いろいろ対策をしても災害を完全に回避することはできません。災害によるダメージを軽減するために保険があります。生命保険、損害保険、火災保険、地震保険、個人賠償責任保険、などいろいろありますが、災害に関するものをいくつか取り上げてみましょう。
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防災対策を再度見直しましょう
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災害の正しい知識がなければ、正しい保険の選択もできません。
火災保険のいろいろ
住宅のための火災保険の種類…大きくは補償型と積み立て型があります。・補償型(掛け捨て型):補償型の火災保険には住宅に関するものは下記の数種類あります。
・積み立て型:満期返戻金が支払われるタイプです。商品数は少ないですが、積み立て型の商品もあります。
時価額と再取得(調達)価格…保険価格には時価額と再取得価格があり、時価額とは再取得価格から減価 償却した価格のことです。再取得価格で契約するためには、新価特約または価格協定特約を結びます。
新価特約と価格協定特約…両者の違いは、新価特約は同じ土地に再建する義務があるのに対して、価格協定特約は、使用用途が自由な点です。ただし、現在の新しい保険は再調達価格が前提になっていることが多く、また、各保険会社によっても異なりますので、実際にホームページ等で確認ください。地震保険に加入していますか?
地震保険の加入率は、日本損害保険協会によると、都道府県によって大きく異なりますが、東京都の場合は約35%だそうです。最大は宮城県の約51%、最低は島根県の約19%だそうで、かなりの幅があります。地震国の日本としてはかなり低い数値だと思います。マンションで火災の被害にあう確率はかなり低いと思いますが、首都直下型地震が起きても不思議ではないと言われている中、地震にあう確率はそう低くないといえるでしょう。それでも2000年は20%超える都道府県が少なかったことを考えれば、加入率は着実に増えてきています。
地震にあい、それによって火災が発生した場合、地震保険に加入していなければ、火災保険は支払われません。家財保険も同様です。
©佐藤章子個人賠償責任保険
マンションのような集合住宅も古くなると配管が腐食し、水漏れ事故を起こします。我が家も上の階から水が漏れたことがあります。我が家の被害はたいしたことはなく、補修等も必要なかったのですが、中には階下の住戸に大きな被害をもたらすケースもあります。加害者である上の階の住民は、被害額を補償しなければならないのですが、請求しても支払わないケースが問題になりました。もちろんそうした意識の低い住民は個人賠償責任保険にも加入していません。そのために管理組合としてマンション全体で個人賠償責任保険に加入しました。我が家ではすでに加入していましたので、2重に加入していることになります。
最近この個人賠償責任保険が別の意味で注目されました。個人賠償責任保険はほとんど自転車事故にも対応していると思いますが、この自転車事故に対して莫大な賠償金が請求されるようになってきたのです。自転車の性能もよくなり、事故の規模も大きくなったのだと思います。とても今までの個人賠償責任保険金額の範囲内では賄えない可能性も出てきたのです。その場合は自転車保険を追加して加入することをお勧めします。まだ保険金額が無制限の自転車保険はないようですが、3億円の自転車保険はあります。ファイナンシャルプランナーは、人生の様々なリスクにたいしてどう対処するかをアドバイスする仕事です。その人生の様々なリスクのなかで、住まいに関するリスクは他のものと比較して、はるかに甚大です。起きてしまった災害に対して、その後の生活を立て直す一助になるのが保険です。災害の正しい知識がなければ、正しい保険の選択もできません。多くの方は住まいを取得するのに住宅ローンを利用します。災害ですべてを失ってなお、負債が残ることのないように防災対策を再度見直しましょう。
なお、保険の商品の詳細については個別に、その都度チェックください。 -
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Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)
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写真提供:佐藤章子一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。