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住まいサーフィン編集部

用途地域とは何か?マンション購入前に確認した方が良い理由を解説!

2024年09月05日

更新日最終更新日:

マンションや一戸建ての物件概要欄には、建築基準法における「用途地域」という項目があります。
物件を購入したことがある方は、重要事項説明で聞いたことがあるでしょう。
しかし、購入することを決める前に、検討しているマンション周辺の用途地域を調べることが大切です。

今回の記事では、用途地域の基礎知識や調べ方について解説します。

この記事を書いた人

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1. 用途地域とは何なのか?

建築基準法における「用途地域」とは何なのか、まずは用語からご説明いたします。

もし各々が好き勝手に建物を建設できてしまうと、無秩序で住みにくい都市になってしまいます。
例えば、住宅の隣に大規模な商業施設や工場が建っていると、日当たりや騒音などの問題が発生し住みにくい住環境となってしまうでしょう。

そこで、都市が健全に発展することを目的とした「都市計画法」という法律が定められ、その利用目的に応じてエリアを分けるようにしました。
これが「用途地域」です。

用途地域は住居・商業・工業が大枠になっていて、細かく見ると全部で13種類の地域に分かれています。
13種類それぞれの内容は後ほど見ていきます。

用途地域は、建物の利用目的が決まっているだけでなく、容積率や建ぺい率、高さなどの建物の大きさに関する制限もされています。

つまり、用途地域を見れば、将来的にそのエリアにどのような建物が立つのかを予測することができるのです。住んでからの暮らしが見えやすくなります。
そして、建築物が用途に応じて適した場所に配置されることで街の機能を十分に発揮することができるようになります。

用途地域がないエリアもある

日本全国すべての土地に用途地域が定められているわけではありません。

まちづくりを進める地域を都市計画区域と言いますが、都市計画区域は大まかに以下の3つに分けられます。

  • ① 市街化区域
  • ② 市街化調整区域
  • ③ 区域区分が定められていない都市計画区域

このうち、①市街化区域には必ず用途地域を定めることになっています。
市街化区域とは、すでに市街化をしていたり、今後優先して計画的な市街化を進めたりする地域のことです。

基本的にマンションが建設されるのは、用途地域が決まっている市街化区域になります。

用途地域の調べ方

用途地域の種類がどうなっているのかは、各自治体の「都市計画図」で確認することができます。
また、自治体によってはホームページで公開しているところもあります。

東京都については、都市整備局がホームページで公開しています。

国土交通省の「国土数値情報ダウンロードサービス」にも全国の用途地域データがあります。
しかし、20249月現在のデータ作成年度は令和元年です。
最新情報ではないので、注意してください。

2. 用途地域の種類とマンションが建設できる地域

次に、建築基準法における13種類の用途地域について見ていきましょう。

住居系

  • ● 第一種低層住居専用地域
  • ● 第二種低層住居専用地域
  • ● 田園住居地域
  • ● 第一種中高層住居専用地域
  • ● 第二種中高層住居専用地域
  • ● 第一種住居地域
  • ● 第二種住居地域
  • ● 準住居地域

 

商業系

  • ● 近隣商業地域
  • ● 商業地域

 

工業系

  • ● 準工業地域
  • ● 工業地域
  • ● 工業専用地域

住居系の用途地域

住居系には8種類の用途地域があります。
第一種と第二種に分かれているものもありますが、まとめて特徴を見ていきましょう。

第一種・第二種低層住居専用地域

低層住宅のための地域で、建物の高さは10mまたは12mに制限されています。

主に一戸建てや低層マンション(3階建て以下)が並ぶ閑静な住宅街です。
第二種であれば、コンビニや飲食店など小さな店舗(150㎡以下)も建設可能になります。

閑静な住環境を重視する人にオススメです。

田園住居地域

農業と調和した低層住宅のための地域で、低層住居専用と同じように建物の高さは10mまたは12mの制限があります。
2階建て以下の農産物直売所や農作物の集荷貯蔵施設なども建設できます。

既存の農地で農業を楽しみたい人に向いています。

第一種・第二種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域で、住宅について高さの制限はありません。
店舗は2階建て以下なら建設可能です。

第一種は中高層マンションや小さめな店舗(500㎡以下)、第二種はさらに大きな店舗(1500㎡以下)が建設できます。

生活利便性を求める人にオススメです。

第一種・第二種住居地域

一戸建てや中高層マンション、大型商業施設やホテルなどが混在する地域です。
第二種はパチンコやカラオケボックスも建設可能となります。

一人暮らしにも安心な住環境です。そして生活利便を求める人にとって暮らしやすいでしょう。

準住居地域

国道や幹線道路など比較的大きい道路沿いで、住居地域がさらに賑やかになった地域です。
床面積150㎡以下の自動車修理工場や、客席200㎡以下の劇場や映画館が建設できます。

車での移動を主とする人にオススメです。

商業系の用途地域

近隣商業地域

住宅地に近接した商業施設や飲食店が多い地域です。
店舗や映画館などの床面積の制限がなくなります。
商業施設だけでなく中高層マンションなどの住宅も建設できます。

人や車の往来が多くなり騒々しい環境となるため、生活利便を重視する人には向いているでしょう。

商業地域

大型商業施設やオフィスビルなどが立ち並ぶ地域で、近隣商業地域よりも制限が緩和されています。
ターミナル駅周辺の繁華街は、この地域に該当することが多いです。

住環境より利便性を重視する人にオススメです。

工業系の用途地域

準工業地域

危険性や環境への悪影響が大きい工場を除き、ほとんどの工場を建設できる地域です。
工場だけでなく、住宅や商業施設、学校などあらゆる種類の建物を建設できます。

騒がしさが気にならなければ、ファミリー世帯にも向いているでしょう。また地域内の工場で勤務する人にも便利な地域です。

工業地域

すべての工場を建設できて、かつ、住宅や商業施設も建設できる地域です。
しかし、学校や病院は建設できません。
タワーマンションがある湾岸地域が指定されることが多いです。

高層階からの眺めを楽しみたい人にオススメです。

工業専用地域

すべての工場を建設できますが、住宅は建設できない地域です。

マンションはどの用途地域に建てられる?

13種類の用途地域について見ていきましたが、マンションはどの用途地域に建設されるのでしょうか。

3階以下の低層マンションであれば工業専用地域以外のすべての用途地域に建設できます。
また、4階以上の中高層マンションについては、低層住居専用地域・田園住居地域・工業専用地域以外の用途地域に建設可能です。

ただし、それぞれの用途地域には容積率や建ぺい率などの制限があり、それを満たさなければいけません。

容積率
敷地面積に対する延べ面積の割合

建ぺい率
敷地面積に対する建築面積の割合

※延べ面積とは、すべての床面積の合計のこと

容積率は建物の階数が多いほど大きくなり、建ぺい率は敷地内の空地が少ないほど大きくなります。

また、斜線制限や日影規制などの規制もあるので、マンション建設可能な用途地域であっても好きなように建設できるわけではないです。

3. マンション購入前にチェックしよう

用途地域の基本的なことは分かりましたが、なぜ用途地域を確認することが大なのでしょうか。

マンションを購入すると、多くの人は10年20年そこに住み続けることになります。
年数が経つと、周囲の環境は変化するものです。
その変化が住環境に良い影響を与えることもあれば、場合によっては悪い影響となることもあります。

用途地域を知っておくことで、街並みがどうなっていくのかある程度予想を立てることができます。

マンション購入後の失敗体験談

マンションの入居後に、目の前に高層建築物が立ってしまった」という失敗経験談は多くあります。
住まいサーフィンで公開している「マイホーム購入しくじり経験談」から、抜粋してご紹介します。

「目の前にマンションが建って、自慢の眺望が台無し!」

マンション購入後、周辺に次から次へとマンションが建ってしまい、眺望が悪くなってしまいました。
当初は見えていた富士山も見えなくなってしまいました。
購入当時は目の前には小さな会社や工場しかありませんでしたが、10年後にはなくなり、目の前には8階建てのマンションなどが建ってしまいました。
私たちは10階を選んだのでまだ良かったのですが、下層階は日当たりまで悪くなった部屋もあります。
周辺地域が将来どうなるのかを知ることは重要だと痛感しました。

「目の前にある病院が建て直し、日が当たらない部屋に!」

当初マンションの目の前に病院があったのですが、それほど高さがなかったので、日の光が十分に入ってきていました。
ところが、しばらくして病院の建て直しがあり、まったく日の光が入らなくなってしまいました。
部屋の中が暗くなり、洗濯物が乾きにくく、昼間でも電気を付けていないといけないくらいです。
周りに高い建物がないところを購入すればよかったと後悔しています。

「ベランダぎりぎりに別のマンションが建った!」

駅近に住みたかったというのがあり、前の住民が綺麗に使っていたリフォームが少なくてすみそうな中古マンションを購入しました。
失敗したと思ったのは、購入して1年くらいたったとき、目の前の空き地にマンションが建ってしまったこと。
ベランダのすぐ前に、隣のマンションのエレベーターや廊下があり、とても圧迫感があります。
日光も全く入ってこなくなり、日中でも暗い感じになってしまいました。
リビングも丸見えなので、カーテンをずっとしています。
防犯的にも反対側のマンションから飛び移ってこられそうで、不安な感じがあります。


このように、目の前にマンション等の高層建築物ができて眺望や日当たりが悪くなったという経験談は多いです。
特に目の前が空き地や駐車場の場合は、注意が必要です。

また、既に建物が立っている場合も、改築等で高さが変わる場合もあります。
アパートが建っていたのに、取り壊されてマンションになってしまったという経験談もありました。

マンション周辺の用途地域を確認しましょう

用途地域は、その周辺一帯すべて同じとは限りません。
そのため、マンションの概要にある用途地域と周辺の用途地域は異なっていることがあります。

以下は、渋谷区の都市計画情報(用途地域を表示選択・2024年9月時点)です。

渋谷区用途地域各駅周辺は商業地域(濃いピンク)や近隣商業地域(薄いピンク)ですが、少し駅から離れると第二種低層住居専用地域(薄い緑色)や第二種中高層住居専用地域(薄い黄色)になっています。
マンションの場所によってはちょうど境目となり、敷地内の用途地域が二種類になっていることもあります。

開口部の方向が低層住居専用地域であれば高い建物は建設できないため、日当たりはあまり心配ないです。
しかし、商業地域や準住居地域だと、高層建築物や場合によってはパチンコ店など賑やかな店が建つ可能性もゼロではありません。

また、購入予定のマンションが低層住居専用地域であっても、すぐ目の前は準住居地域や近隣商業地域ということもあります。

もちろん商業地域などが悪いわけではなく、大型商業施設や娯楽施設などを建設できる環境なので、利便性を求める方にとっては住みやすいエリアになります。
用途地域を知ることで自分のライフスタイルに合った地域の選び方ができます。

住環境に求める条件は人それぞれです。
「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、購入検討時にはマンション周辺の用途地域を確認するようにしましょう。

4.まとめ

今回の記事では、建築基準法における用途地域の種類や購入前に確認した方が良い理由について解説しました。

マンションを手放す際にも、日当たりが悪いと売却価格に影響が出ることがあります。
資産価値を守るためにも大事なことなので、是非気を付けて見てみてください。

ずっと住むつもりはない場合でも、周辺の用途地域は一度チェックしておきましょう。

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