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歳を重ねてくると、老後の住まいをどうするべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
「今住んでいる一戸建てを手放して、部屋数の少ないマンションに住み替えたい」「今住んでいる自宅をリフォームしたい」「静かな郊外に注文住宅を建てたい」など、老後の住まいプランをお持ちの方もいらっしゃると思います。
この記事では、老後の暮らしをどうするべきか検討中の方向けに、マンション・一戸建てそれぞれのメリット・デメリットや、老後のマンション購入体験談についてご紹介します。
目次
1.老後の暮らし・住まいに関する統計データ
まずは、老後の生活や住み替えに関する平均データを確認しておきましょう。
二次取得者のマイホーム購入データ
まず、二次取得者(住宅購入経験が2回目以上となる世帯を指す)に関するデータをご紹介します。
二次取得者の平均年齢は下記のようになっています。
住宅種別 | 平均年齢 |
---|---|
注文住宅 | 59.9歳 |
分譲戸建住宅 | 48.3歳 |
分譲集合住宅 | 58.1歳 |
中古戸建住宅 | 52.5歳 |
中古集合住宅 | 53.6歳 |
二次取得者の年代別割合で見ても、新築・中古分譲戸建て以外の全ての住宅種別で60代以降の購入者が最も多くなっています。
老後に備えて、住み替えを検討する方が多いことが分かります。
また、二次取得者の購入額と自己資金比率は下記のようになっています。
住宅種別 | 購入資金 | 自己資金比率 |
---|---|---|
注文住宅 | 9,549万円 | 59.8% |
分譲戸建住宅 | 4,775万円 | 48.4% |
分譲集合住宅 | 5,937万円 | 74.4% |
中古戸建住宅 | 4,298万円 | 67.4% |
中古集合住宅 | 2,936万円 | 65.0% |
二次取得者は年齢が高くなるため、その分住宅ローンの借入期間も短くなります。
そのため、購入額の半分以上を自己資金で賄っている方が多いです。
高齢者の平均所得・貯蓄額
つづいて、老後のお財布事情についてです。
2022年「国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の平均所得は318.3万円(うち、年金が62.8%を占める)となっています。
また、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は 44.0%です。
また、高齢者世帯の80.7%が貯蓄があると回答し、平均貯蓄額は1603.9万円でした。
年齢別の平均値で見ると、60代の1738.8万円がもっとも高いです。
高齢者の持ち家率
老後を持ち家と賃貸、どちらで暮らしていくか悩まれる方もいらっしゃると思います。
持ち家率や高齢者の賃貸入居についても確認しておきましょう。
「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)によると、高齢者のいる世帯の持ち家率は、82.1%となっています。
全世帯の持ち家率は61.2%であるため、高齢者のいる世帯の持ち家率は20%ほど高いです。
また、高齢一人暮らし世帯に限定すると、持ち家率は66.2%となります。
高齢者の賃貸入居は断られることも
国土交通省「家賃債務保証の現状」によると、大家さんの約6割が高齢者入居に拒否感があると回答しています。
高齢者の入居を受け付けていない賃貸住宅もありますので、老後に賃貸へ住み替える場合はシニア向け物件を中心に探すことをおすすめします。
ただし約6割のうち、「拒否感はあるものの従前より弱くなっている」という回答が44%を占め、回答者の割合がもっとも多くなっています。
今後も日本社会は高齢化が進んでいきますので、シニア向け物件も増加していくかもしれません。
2.老後のマンション暮らしのメリット・デメリット
まずは、老後のマンション暮らしに関するメリット・デメリットをご紹介します。
老後にマンションに住むメリット
バリアフリーで生活しやすい
最近のマンションはフルフラットフロアで段差がないのが主流です。
また、角を無くしたデザイン、引き戸、浴室暖房などの配慮がされたマンションが多いです。
外に出る際もエレベーターで昇降するため、車椅子でも移動しやすくなっています。
自動車が無くても便利に生活できる
マンションは駅近や街中に建つ物件が多いので、自動車を手放してもアクティブに過ごせます。
低層階に商業施設が入っている場合もあり、日々の買い物に困らない暮らしが送れます。
ワンフロアで部屋の手入れもしやすい
部屋数が多い一戸建ては広すぎて老後に持て余してしまう、また掃除が負担になってしまうという場合も。
2階建て、3階建ての場合に洗濯等で階段の上り下りが大変になることも考えられます。
それに対しマンションは、ワンフロアで部屋のお手入れがしやすいというメリットもあります。
メンテナンスの手間が少ない
マンションは共用部の修繕管理は管理組合が行うため、外壁や屋根のメンテナンスが不要です。
また、老後に負担になる可能性が高い庭の手入れも必要ないため、楽に感じられるでしょう。
セキュリティがしっかりしている
マンションは一戸建てと比較し、セキュリティ対策が手厚いです。
オートロックや防犯カメラ、有人管理が多くの物件で導入されているので安心して過ごせます。
外からの侵入者を防止できるので、一人暮らしの高齢者の泥棒対策としても有効です。
老後にマンションに住むデメリット
近隣の騒音が気になる場合も
マンションの場合、上下左右のお部屋からの生活音が気になりやすいです。
子育て世帯の多い新築マンションの場合、上階からのお子さんの足音が響く場合もあります。
静かに暮らしたい方は、住民の年齢層が近い中古マンションや、単身・DINKS向けの物件を選ぶことをおすすめします。
維持費の支払いが負担になる場合も
マンションに住む以上、毎月の管理費・修繕積立金の支払いが発生します。
管理費・修繕積立金の金額は物件により異なりますので、物件金額だけではなく維持費についてもチェックしましょう。
老後に備え早めに生活資金を試算し、退職後も続く維持費の負担について考慮が必要です。
3.老後の一戸建て暮らしのメリット・デメリット
つづいて、老後の一戸建て暮らしに関するメリット・デメリットについても見ていきましょう。
老後に一戸建てに住むメリット
静かに暮らせる
住宅街に建つことが多い一戸建ては、大通りや繁華街から離れているため静かな生活が送れます。
また、マンションとは異なり隣家との距離も離れているため、窓を閉めれば騒音が気になることも少ないでしょう。
マイホームで叶えたい夢を実現できる
注文住宅であれば、マイホームに関する自分の希望や夢を叶えられます。
ホームシアターや楽器演奏が出来る防音室を作るといった自由度の高い住まいも実現できます。
都心から離れれば、平屋に住んだり、ドッグランを設けるといったこともできます。
老後に一戸建てに住むデメリット
日々の掃除やメンテナンスの負担が大きい
一戸建ての場合、マンションより広く、部屋数も多いです。
お子様の独立後に部屋が余り、掃除の手間がかかるといった意見もあります。
また、高齢になってから自宅が雨漏りした、家が壊れたとなると大変です。
安心して住み続けるためにも、外壁や屋根のメンテナンスは計画的に行っておく必要があります。
周辺の利便性が低い場合も
一戸建ては住宅街に建てられることが多く、近くに買い物施設がない場合もあります。
免許返納しても不便はないか、事前に考慮しておきましょう。
4.老後のマンション選びのポイント
次に、老後に住むマンションを選ぶときのポイントをご紹介します。
管理費や修繕積立金など月々の負担額をチェック
マンション暮らしのデメリットでもご説明したように、マンションに住むと管理費や修繕積立金を支払わなければなりません。
金額は部屋の広さやマンションによって異なりますが、例えば50~60㎡台の2LDKだと2~4万円前後が一般的です。さらに、車や自転車を持つ人は駐車場代や駐輪場代もかかります。
これらの金額は途中から値上がりする可能性もあるので注意が必要です。
特に修繕積立金は、大幅に増額されたり数十万円の一時金を徴収されたりするケースがあります。増額や一時金は、途中から修繕金が足りなくなって急遽決まることもあれば、最初から決まっていることもあります。
そのため、マンション購入前には下記をチェックするようにしてください
- ● 修繕計画を確認する(値上がりや一時金の予定はあるか、その場合に問題なく払えそうか)
- ● 中古マンションの場合:修繕状況や修繕金積立状況を確認する
一般的には、マンションは小規模であるほど管理費や修繕積立金の負担が大きくなります。
定年後もお金の心配をせずに暮らすためにも、月々の負担額が大きくないマンションの方が安心です。
セキュリティの高いマンションを選ぶ
マンションは戸建てよりもセキュリティがしっかりしていることが多いですが、セキュリティの高さはマンションによって違います。
高齢者を狙った詐欺や強盗もたびたび発生しているので、なるべく防犯性の高いマンションを選ぶようにしましょう。
マンションのセキュリティシステムを簡単にご紹介します。
一般的なマンションセキュリティシステム
- ● オートロック
- ● 防犯カメラ
- ● 有人管理
- ● カメラ付きインターホン
共用玄関がオートロックになっていれば、住民以外は簡単に入って来れません。
ただし、住民などが通る際に一緒に入ってくることで侵入されることもあります。オートロックだからと安心せず、玄関の鍵は常に閉めておきましょう。
また、マンション敷地内や建物内に防犯カメラがあれば犯罪の抑止力になります。空き巣や器物損害などのトラブルが起きたときも、防犯カメラがあれば役に立つでしょう。
有人管理の場合は、より安心して生活ができます。
有人管理とは、24時間または日中に管理人・警備員・コンシェルジュなどがいるマンションのことです。費用がかかるため、大規模なマンションほど有人管理であることが多くなっています。
最近は宅配業者や点検業者を装った強盗もいるので、カメラ付きインターホンがおすすめです。セールスや見覚えのない人の場合は、その場で断ることができます。
共用玄関だけにカメラが付いている場合と、自宅玄関前にもカメラが付いている場合があります。
マンションのセキュリティについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
5.老後にマンションを購入した人の体験談
最後に、老後にマンションへと住み替えた方の実際の体験談を2つご紹介します。
東京都葛飾区・3,000万円未満の中古マンションを購入
子供たちが巣立ち、老朽化した戸建てに夫婦2人で住むよりも災害などが起きても安心なマンションに住み替えることを考えました。
ただ、慣れ親しんだ土地を離れることには抵抗があり、貯蓄内で購入できる近隣のマンションを探しました。
いろいろ内覧した中で、築年数は古いけれど駅に近くフルリフォームされて綺麗な部屋があり、気に入って購入することにしました。
購入時60代ということもあり、現金一括で買うつもりでしたが、不動産会社の担当者に話を聞くと、60代でも夫がまだ現役のためローンが組めるという話だったので迷いました。
結局、当時金利も安く、住宅ローン控除もあって有利な面も多かったので、500万の頭金を出して、残りの1000万円を5年の固定金利ローンにしました。
最寄駅から徒歩6分のマンションで、やはり駅から近いことはとても便利です。
現在は車も所有していますが、あと5年もしたらきっと夫婦共運転は難しくなるので、その時にも交通手段に困らないことは安心材料になっています。
また駅近ということでスーパーや病院なども揃っており、その点も満足しています。
老後を考えて駅近のマンションを購入しましたが、生活の利便性、防災についても安心感があるため、満足しています。
バリアフリー設計なので、今後介護が必要になった場合にも訪問介護等に来てもらいやすいのではないかと思います。
また現在は娘と孫が遊びに来たときに少し狭さを感じていますが、冷静に考えるとやはり広さより立地や環境の方が重要だと思っています。
神奈川県鎌倉市・5,000万円台の新築マンションを購入
住宅街の戸建てに住んでいましたが、駅まで遠く、買い物は車を使って行かなければならないため、老後に向け不安を感じていました。
築年数も20年を超えたため、今後のメンテナンス費用もかなりの負担になると思い、新築のマンションを探すことにしました。
いくつも物件を見てまわりましたが、コストパフォーマンス的に納得する物件をみつけ、購入を決めました。
ネット系の銀行は手数料等が割安で手続きもオンラインで完了するので第一候補に考えていました。
最終的には金利と手数料設定を鑑み、トータルで条件的に有利となるネット系銀行で契約。
当初は変動金利としていましたが、固定金利が下がったので固定金利に切り替えました。
マンション前の歩道が広く、街路灯も明るいため、安心感があります。周辺には緑が多く、海も近いので、解放感があるのも利点です。
また、駅までは徒歩7分ほどの距離、商店や飲食店が多く、生活に不便さは感じません。役所や銀行、郵便局も徒歩圏内にあります。
6.まとめ
本記事では、老後の住まいについて、マンション・一戸建てそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
老後のマンション購入に関する体験談を読むと、やはり駅の近さ、マンション周辺の利便性に魅力を感じていることが分かります。
歳を重ねていくと、どうしても車の運転に不安が出てきます。
老後、車に乗れなくなっても日々の暮らしに不便が無いか?という点が、老後の住まい選びでもっとも重要なポイントと言えそうです。
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