はじめてマンションを購入した直後は「一生住み続けたい」という気持ちになります。しかし、急な転勤や職場移転、あるいは環境の変化などがきっかけで住み替えを考えるときは突然やって来るかも。
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「売りやすい」、「貸しやすい」マンションを選んでおくことが大切
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はじめて買うマンションは後に住み替える可能性があります。
これから買おうとしているのに、なぜ住み替えの話?
明るく楽しい「おうちマンション生活」を目指すコラムの最終回はマンションの住み替えについてです。
2人(と将来の家族)で積み重ねてゆく楽しさいっぱいの「家族ライフ」。その序盤は、急に転勤辞令が出た、職場ごと移転することになった、子どもを取り巻く環境が変わったなど大きなイベントが起こりがちで、住み替えを考える場面は少なくないと思われます。はじめてのマンション購入はとても疲れるけれど
たっぷり時間をかけて物件を探し、これまで想像もできなかった大きな金額の住宅ローンを借り入れ、所有者の証である不動産登記記録を済ませ、鍵を受け取り、引っ越しも無事終わり、晴れて自分たちのものとなって住み始めた「おうちマンション」。それはそれは嬉しく、これまでの苦労なんて忘れてしまいます。嬉しい住宅ローン減税も、ローン元金は減っていません
そんな暮らしで毎月引き落とされる住宅ローンの返済金ですが、年1回トクした気分になれるのが住宅ローン減税の特例です。(2016年9月時点)
10年以上の住宅ローンを組んで自宅マンションを購入。翌年に確定申告すると年末ローン残高の1%が所得税から戻ってきます(上限あり)。所得税を超える分があれば翌年の住民税からも引かれます。その後は勤務先にローン残高証明書を提出すると年末調整され、通常12月の手取りが増えます。(返済期間が10年を切るまで最長10年継続)
©原 浩也
みんなのために「おうちマンション」を買い、頑張ってローン返済を続けるあなたへの「ご褒美」あるいは「勲章」のように感じられ、ちょっと嬉しいです。
このほか平成31年6月まで、消費税が8%は最大30万円、10%は最大50万円が給付される「すまい給付金」制度も設けられています。(収入要件などがあります)
※住宅ローン減税と「すまい給付金」の詳細は国土交通省の『すまい給付金』のページでご確認ください。
しかし落ち着いて考えると、税金が戻ったからといってローン元金が減るわけではありません。とにかく住宅ローンは“繰り上げ返済でローン元金を早く減らす”のが王道なのをお忘れなく!売却せずに引っ越した場合の住宅ローン減税は
住宅ローンが残っているときに住み替えを考えるのは頭の痛い問題です。 賃貸または売却して家族全員で引っ越す、やむを得ず単身赴任など、いろんなケースがあるので、マンションを売却しない場合から考えてみましょう。
使えるものは使いたいのでひとまず住宅ローン減税に注目します。
転勤による単身赴任は赴任先が国内なら継続されます。一方、家族全員で住み替え、自宅マンションを賃貸した場合は休止されます。しかし後に戻り、適用期間が残っていれば再開可能です。
なお子どもの教育環境を変えたいからなど自己都合だと終了します。売却するときは税金と特例をよくチェックしましょう
次にみなさんがマンション(特定居住用財産)を売却した場合を一般的な例で想定します。
買ったときより高く売れた場合には3つの特例があり、中でも基本は売却益(譲渡所得)から3,000万円を控除した後の金額に所得税と住民税がかかるというものです。
実際の買い替えでは他の特例と比較し、どれが使えて有利なのか選びます。
反対に安くなっていたとき、売却損(譲渡損失)に所得税や住民税はかかりません。また売却年から最長計4年間、所得税や住民税から売却損を控除できるなどの特例があります。損してそのまま終わりにはなりません。
これら不動産の特例は複雑なうえ社会・経済情勢によって変わり、特例そのものが無くなることがある点には注意が必要です。ただ、そういう仕組があるということは頭の片隅に置いて、売却を考えたときには最新税制を確認してくださいね。
※マンション売却に係る税金の詳細は国税庁タックスアンサー『マイホームを売ったとき』でご確認ください。「次の住民」視点を持つことの大切さ
売るにせよ貸すにせよ、相手は一刻も早く見つかって欲しいですね。
はじめて買うマンションは後に住み替える可能性が高いので、「次にこの部屋に住む人が欲しいと思うか?」という視点を持って「売りやすい」、「貸しやすい」マンションを選んでおくことが大切です。そのヒントは前回までのコラムで「復習」くださいね ^^
最後に、「これ!」と決めたマンション購入後のプチアドバイス。
契約書はもちろん、購入に関係したすべての領収書や各種申請書などはきちんとまとめておきましょう。これらは購入後の税制特例などの申告に必要で、また後の売却時にも使う重要な書類なので大切に保管してください。おわりに
これで全6回のコラムは終了です。みなさんの明るく楽しい「おうちマンション生活」にはどんな物語が待っているのか、画面のこっち側でワクワクしつつ筆を置かせていただきます。そして、たくさんの思い出にあふれる「家族ライフ」を存分に楽しんでくださいね。
最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。
(本記事は記事執筆時点の2016年9月の最新情報に基づいて執筆されています。)
併せて読みたい:単身赴任での引越しで必要なものリスト。
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Author:原 浩也(はらひろや) 先生
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(CFP®(ファイナンシャル・プランナー)、基本情報技術者、宅地建物取引士,くらしとお金とパソコンのヘルプデスク『スラウギ』代表)
28年間の総合出版社勤務で情報システム、広告・販売営業、物流開発と、様々な職務を経験し5年前に早期退職。 FP資格を取得後、某大学にて中島智美さんの「マネープランニング講座」講師を務める。 また技術者として高齢者向けのスマホ、タブレット、PC講座講師をするほか、不調PC修復などの出張サポートも行っている。
同い年で共に地方出身の妻、今年社会人になった長男、大学2年の長女の4人暮らし。 結婚を機に26歳でマンション購入。長男が生まれ住み替えて現在居住中。 当コラムは、読者のみなさんがこれから経験するであろうことを、ちょっと先にやってきた私がお伝えします