊してしまったらどうしようと不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。住宅購入する方のほとんどは住宅ローンを利用しますが、返済中に被災したらどうなるのでしょうか。

今回の記事では、住宅ローン返済と地震について詳しく解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有し、不動産の専門知識を持つスタッフが自宅売買に役立つ情報を発信します。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
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1. 自宅が被災したら住宅ローンはどうなる?

住宅ローンの返済中に地震によって自宅が被災した場合でも、原則として住宅ローンはそのまま残ります。
倒壊して住み続けることができなくなったり津波で自宅が流されたりしても、住宅ローンの返済は続けなければなりません。
その後に新しい自宅を購入して住宅ローンを組めば、ローンを二重で支払うことになります。

これは地震に限った話ではなく、火災や台風など他の災害によって被害を受けた場合も同様です。

しかし、地震保険(火災保険)や住宅ローンの特約によって、給付金がもらえたり返済の一部が免除されたりする場合もあります。
また、災害によっては救済のための特別措置が適用されることもあるようです。
特別措置について、詳しく見ていきましょう。

東日本大震災における住宅ローン関連救済措置

2011年3月11日に起こった東日本大震災では、東北地方だけでなく茨城や千葉など関東地方でも多くの被害が発生しました。
全壊した建物は全国で約13万棟、半壊した建物は約26.5万棟でした。
住宅ローンを残したまま倒壊した建物も多かったようです。

そこで、国は被災者のために救済措置をすることにしました。

個人版私的整理ガイドライン

東日本大震災によって震災前に借り入れたローンの返済が困難になった人のために、「個人版私的整理ガイドライン」が作成されました。

「整理」と聞くと自己破産(債務整理)を思い浮かべる方もいらっしゃると思われます。
しかし、このガイドラインにおける「整理」は自己破産とは違います。
被災してローンの返済が難しくなった人が、金融機関との合意によってローンの一部を免除・減額してもらうものになります。

この制度には以下のメリットがあります。

  • ① 弁護士などの専門家からの支援を無料で受けられる
  • ② 財産の一部を残すことができる
  • ③ 信用情報に影響がない

無料で専門家からの支援が受けられるのはとても心強いです。

どれだけローンが免除されるのか、どれだけの財産を手元に残せるのかは人によって違います。
自己破産をする場合であっても手元に財産の一部を残すことはできますが、信用情報の回復には時間がかかります。

しかし、この制度は信用情報に影響がないので、すぐにローンを利用したりクレジットカードを作ったりすることができます。
被災者にとって、再スタートもしやすいでしょう。

現在「個人版私的整理ガイドライン」は廃止されていて、新たに「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が作成されました。
「災害救助法が適用された自然災害」であればガイドラインの対象になっているので、被災した場合には制度を利用できるか相談してみましょう。

災害復興住宅融資

住宅金融支援機構は、東日本大震災で被災した人が被災住宅を復旧するための住宅ローンを用意しました。

住宅金融支援機構というとフラット35のイメージが強いかもしれませんが、政府の金融機関である同機構では、災害復興建築物の建設や購入に必要な資金の貸し付けも行っています。

この融資は、住宅が「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」または「半壊」した旨の「り災証明書」を交付されている方が利用できます。

融資には下記の限度額があり、全期間固定金利になります。

限度額

購入の場合・
建設で土地を取得する場合
5,500万円
建設で土地を取得しない場合 4,500万円
補修の場合 2,500万円

※2024年9月時点。以前は資金の使途別に細かく金額が分かれていましたが、利用しやすくなるように見直されました。

家の被災部分の補修や、それに伴う増築工事や整地工事なども融資の対象になります。

2024年(令和6年)9月時点の金利

団信の種類 金利
団信非加入 年1.40%
新機構団信 年1.60%
新機構団信(デュエット) 年1.78%
新3大疾病付機構団信 年1.84%

このように、団信に加入するのか、そしてどの団信に入るのかによって金利は変わってきます。

また、災害復興住宅融資は融資手数料が無料です。通常の住宅ローンであれば、借入金額の2.2%が手数料となることが多いです。初期費用が大きく削減されるのも、災害復興住宅融資の特徴になります。

災害復興住宅融資は東日本大震災の被災者だけでなく、災害によって住宅の「り災証明書」を交付されている方であれば利用できます。
詳しくは住宅金融支援機構公式ページ(https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/saigai.html)をご確認ください。

※「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」のいずれかの証明が必要

2. 地震保険でいざというときに備える

地震で住宅を失った場合、条件を満たしていれば、債務整理によって住宅ローンの一部が免除・減額されることがあります。
しかし、手元に残るのは一部の財産だけです。
その後の生活のことを考えると、もっとしっかり地震に備えておきたいところです。

そこで、地震への備えの基本である「地震保険」について解説します。

地震保険とは

地震保険とは、地震や地震に関連した災害によって被害を受けた場合に、損害を補償する保険のことです。

災害に対する保険としては火災保険が一般的で、住宅を持っている方のほとんどは加入しているでしょう。
住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が必須となっていることも多いです。

しかし、一般的に火災保険は地震による損害を補償していません。
そのため、地震に対して備えたい場合には、火災保険とは別で地震保険に加入する必要があります。

多くの火災保険では、地震保険を同時に申し込むことができます。
地震保険単体では申し込みができず、必ず火災保険とセットになっています。

地震保険は国が関与しているので、保障内容や割引などの基本ルールはすべての保険会社で共通になります。

日本は地震が多い国で、気象庁によると今後30年以内に南海トラフ地震が起きる可能性は70~80%とのことです。
いざというときのためにも、地震保険にも加入しておいた方が安心でしょう。

火災保険については下記の記事で詳しく解説しています。

マンション購入時に必要な火災保険の選び方は?補償内容も解説!

 

火災保険の基礎知識やマンション購入時に必要な補償について解説していきます。

どれくらい支払われるのか

地震保険に加入することで、被災時にはどれくらいの保険金が支払われるのでしょうか。

地震保険は実際の修理費が支払われるわけではなく、設定した保険金額建物等の損害の程度によって支払われる金額が変わってきます。

損害の程度 支払われる保険金
全損 建物・家財の地震保険金額の100%
大半損 建物・家財の地震保険金額の60%
小半損 建物・家財の地震保険金額の30%
一部損 建物・家財の地震保険金額の5%

地震保険は、申込時に建物と家財の保険金額を自分で設定します。
基本的には、火災保険の保険金額の30%~50%=地震保険の保険金額になります。
家財には設定せずに、建物だけ設定することも可能です。

保険金額が高くなるほど支払う保険料は高くなります。
保険金額は建物や家財によって異なりますが、建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円まで設定可能です。

保険金額の設定方法など詳細については、各保険会社にお問い合わせください。

地震保険の割引

地震保険には4つの割引制度があります。
※重複適用は不可

  • ● 免震建築物割引(50%)
  • ● 耐震等級割引(10~50%)
  • ● 建築年割引(10%)
  • ● 耐震診断割引(10%)

昭和56年6月1日以降に新築された建物には、10%の割引が適用されます。
また、それ以前の建物であっても耐震診断や耐震改修での基準を満たしていれば、10%割引されます。

これから新築マンションや新築一戸建てを購入される方は、10%は必ず割引されるということです。

しかし、建物の構造や耐震等級が高い場合は、10%よりも高く割引されます。

基準を満たす免震建築物であれば、50%割引になります。
また、耐震等級別では下記のような割引率となっています。

耐震等級3 50%
耐震等級2 30%
耐震等級1 10%

3. 住宅ローンの自然災害特約

最後に、自然災害の特約がある住宅ローンをご紹介します。

自然災害特約とは、住宅ローン返済期間中に被災して住宅が特定の状況になったとき、月々のローン支払いを保障してくれる特約です。
金融機関によっては、金利を上乗せすることでこの特約をつけることができます。

三井住友銀行・自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン

三井住友銀行の自然災害特約には、約定返済保障型と残高保障型の2種類があります。

  上乗せ金利 対象災害 内容
約定返済保障型 金利+0.1% 豪雨や落雷など
様々な災害
り災の程度に応じて、
一定期間の返済を免除
残高保証型 金利+0.5% 地震・噴火・津波 全壊認定で
建物ローン残高の50%相当を免除

約定返済保障型は地震や津波だけでなく、大雨や雪災など幅広い災害が対象になります。
免除内容はこのようになっています。

全壊 24回分免除
大規模半壊 12回分免除
半壊 6回分免除

残高保証型は上乗せ金利が高くて災害内容は限られていますが、もし地震で全壊してしまっても建物住宅ローン残高の50%が免除されます。
そのため、二重ローンの備えになります。

参考:三井住友銀行公式ページ https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/reason/shizen.html

りそな銀行・自然災害サポートオプション

りそな銀行についても、返済補償型と残高補償型の2種類があります。

  上乗せ金利 対象災害 内容
返済補償型 金利+0.1% 豪雨や落雷など
様々な災害
り災の程度に応じて、
約定返済額を払い戻し
残高補償型 金利~+0.3% 地震・噴火・津波 全壊認定で
建物ローン残高の50%相当を免除

返済補償型の払い戻し内容は下記のとおりです。

全壊 24回分
大規模半壊 12回分
半壊 6回分

残高補償分については、基準上乗せ金利+0.3%に、建物金額割合を乗じた金利が上乗せとなります。
例えば借入金額が5000万円で建物分が2000万円(建物割合40%)とすると、上乗せ分0.3%×割合40%=0.12%です。

参考:りそな銀行公式ページ https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/shizen/?bank=rb_unite

新生銀行・自然災害時債務免除特約

新生銀行においては、条件を満たしている場合、金利を上乗せせずに自然災害時債務免除特約をつけることができます。

  対象災害 内容
自然災害時債務免除特約 豪雨や土砂崩れなど
様々な災害
損害の程度に応じて
一定期間の住宅ローン返済を免除

地震や津波だけでなく、様々な災害が対象になります。
免除内容はこのようになっています。

全壊 24回分免除
大規模半壊 12回分免除
半壊 6回分免除

ただし、利用できるのは当初固定金利タイプ(15年、20年)または長期固定(全期間固定)金利タイプ(25年、30年、35年)を選んだ方のみです。

参考:新生銀行公式ページ https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/relievedpack/s/shizensaigai.html

4.まとめ

今回の記事では、地震などの自然災害が起きた場合の住宅ローンについて解説しました。

災害によって損害を受けても、原則として住宅ローンは残ることになります。
被災後に住み続けられる状態でも、修繕に多くの費用がかかるかもしれません。

地震だけでなく、数十年に一度レベルの豪雨や土砂崩れなど、最近は様々な災害が日本全国で発生しています。
既に保険に加入している方も、保険内容を定期的に見直すことが大切です。

また、「地震や水害が心配だから、もっと安全なエリアの住宅に住み替えをしたい」という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、住宅価格は高騰しているので、今購入すべきなのか迷っている方も多いと考えられます。
それ以外にも、将来の金利上昇、2024年問題による建築費高騰、人口減少といった不安要素は多くあります。マイホーム購入で後悔しないためには、情報収集が重要です。

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