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食品、電気代、ガソリン価格などさまざまなものが値上がり続けています。度重なる値上げに、家計に余裕がなくなってきたという方も多いのではないでしょうか。
そして中には、住宅ローンの返済を続けることが厳しい方もいらっしゃるかもしれません。住宅ローンの滞納をしたら、どうなるのでしょうか。
今回の記事では、住宅ローンを滞納したときに起こることと、滞納しそうなときの対策方法について解説します。
目次
1. 住宅ローンは1度でも延滞・滞納することは許されないの?
住宅ローンを借りたら、人によっては30年以上毎月支払いをすることになります。
そんなに長いと、うっかり引き落とし日に口座の残高が不足していたということもあるでしょう。いつものように返済できていたと思って通帳を確認したら、残高不足で引き落としできていなくて顔面蒼白になった…なんてことがあるかもしれません。
うっかり延滞してしまうと、どんな悪影響があるのでしょうか?
1度でも延滞するとブラックリストに載る?
住宅ローンは借金です。「借金を滞納するとブラックリストに載る」というのはよく聞く話なので、心配になりますよね。
しかし、一般的には1度延滞や滞納するだけでブラックリストに載ることはありません。
ブラックリストは俗称で、金融機関が本当にそのようなリストを持っているわけではないです。
ブラックリストに載るというのは、信用情報機関に「事故情報」を記録されてしまうことを言います。
事故情報が記録されると、一定期間、お金を借りることやクレジットカードを作ることができなくなります。
ブラックリストには載らないからといって、延滞・滞納したままでは絶対にいけません。気付いたらすぐに金融機関に連絡しましょう。
遅延損害金を支払う必要がある
住宅ローンの支払いが1日でも遅れると「遅延損害金」が発生します。
そのため延滞・滞納すると、一般的には延滞していた住宅ローン返済額+遅延損害金を支払わなければいけません。
遅延損害金は、下記のように定められている銀行がほとんどです。
- 住宅ローンの遅延損害金
- 遅延している元金に対して年14.0%の遅延損害金が発生(1年を365日とし、日割り計算)
銀行によっては、年14.1%~年14.6%となっていることもあります。法律で上限が決まっているので、年14.6%より高くなっていることはありません。
ご自身の場合はいくらになっているのかは、住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)を確認してみましょう。
年14.0%の遅延損害金とは、数日延滞するとどれぐらいになるでしょうか。
返済額14万円を6日間遅延していると仮定して、計算してみました。
- 遅延損害金
- =遅延している元金 × 遅延損害金年率 ÷ 365日 × 返済日の翌日からの経過日数
- =140,000円×14%÷365日×6日
- =322円
この場合、322円でした。少しぐらい延滞しても、家計には問題なさそうな少額ですね。
しかし、延滞すること自体が金融機関との信用問題に影響します。
どんなに忙しくても、金融機関への連絡と振込対応は迅速にしてください。
うっかり延滞を繰り返すと、金利が上がることも
うっかり延滞することを繰り返すと、優遇幅(優遇金利)が撤廃されてしまうこともあります。
各金融機関は基準金利(店頭金利)を決めて、そこから優遇して引き下げたものを適用金利としています。
例えば、2023年9月現在のみずほ銀行の変動金利は0.375%~となっています。
しかしこれは優遇して引き下げられた結果であり、みずほ銀行の基準金利は2.475%です。
現在は0.375%で返している住宅ローン金利が突然2.475%になったら、月々の返済額はかなり上がってしまいます。
0.375%の場合の 月々の返済額 |
2.475%の場合の 月々の返済額 |
|
---|---|---|
借入金額3000万円 | 76,230円 | 106,847円 |
借入金額5000万円 | 127,050円 | 178,078円 |
※返済期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなしで計算
優遇幅が撤廃されたら返済ができなくなってしまうという方も多いでしょう。
延滞を繰り返していると金融機関からの信用を失ってしまいます。
優遇幅の撤廃は金融機関の判断によるものなので、何回までなら許される、という基準はありません。
このようなことにならないよう、残高不足には十分気を付けましょう。
2. 住宅ローン滞納から競売までの流れ
うっかり延滞してしまった場合にはすぐに金融機関に連絡して振り込めば良いですが、支払いすることができなくて滞納を続けるとどうなってしまうのでしょうか。
結論としては、家を手放すことになってしまいます。
しかし、滞納して1ヶ月~2ヶ月で手放すことになるわけではありません。
住宅ローンを滞納してしまった後の流れについて、ご説明します。
滞納すると督促されて、さらには催告書が届く
住宅ローンを滞納してから1ヶ月~2ヶ月で、金融機関からメール・電話等で督促の連絡が来ます。
郵便で督促状や支払請求書が届くこともあり、内容としては「住宅ローン返済額+遅延損害金を期日までに入金してください」というものになります。
この時点ですぐに支払いをすれば、大事にはならないでしょう。
しかしその連絡を無視して滞納を続けていると、催告書が届きます。
催告書は「これ以上滞納を続けてると期限の利益の喪失になる」という内容のもので、最終通告のようなイメージです。
期限の利益については後ほど解説いたします。
また、一般的には滞納を3回すると個人信用情報に事故情報が記録されます。
いわゆるブラックリストに載るということです。
事故情報が記録されると、約5年間はローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることはできなくなります。クレジットカードの更新もできません。
住宅ローンを3ヶ月~6ヶ月以上滞納すると、期限の利益が喪失される
期限の利益とは、債務者(お金を借りる人)は決められた期日が来るまでは返済をしなくて良いという利益のことです。
債権者(金融機関)も期日までは返済を待ってくれます。
しかし、ずっと滞納を続けていると金融機関から「期限の利益は喪失されますので、もう期日まで待ちません。一括ですべて返してください」という通知が届きます。
つまり、住宅ローン残債を一括ですぐに返済するよう請求されるということです。
期限の利益が喪失されるまでの期間は、金融機関によってさまざまです。
6ヶ月以上滞納すると期限の利益が喪失するところもあれば、3ヶ月以上という比較的短い期間のところもあります。
期限の利益の喪失通知(一括請求通知)が届いた後に一括返済をしないと、いよいよ競売の手続きに移ります。
なお、住宅ローン契約時に保証会社と保証契約を結んでいる場合は、競売の前に代位弁済されます。代位弁済とは、保証会社が債務者の代わりに住宅ローンを金融機関へ返すことです。
代位弁済された後は、住宅ローンを借りた金融機関ではなく、保証会社にお金を返済することになります。
代位弁済されたからといって住宅ローン返済や競売から逃れられるわけではありません。お金を返す相手が変わっただけです。
競売開始になる
金融機関(または保証会社)は、裁判所に対して競売の申立てをします。
競売(けいばい・きょうばい)とは、不動産が差し押さえられた上で、裁判所を通じて売却されることです。
不動産は入札方式によって売却されて、売却代金は弁済金(住宅ローン残債等の返済)に充てられます。
競売の申し立てがされると、債務者のところには裁判所から競売開始決定の通知が届きます。
同時に、不動産は裁判所によって差し押さえられてしまいます。
競売開始決定通知が届いた時点ですぐに家から出ていかなければならないというわけではありませんが、家にいられる時間も残りわずかです。
競売開始後には、裁判所による不動産の現況調査も実施されます。
現況調査は郵送や電話によるものだけではありません。
裁判所の執行官や不動産鑑定士が家に来て、周辺状況を確認したり部屋の写真を撮ったりします。
調査された不動産の情報は、裁判所の掲示板や不動産競売物件情報サイトに掲載されます。
競売の入札が始まる
調査が終わると、いよいよ競売の入札が始まります。
通常、入札期間は8日間※です。
入札期間中に最高価格で入札した人に対して、売却許可決定がされます。
決定日から1ヶ月以内※の指定日が代金納付期限です。
期限までに代金を納付して必要な手続きをすれば、落札者は物件の所有者になります。
※東京地裁の場合
つまり、入札が始まったら1ヶ月半~2ヶ月で立ち退きを要求されて家から出ていくことになります。
しかし、これで終わりとは限りません。
住宅ローン残債がまだあるなら、返済しなければならない
裁判所の競売で売却された代金は、住宅ローン残債等の弁済に充てられます。
しかし、競売では相場よりも安く売られることが多いです。
市場相場価格の7~8割前後、不動産によっては6割ぐらいになってしまうこともあります。
売却代金だけで住宅ローン残債等をすべて支払えないときには、今後の返済をどうするのか考えなければなりません。
場合によっては、債務整理(任意整理)や自己破産をすることになるでしょう。
3. 住宅ローンを滞納しそうなとき&してしまった場合の対策方法
ここまで、住宅ローンを滞納してからの流れを見ていきました。
住宅ローンの滞納を続けていると、一括返済を請求されて、最終的には家を失います。家を失った上で、さらに返済は続いていくかもしれません。こうなることは、何としてでも避けたいですよね。
そこで、住宅ローンを滞納しそうなときの対策方法と、滞納してしまったときの対応方法をご紹介します。
また、最後のまとめではこんな事態を防ぐための重要ポイントも解説しますので、是非最後までご覧ください。
住宅ローンを滞納しそうになったら、まずは金融機関に相談をする
住宅ローンの返済期間は長いので、途中で何らかの事情で家計が苦しくなることもあるでしょう。
そんなときは無断で滞納せずに、金融機関へ相談しましょう。
一時的に返済額を減らしたり、返済を猶予してもらったりできる可能性があります。
また、相談の前には家計を見直すことも大切です。減らせる支出はないのか、何とか収入を増やすことはできないか考えてみましょう。
住宅ローンの借り換えも検討する
住宅ローンは、人によって適用金利はさまざまです。
借り換えをすることで、大幅に月々の返済額を減らせるかもしれません。
最近は特に変動金利が超低金利で、借り換えだと金利が0.2%台になる金融機関もあります。
ただし、住宅ローンの借り換えには事務手数料や登記手数料などの諸費用がかかるのも事実です。
月々のローン返済さえ厳しいのに、諸費用なんて出せないと思う方もいらっしゃるでしょう。
金融機関によっては、諸費用も借入金額に含めることができます。しかし、借入金額に諸費用を含めることで、結果として返済額はあまり変わらないかもしれません。
金利だけを見るのではなく、諸費用も含めてしっかりとシミュレーションしましょう。
住宅ローンの借り換えについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
滞納する前に不動産を売却する
住宅ローンの返済が厳しくなってきたら、家を失う前に自分で売却をするという方法があります。
滞納してしまう前に売却活動をするのが大切です。
地価やマンション価格の高騰が続いているので、物件によっては買ったときよりも高く売れることもあります。もしくは買ったときより価格は下がっても、住宅ローンを完済するには十分なお金が手に入るかもしれません。
しかし、すべての不動産が想定より高く売れるとは限らないです。
売却価格よりも住宅ローン残債額の方が大きい、いわゆる「オーバーローン(残債割れ)」の状態になることもあり得ます。このとき、不足分は自己資金から補填しなければなりません。
自己資金が不足すると売りたくても売ることができず、結局滞納することになってしまいます。
マンションを売却するときの流れや注意点については、下記の記事をご覧ください。
滞納してしまったら、任意売却をする
任意売却とは、住宅ローンを滞納している状況または支払えない状況になったときに、金融機関の合意を得た上で売却をすることです。
先ほどご説明したように、競売は相場価格よりも安く売却されることが多くなっています。
ですので、競売での入札価格によっては家を失った上に多額の住宅ローン残債が残るかもしれません。
それに対して任意売却は、相場に近い価格で売却することができます。そのため、売却後の負担は競売よりも少ないでしょう。
ただし、任意売却は「競売の開札日の前日」が期限のケースが多いです。その日までに任意売却が完了しなければ、競売で売却されることになってしまいます。
スピード感が必要なので、通常の売却価格に比べると安くなることが多いようです。
通常の売却との違いをもう1つご説明します。通常の売却では、売却価格よりも住宅ローン残債額の方が多かった場合(オーバーローン/残債割れ)、自己資金で補填をしないと、不動産登記の抵当権を抹消することはできません。
自己資金が足りなくて完済できないといつまでも抵当権が残ったままなので、家を売りたいのに売れない状態になってしまいます。
しかし任意売却では、債権者である金融機関が合意すれば、オーバーローン(残債割れ)の状況でも抵当権を抹消してもらえます。
もちろん足りないお金は返済する必要はありますが、交渉次第では分割で返済していくことも可能です。
ですが、住宅ローンの支払いが厳しいと相談しても、金融機関が任意売却に必ず合意してくれるわけではありません。
金融機関によっては滞納をして期限の利益を喪失した状態になっていないと、合意してくれないところもあります。さらには、任意売却は許されず競売しか認められないケースもあるようです。
任意売却は競売を回避するためには有効な手段ですが、必ず実行できるわけではありません。
結局は、滞納しないのが一番です。
4.まとめ
今回の記事では、住宅ローンを滞納したらどうなるのかについて解説しました。
住宅ローンの返済中に、思いもよらない出来事によって返済が困難になるかもしれません。
そんな万が一のときに備えて、マイホームを選ぶときには資産価値も重視しましょう。
資産価値がなぜ大切なのかというと、資産価値が高い物件だと値下がりしづらく、オーバーローン(残債割れ)の状況になりづらいからです。
例えば、5000万円で、資産価値が低いマンションと資産価値が高いマンションを購入したとしましょう。
資産価値が低い、首都圏のAマンション(沖式儲かる確率※20%以下)
資産価値が高い、首都圏のBマンション(沖式儲かる確率※80%以上)
※「沖式儲かる確率」とは、何%の確率で配当がプラスになるかを示す住まいサーフィン独自の指標です。詳しくはこちら
資産価値が低いAマンションだと、5年後や10年後にはオーバーローン(残債割れ)の状態になっています。
例えば10年後に住宅ローンの支払いが厳しくなってきて通常売却を検討していると仮定します。
ワーストケースだと家は2940万円で売ることができますが、住宅ローンの残債は3642万円です。
差額の702万円を自己資金から用意しないと住宅ローンを完済できないので、結局売ることができません。
しかし、資産価値が高いBマンションだとワーストケースの場合でも、買ったときより高い価格で売ることが可能です。
ワーストケースでも、10年後には住宅ローン残債額より2077万円も高く売れるという予想になっています。この売却利益で、何とか生活を持ち直すこともできるかもしれません。
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