家電製品にもチャイルドロック機能がついているものがいろいろあります。小さなお子様がいたりペットを飼われていたりする場合は、家庭内の家電製品の安全性を点検してみましょう。ロック機能がついているならば、それだけ危険性も高いことを意味しますので、ロック機能はしっかり活用しましょう。
-
時間をかけてじっくり観察
-
室内の危険個所とその対処方法を考えてみましょう
浴室
浴槽は使わないときは水を抜いて乾燥させるのがベストですが、翌日洗濯に使ったり、災害時を考えて常時水を溜めていたりするケースもあります。水は数センチたまっているだけで子供が水死する可能性があります。また子供が勝手に栓をして水をためてしまうケースもあります。浴室の事故は本当に多いのです。
浴室のドアにはチャイルドロックが装備されているものもありますが、なければ手前の洗面脱衣室のドアをロックできるようにして、事故を防いでください。また浴室の床はぬれても滑らない工夫がされていますが、滑りやすいと感じたらマット等の対策を講じてください。ただしマットが事故につながらないように工夫してください。
浴室はカビ防止のために、使わないときにはしっかり乾燥することがよいとされています。我が家では防災の観点から水は多少残しています。使った直後に換気扇を少しの時間回すことで、何十年も経っていますがきれいな状態です。カビは50℃のお湯を90秒かけるとゴムパッキンの奥まで菌を死滅させられるそうです。さらに1週間に一度50℃のお湯を5秒かけると表面の菌は死滅するそうです。我が家でも試してみましたが、格段の効果がありました。すでにあるカビによる黒ずみは、お湯では取れませんので、漂白剤を使用するか目地の修正材で白くしてください。サッシ
サッシにもチャイルドロックがついているものもあります。なければ、サッシを枠に押し付けて固定する方式の補助錠がDIYショップで100円程度で売っているので、工夫してみてください。屋上テラスやバルコニーに踏み台となるようなものが置いてあるときは、出入り口のサッシがロックされていると安心です。腰高窓も家具が踏み台になるようなケースはロックできるようにした方が安心です。キッチン周りの安全性
キッチンは刃物あり、火あり、洗剤ありで危険がいっぱいです。危険な家電製品もいろいろあります。家電製品は次回に詳しく解説するとして、キッチンそのものについても安全面で考えなければならない部分はたくさんあります。特に対面式キッチンやアイランドキッチンは基本的にオープンです。チャイルドロックが装備されているシステムキッチンもありますのでお勧めです。特に包丁収納にはロック機能がほしいところです。対面式やアイランドキッチンは、小さな子供を持つ親には子どもを見守りながら食事の支度ができるので人気がありますが、しっかり整理整頓できて、安全対策がきっちりできると確信がない限り、安易に導入すると思わぬ事故につながりかねません。
©佐藤章子トイレのカギ事情
トイレも事故の多いところです。便器の形状にもよりますが、溺れる可能性は大いにあります。トイレの洗剤等も危険です。トイレのふたは必ず閉めておくことと、できれば外から鍵をかけられるようにしておいた方がよいでしょう。
そもそもトイレは使用時にカギをかけます。中で急病に見舞われた際には、鍵がかかっていても外から所定の方法で開けられるようになっています。また、中で倒れて体でドアを抑えてしまって、外から開けられなくなるのを防ぐために、トイレのドアは必ず外開きにしなければなりません。
また鍵が壊れてドアが開かなくなる事故は意外に多くあります。我が家でもありましたし、同じマンションでも問題になりました。金具は次第に劣化するので仕方ありませんが、一人暮らしや少人数で暮らす場合は、長期間閉じ込められかねません。夫が出張中に閉じ込められて、壁を叩きつづけて隣人が気付いてくれて助かったニュースを聞いたことがあります。そもそも家庭内のトイレに中からのカギはそれほど必要ありません。照明がついていればわかりますし、内側から鍵を掛ける以外でも、使用中であることを伝える方法はいろいろ考えられます。むしろ小さな子供やペットがいる家庭では、外からのカギの方を重視しなければならないのかもしれません。
是非今住んでいる住まいの内外を、時間をかけてじっくり観察してみて、どんな危険性があるかをイメージしてみてください。「転落の危険がある」、「ケガの可能性がある」、「誤飲する」、「火傷する」、「溺れる」、「閉じ込められる」、「火事などの事故を引き起こす」、「自然災害に見舞われる」、「犯罪にあいやすい」、「他人に危害を与える」…などのチェックを作って一つ一つ対処するとよいでしょう。
-
Author:佐藤 章子 先生 (一級建築士・CFP・一級FP技能士)
-
写真提供:佐藤章子一級建築士として、大手ゼネコンや住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事し、2001年に独立。2002年に『住まいと暮らしのコンサルタント事務所』ハウステージを設立。
「健全な住まいづくりは、健全な生涯設計に宿る…」をモットーに、ファイナンシャルプランニングと建築のハード面の双方から、住まい作りや暮らしを総合的にアドバイスしています。