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住まいサーフィン編集部

マンションは耐用年数が過ぎたら寿命?築古物件購入の注意点も解説!

2024年09月06日

更新日最終更新日:

マンションの耐用年数について、この記事で分かること

マンション価格の高騰が続いており、エリアによっては中古物件でも相場が1億円近くなっています。
予算の関係で、新築ではなく築古の物件を検討している方もいるでしょう。

しかし、気になるのが耐用年数です。耐用年数を過ぎたら、マンションは寿命を迎えるのでしょうか。
耐用年数を過ぎたマンションに、安心して何年住めるのか?と気になる方もいると思います。

今回の記事では、耐用年数を過ぎたらマンションはどうなるのか解説していきます。
築年数が古い物件を購入するときの注意点もご紹介するので、中古マンション購入を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. マンションの耐用年数は何年?

まずは、マンションの耐用年数について見ていきましょう。

マンションの法定耐用年数

建物は、構造と使用用途によって耐用年数が法律で定められています。これを、法定耐用年数といいます。

上記の図で見ると、マンションはほとんどがRC造(鉄筋コンクリート造)となっているので、法定耐用年数は47年になります。

参考:償却資産の評価に用いる耐用年数(東京都主税局)https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/taiyo_nensu.html

法定耐用年数を過ぎたらマンションは寿命になる?

法定耐用年数が過ぎたら、その建物には住めなくなるのでしょうか。

結論としては、法定耐用年数の経過後も住み続けることができます。

築古マンションに何年住めるのか?と不安になる方も多いと思いますが、47年過ぎたらマンションに住めなくなってしまうというわけではないので、安心してください。

法定耐用年数は、固定資産などの減価償却の計算時に使用する会計上の年数です。
ルール上の数字なので、47年という年数はマンションの寿命ではありません。

減価償却については下記の図をご覧ください。

国土交通省の資料では、RC造(鉄筋コンクリート造)の建物としての耐用年数は120年と算定されています。
また、固定資産台帳の滅失データを基に家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果、RC造住宅の平均寿命は68年でした。
参考:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf

さらに、平均寿命の根拠論文を執筆された小松幸夫氏の論文「建物の寿命と価値」には、建物の平均寿命が昔よりも伸びていると書かれています。
参考:早稲田大学 小松幸夫氏「建物の寿命と価値」https://ykom.w.waseda.jp/aijjaab202012.pdf

以上のことからも、マンションの平均寿命は法定耐用年数よりも長いということが分かります。
また、マンションの寿命は一概に何年と言えるものではなく、物件によって異なります。

マンションの寿命については、下記の記事で詳しく解説しています。

マンションの寿命はどれくらい?どんなことが寿命に関係するかについても解説!

 

マンションの耐用年数や寿命に関係する要素について、詳しく解説していきます。

2. 耐用年数が過ぎたらどうする?

マンションの耐用年数と寿命は異なるということは分かりました。
しかし、竣工から50年近く経っているマンションはその後どうなるのか気になるという方も多いでしょう。

そこで、耐用年数を過ぎたらマンションはどうなっていくのか、その選択肢について解説します。

  • ① メンテナンス(修繕)をしてそのまま住み続ける
  • ② 建て替えをする
  • ③ ディベロッパーに売却をする

①メンテナンス(修繕)をしてそのまま住み続ける

1つ目は、メンテナンスを繰り返しながら、マンションが寿命になるまで住み続ける方法です。

マンションの耐用年数は47年です。
2021年時点で、築50年以上のマンションは21万戸以上ありました。
今から10年後には約115万戸を超える見込みというデータがあります。今後は、築60年・70年のマンションも増えてくるかもしれません。
参考:マンションを取り巻く現状について(国土交通省)https://www.moj.go.jp/content/001385377.pdf

耐用年数を過ぎても、居住が可能なマンションは意外と多いです。
しかし、建物が古くなってくると不安になるのは、安全性です。
安心して住み続けるためにも、重要なのがメンテナンス(修繕)です。

マンションの管理組合では「長期修繕計画」が作成されます。その計画内容を定期的に見直しながら、修繕が進められます。

記事前半でご紹介した国土交通省の資料によると、RC造(鉄筋コンクリート造)の建物としての耐用年数は120年ですが、外装仕上で延命することで耐用年数は150年になります。
適切な修繕をすることで、マンションの寿命を延ばすことが可能ということです。

しかし、修繕を続けても、いつかマンションが寿命を迎えるときはいつか必ず来ます。
また、建物としての寿命はまだ先だけど、耐震性能や設備老朽化などの理由で建て替えせざるを得ない状況になることも考えられます。

後ほど解説しますが、建て替えをする際には、一般的には高額な費用が必要です。
マンションが寿命を迎える頃には、空室率の増加・住民の高齢化などの問題が起きかねないと考えられます。
今後、マンションを建て替えるべきなのか、なかなか決めるのが難しい場合もあるかもしれません。

「そのまま安全にマンションに住み続けるための費用が足りない」といった状況になるのが最も問題です。
実際に建て替えを行う場合、その流れや計画は複雑で時間もかかってしまいます。

マンションの寿命が来た時に考えるのではなく、早い段階から管理組合で建て替え等の計画について話し合いを進めることが望ましいです。

②建て替えをする

2つ目は、マンションの建て替えをすることです。

築年数が経ってくると、建物や設備などで修繕・工事が必要な箇所が多くなります。
修繕にかなり高額な費用がかかってしまう場合は、いっそ建て替えをした方が良いかもしれません。

しかし、日本では建て替えしたマンションの事例はそれほど多くないのが現状です。
2023年3月時点で、マンション建て替えの実績は累計で282件、約23,000戸です。
参考:マンション建替えの実施状況(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001623968.pdf

マンションの建て替えが少ない理由の一つとして、「建て替え後に住み続けるために、住民が多額の費用を負担する必要がある」という点があります。
建て替え後のマンションの戸数や設備等のグレードなど、さまざまな要因によって自己負担する費用は変わってきます。一般的には1戸あたり1,000万円~1,500万円以上かかると言われています。

マンションを建て替えするためには、住民の5分の4以上(厳密には所有者と議決権それぞれ5分の4以上)の賛成が必要になります。反対の人が多いと、建て替えすることはできません。
「建て替え費用は用意できないけど、マンションには住み続けたい」という人もいるでしょう。

しかし、今後はこういった問題も少しずつ変わっていくかもしれません。
将来的に築年数が経ったマンションは急増する見込みであり、マンションの建て替えに関する法律はたびたび改正されています。

例えば、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)という制度があります。
これは、マンションの大規模修繕をすると固定資産税が減税されるという制度です。翌年度支払う固定資産税(建物部分)が、最大で2分の1減額されます。
修繕積立金の値上げや大規模修繕の実施がなかなか進まないマンションが多いため、こういった減税措置がつくられました。

今後、建て替えが必要なマンションが急増する見込みがあるので、円滑に建て替えが進むような制度が準備されています。
建て替え決議の要件についても、「5分の4以上」から「4分の3以上」に緩和する方向で議論が進められているようです。

③ディベロッパーに売却をする

3つ目は、ディベロッパーにマンションを売却することです。
建物をそのままにして売却する場合もあれば、建物を取り壊しをして土地だけ売却する場合もあります。

売却時に得た利益は、住民で分けることになります。
なお、建物をそのままにしてディベロッパーへ売却する場合は、取り壊しの費用分は利益から差し引かれることが一般的です。

住民たちは、今まで住んだマンションを離れて別の住宅に引っ越すことになります。


耐用年数が過ぎたらマンションがどうなるのか、いくつかの選択肢について解説しました。
耐用年数が近い築古マンションの購入を検討している場合は、メンテナンスはどうなっているのか・建て替えは計画されているのか・建て替え費用はどのように負担するのかなど、事前にチェックするようにしましょう。

3. 中古マンションを購入するときの注意点

最後に、築年数が古いマンションを購入するときの注意点について解説します。

住宅ローンが希望通りに組めないことがある

マンションを購入する際、住宅ローンを利用するという方は多いでしょう。
しかし、中古マンションの場合は物件によっては思ったように融資を受けられないことがあります。

住宅ローンは、購入するマンション(不動産)を担保にするローンです。
担保とは、万が一債務者(お金を借りた人)が返済できなくなったときに代わりに差し出すものです。
お金を貸した金融機関は、不動産を競売にかけてお金を回収します。

令和5年度「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、住宅ローンの審査項目に「担保評価」が含まれている金融機関は91.8%でした。
ほとんどの金融機関が、審査時に担保となる不動産の評価をチェックするということです。
「民間住宅ローンの実態に関する調査」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr1_000014.html

つまり、担保(不動産)の評価が低いと、希望の住宅ローン融資を受けられなくなる可能性があるのです。
記事前半に、減価償却の図で解説したとおり、建物は時間が経過すると価値は下がっていきます。
金融機関によっては、建物の築年数によって借入期間が制限されることもあります。

ただし、住宅ローンの審査方法は金融機関によって違います。
借入期間についても、金融機関によってさまざまです。例えば、以下の図のように、A銀行・B銀行・C銀行でそれぞれ借り入れ期間の取り扱いは異なります。

そのため、住宅ローンの審査は複数の金融機関に申請するのがおすすめです。
例えば楽天銀行の住宅ローンでは、新築物件・中古物件問わず、同じ条件で借り入れすることができるようです。
参考:住宅ローンのピックアップFAQ(楽天銀行)https://www.rakuten-bank.co.jp/home-loan/faq/new001.html

修繕積立金の値上げや一時金の徴収に注意!

分譲マンションを購入すると、住宅ローンや固定資産税に加えて、管理費や修繕積立金を支払うことになります。
しかし、管理費も修繕積立金も、ずっと同じ金額のままであるとは限らないので注意してください。

特に修繕積立金は、新築時から時間が経つにつれて、金額が上がっていくケースが多いです。
以下は都道府県・築年別の修繕積立金平均月額相場(70㎡)になります。

都道府県 築1年 築5年 築10年
東京都 7,065円 8,326円 12,459円
神奈川県 6,617円 8,486円 11,750円
埼玉県 7,061円 7,576円 10,937円
千葉県 6,106円 7,329円 10,701円
大阪府 5,389円 6,405円 9,434円
兵庫県 5,220円 6,615円 10,045円
京都府 5,505円 6,626円 7,806円
滋賀県 5,057円 6,147円 8,245円

(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

それでは、築年数が古い場合はどうなのでしょうか。
東京都の築20~築40年のマンションの場合、平均値は下記のようになりました。

築年数 築20年 築30年 築40年
平均金額 12,453円 13,792円 18,109円

(1979年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

修繕積立金は、マンションの状態や修繕内容によって異なります。
東京都内のとあるAマンション・Bマンションの修繕積立金(平均値)は以下の図のとおりです。

Aマンションの修繕積立金は少しずつ高くなっていったようですが、Bマンションは築36年の時から急に値上げをしたようです。同じ築40年の時でも、約7,000円ほど金額に差があることがわかります。
値上げの幅もマンションによってさまざまです。修繕の計画内容や建物の状況によっては、ある年から急に前年の2倍ほどの修繕積立金を支払うケースもあるようです。

また、月々の修繕積立金はそれほど値上がりしていなくても、大規模修繕時に一時金を徴収するケースもあります。
一戸あたり数万円のこともありますが、大幅に足りない場合は数十万円~百万円以上になってしまうことも。住民の負担が大きくなってしまいます。

中古マンションを購入する場合は、大規模修繕の計画や修繕積立金がどうなっているのかなどを事前に確認するようにしましょう。

売却がなかなかできない可能性もある

将来的に売却することを前提に、マンションを購入する方もいるでしょう。
また、元々は売却する予定はなくても、さまざまな事情で売却せざるを得ない状況になることも考えられます。

築40年のマンションを購入して10年後に売却しようとすると、そのときには築50年になっています。
法定耐用年数を超えた築50年の物件など、築年数が古い物件は、なかなか売れなくて苦戦するかもしれません。

しかし、築50年以上のマンションであっても成約事例はあります。

マンションを購入するときに最も重要なポイントは「立地」です。
人口が減少しない人気エリア・利便性が高い立地であれば、マンションの価値が大幅に下がるリスクは少ないでしょう。

ただし、中古マンションは管理や修繕が適切に行われないと、劣化もひどくなってしまいます。
築年数が古い中古マンションの購入を考える場合は、立地と同じくらい管理・修繕状況も重視するようにしてください。

下記は、築20年のマンション購入に関する記事になります。
今から10年後のマンション市場についても解説しているので、ぜひご覧ください。

築20年の中古マンションは購入しても大丈夫?資産価値が下がりにくい不動産の条件とは

 

築20年のマンションを買っても大丈夫かどうかについて詳しく考えていきます。

4.まとめ

今回の記事では、マンションの耐用年数や寿命についてと、築古のマンションを購入する場合の注意点について解説しました。

新築マンションの供給量が減っているため、中古マンションの取引は年々増加しています。また、取引される中古マンションの平均築年数も上がってきています。
首都圏不動産流通市場の動向(2023年)によると、2023年に首都圏で成約された中古マンションの平均築年数は23.83年でした。今後も30年・40年と上がっていくと考えられます。
参考:首都圏不動産流通市場の動向(2023年・レインズ)http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2023.pdf

中古マンションは新築マンションよりも価格が安いですが、売られている価格が必ずしも適正価格とは限りません。
割高な価格で購入してしまった場合、将来売却をするときに住宅ローンの残債割れになるリスクも高まります。

損をしないためにも、周辺相場や過去の取引価格といった情報収集が重要です。

例えば、中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

  • ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
  • ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
  • ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」

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例えば、新築マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

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