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不動産価格の高騰から、相場よりも安く手頃な価格で買える築40年超の古いマンションに注目が集まっています。
しかし、築40年、50年の古い物件を購入しても大丈夫なのかと不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、築40年超の中古マンション購入のメリット・デメリットや、築年数の古いマンションを選ぶ際の注意点をご紹介します。
目次
1.築40年の中古マンションはいつまで住める?
築40年の中古マンションの購入検討の際、もっと気になるのが「あと何年住めるのか?」という点ではないでしょうか。
そこで、まずはマンションの寿命について考えていきます。
マンションの寿命は何年?
マンションの寿命を考える上で必ず登場するキーワードが「法定耐用年数」です。
法定耐用年数とは、建物や自動車などの資産が何年使用できるかを法令で定めたものを指します。
建物の耐用年数は構造ごとに定められています。
マンションの建物構造であるRC造(鉄筋コンクリート造)の場合、法定耐用年数は47年です。
法定耐用年数が47年と聞くと、築40年の中古マンションを買っても10年くらいしか住めないのではと心配になりますよね。
しかし、法定耐用年数はあくまで税務上の基準として定められた数字です。
マンションの物理的な寿命とは異なりますのでご安心ください。
当然ながら、建物は築年数が経過するごとに経年劣化が進み、価値が減少していきます。
しかし、47年が経過したら住めなくなってしまうわけではありません。
国土交通省の調査※によれば、RC造の建物の物理的な寿命は120年と推定されています。
※国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新 による価値向上について」
https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf
ちなみに、日本最古のマンションと言われる「宮益坂ビルディング※」は築63年で解体・建替となりました。
また、1998年以前にはRC造の法定耐用年数は60年と定められていました。
※旭化成不動産レジデンス「宮益坂ビルディング立替え事業」
https://www.afr-web.co.jp/tatekae-lab/example/miyamasu.html/
このような点を鑑みると、築40年の中古マンションを購入した後、最低でも20年くらいは問題なく住み続けられると考えてよいでしょう。
ただし、築40年を超える中古マンションの購入を検討する際は、管理・修繕の状況を確認することが非常に重要です。
中古マンションの建物価値は、管理状態によって大きく変わります。
安心して住み続けるために、適切なメンテナンスが行われているマンションを選びましょう。
管理状態の確認方法については、記事の後半で詳しくご紹介します。
築40年の中古マンション、資産価値は低い?再び売却できる?
築40年の中古マンションの資産価値も気になるポイントですよね。
築40年の中古マンションを購入し10年住んだとして、築50年のマンションを売却できるのかについても考慮しておく必要があります。
東京都心にはヴィンテージマンションと呼ばれる人気物件が存在することをご存知でしょうか。このような物件においては築60年超でも高値で取引されています。
都心マンションは資産価値が高いため、築年数が経過しても需要が無くなる可能性は低いでしょう。
また都心部でなくとも、利便性の高い立地であれば、周辺相場より価格を下げれば売却することは可能です。
したがって、築40年超の中古マンションを購入される場合には、立地条件を出来るだけ重視することをおすすめします。
立地の選び方については、記事の後半で詳しくご紹介します。
2.築40年の中古マンションを購入するメリット
つづいて、築40年の中古マンションを購入するメリット、築40年の中古マンションならではの魅力についても確認していきましょう。
相場よりも安く購入できる
築40年の中古マンションを買う最大のメリットとして「相場よりも安く購入できる」点があげられます。
マンション価格が高騰している現在、立地条件を優先し築40年前後の物件をリフォームして住むことはお得な選択肢と言えるでしょう。
また、マンションの資産価値を重視する上で、相場よりも安く購入することは欠かせないポイントです。
立地条件がいくら優れていても、相場から大きく外れた価格で購入してしまうと売却時に損をする可能性があるためです。
利便性の高い物件を適正価格で購入できれば、築年数が経過した築古物件であっても資産価値が保ちやすくなります。
立地の良い物件を購入できる
築40年の中古マンションを購入するメリットとして、立地の良い物件を安く購入できます。
最近では1億円超えの新築マンションが当たり前に売り出されており、一般企業に勤める会社員ではなかなか手の届かない現状です。
しかし、築40年前後の中古マンションに目を向けると、東京都心でも5,000万円台の物件が売り出されています。
築年数の幅を広げれば、新築や築浅では手の届かないエリアに住むことが出来ます。
管理状況を確認できる
築40年の中古マンションは、管理状態が外観や共用部から一目で判断できるという利点もあります。
例えば、エントランスの植栽が綺麗に保たれている、エレベーターなどの共用部の設備が交換されているといった点から管理状態の良さが窺える物件もあります。
内覧時に不快を感じないマンションであれば、築40年以上であっても安心して住むことが出来るでしょう。
建て替えの可能性がある
築40年の中古マンションを購入する意外なメリットとして、入居後に建て替えが行われるケースがあります。
中には、古い物件を安く購入し、自己負担なしで新築に住み替えられたという運の良い方もいます。
一般的にマンションの建て替えには、入居者一人当たり数千万円といった多額の費用が掛かります。
そして、建て替えにはマンション所有者の4/5の賛成が必要であるため、そう簡単に実現できるものではありません。
しかし、都心立地かつ容積率に余裕がある物件であれば、建て替え時に戸数を増やし販売することで建て替え費用を賄うことができます。
東京都心は空いている土地も少ないため、今後は老朽化したマンションの建て替えが徐々に進んでいく可能性もあります。
3.築40年マンションのデメリット
ここまでは、築40年の中古マンションを購入するメリットについてご紹介してきました。
続いては築40年超の中古マンションならではのデメリットや注意点についても認識しておきましょう。
老朽化が進んでいる
築40年といった築年数が経過している中古マンションは、マンション躯体の劣化が進んでいる可能性があります。
居室内はリノベーションされていても、マンションの大規模修繕が行われていないという事例も多いので注意が必要です。
新築同様の綺麗なお部屋だと思い購入したものの、配管の劣化が原因で、入居後に水道管の水漏れが発生したなどの後悔もよく聞かれます。
内覧時は共用部にも注意を向けて、外壁にヒビ割れがあるなど修繕が十分に行われていないと感じるマンションは避けた方がよいでしょう。
耐震性に不安がある場合も
地震大国とも呼ばれる日本に住む以上、大震災が起こるリスクは避けられません。
万が一の場合を考え、地震に耐えうる住まいを選びたいですよね。
実は、過去の地震の結果から、建てられた時期によって倒壊率が違うことがわかっています。
2011年の東日本大震災で特に被害が大きかったのは、1981年(昭和56年)前後までに建てられた旧耐震基準のマンションでした。
築40年超の中古マンションを検討していると、旧耐震基準のマンションが目に留まることも多いです。
なぜなら、旧耐震基準のマンションは新耐震基準のマンションよりも安価に売り出されているためです。
安く売り出されているのでお得に感じますが、購入の際はリスクを踏まえて慎重に判断することをおすすめします。
管理費・修繕積立金が高い
築40年以上の中古マンションは、管理費・修繕積立金が高額になる場合があります。
特に総戸数が少ない小規模物件の場合、1戸あたりの修繕費負担が大きくなるため維持費が高額になりがちです。
中古マンションを探す際、まずは物件価格を基準に選ぶ方が多いです。
しかし、管理費・修繕積立金の価格差によっては、毎月数万円もの差が生まれます。
物件価格だけで比較するのではなく、月々のローン支払額と管理費・修繕積立金を合計した金額で比較検討することをおすすめします。
住宅ローンが通りにくい
築40年の中古マンションを購入する場合、住宅ローンの借入期間が短くなる可能性があります。
その理由は、前述した「法定耐用年数」が審査に関係する場合があるためです。
35年ローンの借り入れを希望していても、借入期間が短くなる可能性があります。
借入期間が短くなるとその分、毎月の返済額が増えますので、毎月の支払いが苦しくならないよう注意が必要です。
そのため、築40年の中古マンションを検討する際には、余裕をもった予算計画を立てると安心です。
また、旧耐震基準のマンションの場合は審査が通りにくいと言われています。
1981年以前に建築された旧耐震基準のマンションは住宅ローン控除の利用もできませんのでご注意ください。
このように築40年超の中古マンション購入では、住宅ローン利用においていくつかの懸念点があります。
築40年超の中古マンションを購入検討する際には、金融機関へ早めに相談してみてもよいでしょう。
4.築40年マンションの選び方
築40年のマンションを購入するメリット・デメリットを把握したところで、続いては築40年マンションの選び方についても確認していきましょう。
新耐震基準を満たしている
デメリットでもご紹介しましたが、築40年の中古マンション購入の際は耐震基準を確認しましょう。
1981年(昭和56年)前後までに建てられたマンションは旧耐震基準で建てられています。
旧耐震マンションは、新耐震基準のマンションに比べ、揺れの大きさに比例して被害が大きくなることが分かっています。
さらに、旧耐震基準で建てられたマンションは耐震診断や補強工事に多額の費用が掛かる場合もあり、よっぽど気に入った物件でない限りは避けた方が無難です。
築40年前後の中古マンション購入時は、1981年以降の新耐震基準で建てられたマンションを選ぶことをおすすめします。
新耐震基準を満たすマンションは、震度6~7程度の地震において崩壊や倒壊しないことが目安となっており、安心して住むことができます。
管理状態が良い
中古マンションの状態は管理状態によって大きく変わります。
特に、築40年以上と築年数が経過した物件の場合、経年劣化が目立つ中古マンションも多くなります。
修繕が適切に行われていない中古マンションでは、安全性に問題が生じる恐れもあります。
維持管理の状況は、注意深く確認しましょう。
内覧時に手軽に確認できるポイントとして、マンション共用部の状態を観察しましょう。
エントランスやゴミ置き場、駐輪場など、全住民が利用する施設が綺麗に保たれているかは重要なポイントです。
さらに、修繕計画や管理組合の議事録を見せてもらうことで、マンションの管理状況をより詳しく知ることができます。
マンションの大規模修繕が適切に行われているか、積立金の適正な確保が行われているかなどを確認しましょう。
また、マンションの規模は大きい方が安心です。
大規模マンションは住民数が多い分、小規模マンションと比較して修繕費の不足といった問題を抱える可能性が低い傾向があります。
立地が良い
築40年を超えるような中古マンションを購入する際は、「古さ」を許容できるほどの魅力ある物件を購入することが大切です。
そこで、もっとも重視したいポイントが立地条件です。
マンションを好む方は「利便性の高さ」「立地の良さ」を重視する傾向があるためです。
立地の良さについては下記のようなポイントから判断しましょう。
立地条件で確認したいポイント
- ● 交通利便性(都心部へのアクセスの良さ)
- ● 駅近か
- ● 駅からマンションまでの道のり(平坦であるか、人けがあるか)
- ● 生活利便性(買い物のしやすさ、街の賑わい)
- ● 窓からの眺望・採光(目の前の建物が景色を遮っていないか)
- ● マンション周辺の騒音(特に夜間)
- ● お子さんの通学路に危険はないか
特に、独身の方は立地を最優先されることをおすすめします。
なぜなら一般的に、単身者はファミリーに比べて短い期間で引っ越しされる方も多いためです。
転職や結婚、Uターンといった事情で引っ越す際、マンションが売れないと困りますよね。
ファミリーで住むマンションをお探しの方は、立地だけでなく、街の治安や通学路にも注意しましょう。
リフォーム・リノベーションが可能かを確認
ご自身でリノベーションを行いたい場合は、中古マンションの管理規約を確認し、改修可能な範囲を把握しておきましょう。
マンションの規約や構造によっては、リフォームやリノベーションの内容が制約されることがあります。
ユニットバスやシステムキッチンの取り換えなどは比較的容易に行うことができますが、窓やサッシなどは共用部に該当し、取り換えが制限されることが一般的です。
マンションの構造や排水管の位置によっては、水回りの移動が制限される場合もあります。
フルリノベーションを検討する場合、費用が1,000万円を超えるケースも一般的ですので、予算を超えてしまう可能性もあります。
そのため、中古マンションの契約前にリフォーム業者に見積もりを依頼するのもおすすめです。
これによって、具体的な費用や改修の制約などを把握し、予定外の負担や問題を回避できます。
リフォームを検討する際のポイント
- ● 管理規約を確認する
- ● 配線や配管を確認する
- ● 費用を確認する
リフォーム業者の選び方についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。
既存不適格建築物かを確認
建て替えを期待して築40年超の中古マンションを購入する場合、「既存不適格建築物」かどうかの確認が必須です。
法改正により現在の建築基準法や都市計画法に違反している物件を「既存不適格建築物」といいます。
着工当時は適法であったため、特例として違法建築とはせず、使用可能な状態にはなっています。
そのため、マンションが存在する限り、住み続けることは可能です。
しかし、マンションの増改築や建て替えの際は現在の法令に適合させなければなりません。
高さ制限などで建て替え前と同じ規模の物件が建てられない可能性もありますので注意が必要です。
5.築40年の中古マンション購入 後悔体験談
最後に、築40年前後の中古マンション購入で後悔した方のリアルな体験談をご紹介します。
築年数が経過した中古マンションならではの後悔ポイントを知り、購入検討にお役立ていただければ幸いです。
築年数のわりに外観も室内も痛みが少なく綺麗だったこと、夫婦それぞれの勤務地への交通の便が非常に良かったことが決めてとなり、購入を決定。
ところが、住み始めてすぐにマンション共用部の給排水管等に、築年数相当の傷みがあることがわかりました。戸数の少ないマンションであったため、補修のための修繕積立金の値上げや一時金の徴収などがあり、思いがけない出費となりました。
中古物件の場合は外見の雰囲気や綺麗さだけに気を取られず、見えないところにも注意を払うべきだったと思います。(50代女性)
近隣はマンション激戦区であり、ネットの新着で良い物件を見つけ不動産屋に電話すると、「2番手みたいです」「もう決まってしまいました」と言われ続け、早くしなくてはと焦っていました。結局、築40年で全リフォーム済み、立地も良く、私の実家にも夫の職場も近い中古マンションを購入することにしました。
失敗だったのは、良い面ばかりを見て、築年数を軽視していたこと。
契約して数年後に大規模修繕工事を予定していましたが、積立金が足りておらず、2年後に30万、3年後に50万を各家庭から出費する話が出ていると知りました。焦らずに、マンションの管理組合の帳簿を見せてもらい、今後の工事計画を把握していればと後悔しました。(30代女性)
購入当時ですでに築40年に達していたこともあって、内部があちこち劣化していました。中でも水周りの状態がひどく、特に風呂場の防水が切れて階下に水漏れを起こしてしまったのには参りました(火災保険で補修、賠償)。
購入前に不動産屋からリフォームしたほうが良いかもしれないと勧められましたが、約200万という金額に後退りし、よく考えれば住宅価格に上乗せしてローンを組めば何も問題なかったのに、何故かその時は断念してしまいました。おかげで今になって老朽化がさらにひどくなり、ローン金利が史上最低値であったことから「リフォームするなら今しかない」と、それまで払い続けてきた住宅ローンの借り換え時にリフォーム資金を上乗せするという形で、やっとリフォームが実現しました。ですが、65歳でローン完済する予定が10年延びてしまいました。(40代男性)
もともと新築分譲マンションを購入して5年住みましたが、実家の近くの方が何かと便利だったので、中古マンションを購入して住み替えました。内装はリフォームで新品同様に綺麗になりましたが、築35年の古いマンションのため、外観や窓、ベランダなど自分たちでリフォームできない箇所の古さが気になります。新品の箇所との差が気になるため、そのまま使う予定だったキッチンはリフォームの途中で結局フルリノベーションすることになりました。購入前に補修できる箇所とできない箇所をもっとしっかり把握しておくべきだったと思います。(30代女性)
6.まとめ
この記事では、築40年の中古マンション購入について、様々な角度から詳しくご紹介してきました。
築40年の中古マンションは価格面などのメリットがある一方で、古いマンションならではの注意点もあります。
今回ご紹介した内容を踏まえて、築40年の中古マンション選びは慎重に行ってください。
また、マンション価格が高騰している中で非常に重要なのが、高値掴みをしないことです。
周辺相場や過去の取引価格をもとに、適正価格であるかを判断しましょう。
中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?
- ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
- ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
- ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」
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