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住まいサーフィン編集部

【2025年最新】長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?補助金がもらえる要件を解説

2025年06月06日

更新日最終更新日:

長期優良住宅化リフォーム推進事業について、この記事で分かること

マイホームで安心・快適に暮らし続けるためには、定期的なメンテナンスやリフォームが欠かせません。
とくに築年数が経過した住宅にお住まいの方に知っておいていただきたいのが、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。
この制度を活用すれば、国からの補助金を受けながら自宅の性能向上リフォームが可能に。費用負担を抑えつつ、住まいの価値を高めることができます。

本記事では、長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要や補助金を受けるための要件、申請の流れなどをわかりやすく解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1.長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?目的や制度の特徴を解説

まずは、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について制度概要を確認していきましょう。

どんな制度?長期優良住宅化リフォームの基本情報

国土交通省の説明資料には、「良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う。」と記載されています。
参考:国土交通省「令和7年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料

つまりこの制度は、住宅の耐久性や快適性、省エネ性能を高めるリフォームや、子育てしやすい住環境を整えるための工事に対して、国が補助金を出すというものです。

ただし、この事業では全てのリフォームで補助金がもらえるわけではなく、住宅性能の向上を目的とする工事が主な対象となっています。
たとえば、「地震に備えて耐震性を高めたい」「冬の寒さを解消するために断熱性能を上げたい」といったお悩みに応えるリフォームであれば、補助金を活用できる可能性があります。

ここからは、長期優良住宅化リフォーム推進事業の利用条件や対象工事について詳しくご紹介します。

補助を受けるには?対象となる住宅・利用条件

長期優良住宅化リフォーム推進事業では、リフォームを行う既存の共同住宅、一戸建てのいずれもが補助金制度の対象となります。
そして、補助金をもらうためには4つの条件を満たす必要があります。

(1)住戸面積などの要件を満たすこと

住戸面積や居住環境について、以下の要件を満たす必要があります。

住戸面積の確保 少なくとも1の階の床面積(階段部分を除く)が40㎡以上、かつ、延べ面積が55㎡以上であること。
延べ面積の過半が住宅(リフォーム前後共)であること。
居住環境 地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、
これらの内容と調和が図られること。

(2)リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと

長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象となるためには、次のような認定基準を満たす必要があります。※事業のタイプによって、求められる基準が異なります。

事業タイプ 求められる住宅性能
認定長期優良住宅型 長期優良住宅(増改築)の認定を取得するための基準に適合
評価基準型 認定基準には満たないが、一定の性能確保が見込まれる水準
提案型 一般的な評価基準では評価できない性能向上工事について、
先導性・汎用性・独自性等の提案性が認められる場合に対象
(※事前採択タイプのみ)

「評価基準型」は、長期優良住宅の認定までは取得しないものの、一定の性能向上が見込まれるリフォームに対応しており、幅広い住宅で活用しやすいと考えられます。
一方で「認定長期優良住宅型」は、所管行政庁の認定を受ける必要があるため、より厳しい基準を満たす必要があります。

なお、「提案型」は標準的な評価が難しい先進的なリフォーム工事に対する特別枠であり、もともと個人の住宅リフォームを想定した制度ではありません。近年は応募件数自体がゼロ、またはごくわずかの年が続いています。

つづいて、性能項目等を紹介します。

性能項目 概要 要否
構造躯体等の劣化対策 木造…柱、床などの腐朽、蟻害の抑制
鉄骨造…鋼材の防錆措置
RC造…コンクリートの中性化対策
必須
耐震性 大地震でも倒壊しないよう耐震性の確保
省エネルギー対策 窓や壁、床、天井などの断熱化
給湯器などの高効率化
住戸面積の確保 一戸建て:55㎡または75㎡以上
共同住宅:1戸あたり40㎡以上
維持管理・更新の容易性 給排水管を点検・清掃・交換しやすくする 任意
高齢者等対策(共同住宅のみ) バリアフリー化
可変性(共同住宅のみ) 将来の間取り変更等に対応しやすくする

※認定長期優良住宅型を選択の場合、任意と書いてあるものも必須項目になります。

(3)インスペクションを実施すること

リフォームを行う前に、対象住宅のインスペクション(現況調査)を実施する必要があります。
このインスペクションにかかる費用も、補助金の対象となりますのでご安心ください。(限度額あり)

調査は、インスペクションの専門知識を持つ建築士(既存住宅状況調査技術者)が行います。ただし、やむを得ずこの技術者に依頼できない場合は、事前に実施支援室の承認を受けることで、他の建築士による調査も可能です。

インスペクションは、リフォーム工事の着手前1年以内に行う必要があります。

調査では、屋根やバルコニー、外壁、設備配管などに劣化事象がないかのチェックがなされ、現況検査チェックシートが作成されます。
調査の結果、劣化事象等の不具合が指摘された箇所については、下記いずれかの対応が求められます。

  • ● リフォーム工事に含めて改修
  • 維持保全計画に点検・補修等の対応方法と時期を明記

(4)リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること

インスペクションの結果、実施するリフォームの内容に基づき、リフォーム業者が資料を作成します。
リフォーム履歴と維持保全計画の作成費用も補助金の対象となります(限度額あり)。

どんなリフォームが対象?具体的な工事内容

次に、長期優良住宅化リフォーム推進事業で補助金の支給対象となるリフォーム内容を解説します。

主に対象となるのは、劣化対策や耐震性、省エネ対策など、性能向上を目的とした工事です。
特定の性能項目を一定の基準まで向上させる工事(特定性能向上工事)の具体例として、次のようなものがあります。

目的 工事の例
省エネルギー対策 断熱サッシの交換
高効率給湯器への交換
構造躯体等の劣化対策 床下の防腐・防蟻処理
ユニットバスの交換
耐震性対策 耐力壁の増設
屋根の軽量化
維持管理・更新の容易化 給水・排水管の更新

特定の性能項目の他に、次のような工事(その他性能向上工事)も補助金の対象となります。

目的 工事の例
バリアフリー改修工事 手すりの設置
床段差の解消
インスペクションで指摘を受けた箇所の補修工事 外壁の塗装
屋根の貼り替え
雨どいの交換
テレワーク環境整備改修工事 部屋を仕切る間仕切り壁
建具等の設置
環境設備のための配線工事
高齢期に備えた住まいへの改修工事 玄関のスペース拡大
未使用の部屋の別用途化

さらに、性能向上を目的とした工事以外にも補助金がもらえる場合があります。

性能向上工事以外の補助金対象工事 工事内容 工事例
三世代同居対応改修工事 キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設工事 リフォーム後にキッチン・浴室・トイレ・玄関のうち、
いずれか2つ以上が複数箇所あることと、
住戸内で行き来できることが必要
子育て世帯向け改修工事 若者・子育て世帯が実施する
子育てしやすい環境整備に資する改修工事
キッズスペースの設置
防犯カメラの設置
防災性・レジリエンス性の向上改修工事 自然災害に対応する改修工事 瓦の交換工事
止水板の設置工事
雨水利用タンクの設置工事

ただし、以下のような工事は長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象外です。

  • 単なる設備交換※
  • 間取り変更工事※
  • 内装工事
  • 意匠上の改修工事

※子育て世帯向け改修工事では対象となる場合もあります

補助金対象のリフォーム例として、ユニットバスを設置する場合をご紹介します。
ユニットバスを設置する場合、次の3パターンが補助対象となりえます。

  • 1.木造住宅の劣化対策工事として特定性能向上工事(浴槽を除いたユニットの側部分が補助対象)
  • 2.省エネルギー化としてその他性能向上工事(高断熱浴槽相当分が補助対象)
  • 3.浴室の増設として三世代同居対応改修工事(浴室全体が補助対象)

※1と2は両方適用できますが、3を同時に適用することはできません。

いくらもらえる?補助率と補助限度額の目安を解説

長期優良住宅化リフォーム推進事業では、住宅の性能をどこまで上げるかによって補助限度額が変わります。
補助額は以下の通りです。

補助率:1/3(補助対象リフォーム工事費等の合計の1/3の額を補助)

補助限度額:リフォーム後の住宅性能に応じ、2つの補助限度額が設定されています。

  リフォーム後の住宅性能 補助限度額
評価基準型 長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、
一定の性能向上が認められる場合
80万円/戸
(130万円/戸)
認定長期優良住宅型 長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合 160万円/戸
(210万円/戸)

※()内は三世代同居対応改修工事を実施する場合、子育て世帯向け改修工事を実施する場合、既存住宅を購入し改修工事を実施する場合

補足:住宅性能基準について

評価基準型…5つの性能項目のうち、劣化対策、耐震性、省エネルギー対策の3つについて評価基準に適合するもの(リフォーム前に基準を満たしている項目については、工事実施は必須ではない)

認定長期優良住宅型…5つ全ての性能項目の評価基準に適合し、所管行政庁から長期優良住宅(増改築)の認定を受けるもの

2.長期優良住宅化リフォーム推進事業の流れ

つづいては、長期優良住宅化リフォーム推進事業について、実際の手続きの流れを見ていきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業には、随時交付申請を受け付ける「通年申請タイプ」と事前に公募・採択を行った上で交付申請を受け付ける「事前採択タイプ」の2つが用意されています。

今回は、交付申請前の公募・採択手続きが不要で住宅毎に申請ができる「通年申請タイプ」の流れをご紹介します。

補助金申請には「事業者登録」が必要|登録スケジュールも確認しよう

長期優良住宅化リフォーム推進事業による補助金申請は、利用者個人ではなく施工業者から手続きを行います。
リフォーム業者及び買取再販業者は、毎年度「事業者登録」が必要です。

令和7年度(2025年度)の実施スケジュール(戸建て住宅の場合)は次のようになっています。

時期 手続き
令和7年 5月20日~11月28日 事業者登録の受付期間
5月30日~12月12日 住宅登録の受付期間
5月30日~9月30日 Ⅰ期 認定長期優良住宅型
交付申請期間
6月13日~9月30日 Ⅰ期 評価基準型
交付申請期間
Ⅰ期終了後~12月22日 Ⅱ期 交付申請期間
7月1日~令和8年2月20日 完了実績報告の受付期間

補助金交付までの流れとは?手続きの全体像をざっくり紹介

事業者登録が完了したら、リフォーム対象となる住宅の登録を行い、交付申請に進みます。
補助金が振り込まれるまでの基本的な流れは、以下の図をご覧ください。

>補助金受け取りまでのフロー

3.長期優良住宅化リフォームのQ&A|よくある質問と注意点

最後に、長期優良住宅化リフォーム推進事業についてよくある疑問点をご紹介します。

リフォームが2か年にまたがる場合でも補助は受けられる?

Q. 2か年にわたるリフォームでも、補助金を申請できますか?

全体設計承認申請書を提出し、国土交通省の承認を受けることで2か年度に渡って実施することが出来ます。
ただし、住宅性能基準によって対象外となる場合があります。

  戸建住宅 共同住宅
評価基準型 -
認定長期優良住宅型

※一戸建ては、長期優良住宅(増改築)の認定を受ける場合のみ対象となります。

他の補助金制度との併用はできる?対象外となる例も紹介

Q. 他の補助金事業との併用はできますか?

国が実施する他の補助制度とは、原則として併用できません。

ただし、地方公共団体(都道府県または市町村)が実施する補助制度で、その補助金に国費が含まれていない場合は、併用できることがあります。

ここでいう「併用」とは、同一の工事請負契約に基づく工事、または工事期間が重複する工事に対して、複数の補助制度を適用することを指します。つまり、工事請負契約が異なる別々の工事に対して、それぞれ別の補助制度を利用する場合は、「併用」には該当しません。

長期優良住宅として建てた家でも補助金を受けられる?

Q. 新築時に長期優良住宅の認定を受けている住宅をリフォームする場合、長期優良住宅化リフォーム推進事業を利用することはできますか。

性能向上工事については、補助金申請はできません。

三世代同居対応改修工事または子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性の向上工事と、それらに伴い必要なインスペクション、リフォーム住宅履歴情報の蓄積は、補助対象とすることができます。
※新築当初の認定の継続と、特定行政庁への長期優良住宅建築等計画の変更申請が必要

4.まとめ

本記事では、長期優良住宅化リフォーム推進事業の制度概要についてご説明しました。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住まいの安全性を上げたい方にはおすすめの補助金制度です。
ご自宅の耐震性や断熱性を向上させたい方は、制度を活用したリフォームを検討してみましょう。
長期優良住宅のメリットや注意点を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

長期優良住宅の魅力と注意点!知っておきたいポイント

長期優良住宅のメリット・デメリットについて解説していきます。

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