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住まいサーフィン編集部

個人事業主やフリーランスは住宅ローン審査が通らない?審査に通りやすくなる方法を解説!

2024年03月26日

更新日最終更新日:

マンションや戸建てなどの不動産を購入するとき、多くの人は住宅ローンを利用することになります。
住宅ローンは借入金額が高額のため、他のローンよりも審査が厳しいです。そして、会社員や公務員以外の方、つまり自営業・個人事業主・フリーランスの方は特に審査に通るのが難しくて、なかなか通らないと言われています。借り入れはできても、希望借入額よりもずっと少ない金額しか通らない、なんてこともあるようです。

個人事業主やフリーランスの方はなぜ審査に通るのが厳しいのでしょうか。

今回の記事では、個人事業主やフリーランスの方が住宅ローンに通らない理由と、少しでも通りやすくするためのポイントや注意点について解説します。

自営のお仕事をされていても何とかマイホームを手に入れたい!マイホームを諦めたくない!そんな方におすすめの記事となっています。是非ご一読ください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 自営業・個人事業主・フリーランスの違い

会社や官公庁へ所属せずに個人で働く人について、「自営業」「個人事業主」「フリーランス」など様々な呼び方があります。
それぞれどう違うのでしょうか。

厳密な定義は存在しませんが、一般的には下記イメージ図のようになっています。

自営業・個人事業主・フリーランスの違い

自営業とは、「自ら事業を営んでいる人」のことです。
法人を設立している方もいれば、法人は作らずに個人の事業や活動で収入を得ている方もいます。

個人事業主は、「個人で事業を営んでいる人」になります。
つまり、自営業の中に個人事業主は含まれます。

一方フリーランスとは、「企業や団体などに所属せずに、個人で自由に契約して仕事をする人」のことをいいます。
自営業や個人事業主とは違って、フリーランスとは働き方のことを言っています。

フリーランスの仕事はかなり幅広く、例えば以下のものが挙げられます。

  • ・ プログラマー
  • ・ デザイナー
  • ・ ライター
  • ・ 美容師
  • ・ フォトグラファー
  • ・ 翻訳家

総務省統計局が行った令和4年就業構造基本調査によると、本業がフリーランスの人は209万人でした。この結果からも分かるように、フリーランスで働いている人は少なくありません。また、副業でフリーランスをしている人もいます。

今回の記事での「フリーランス」とは、フリーランスを本業としている方のこととします。

2. なぜ、個人事業主やフリーランスは住宅ローン審査に通らないと言われるのか

一般的に、個人事業主やフリーランスの場合は住宅ローン審査に通りにくいと言われています。
全期間固定金利のフラット35は個人事業主やフリーランスの人でも審査に通りやすいですが、変動金利や期間選択型固定金利で借り入れしたいですよね。

住宅ローンが借りにくいと言われている理由について見ていきましょう。

審査におけるポイント

そもそも、住宅ローン審査においては何をチェックされるのでしょうか。
国土交通省の調査において、回答金融機関の50%以上が融資を行う際に考慮するものに選んだのは、以下の項目でした。

項目 金融機関の回答で多かった意見
完済時年齢 80歳未満
健康状態 団信加入が必要
借入時年齢 65歳未満
担保評価 担保が融資判断へ影響する
勤続年数 1年以上
連帯保証 系列の保証会社の保証が必要
返済負担率 40%以内
年収 150万円以上
金融機関の営業エリア エリア内に居住
国籍 日本国籍
融資可能額 100%以内
雇用形態 派遣社員は対象外
カードローン等の
他の債務の状況や返済履歴
他の債務や返済状況が融資判断へ影響する

参考:令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

雇用形態について、自営業者は対象外という回答をしたところは(回答機関1016社のうち)11社でした。

住宅ローン審査に通らない理由

先ほどの表の中でも、特に注目したいのは「年収」です。年収は、毎月の返済を問題なくできるのかを確認するためにも特に重視される項目と言えます。

住宅ローンはカードローンや車のローンよりも借入金額が多く、返済期間も長いです。
国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、平均返済期間は分譲集合住宅(マンション)が29.7年、分譲戸建てが32.7年でした。
これだけ長い期間返済を続けることになるので、住宅ローンを借りるためには、継続・安定して収入を得ることが必要となってきます。

会社員であれば、収入は比較的安定しているという方は多いでしょう。
もちろん業績や勤務状態などによって増減することはありますが、何事もなければ大幅に減るということは考えにくいです。

しかし、個人事業主やフリーランスの方については、収入が年によって大幅に異なる場合があります。
個人で行っている事業がうまくいかず収入が減ってしまうことや、契約が終了してしまい次の仕事が見つからないことなどが考えられます。

金融機関としても、「返済できなくなるかもしれない人」にはお金を貸したくないということです。そのため、個人事業主やフリーランスの方については審査が厳しくなってしまいます。

審査が厳しくなるというのは、必ずしもお金を貸してくれないというわけではありません。

  • ● 不承認(借り入れ不可)
  • ● 減額承認(希望金額よりも少ない金額を借り入れできる)

例えば5,000万円のマンションを購入するために、5,000万円の借り入れを申請するケースを考えます。
このとき、お金を貸すこと自体ができないという「不承認」もあれば、4,000万円までなら貸せるという「減額承認」もあります。減額承認であっても、足りない1,000万円を自己資金で用意すればマンションは購入可能です。

審査の基準は金融機関によって異なります。つまり、金融機関によって特に重視するポイントや考え方が違うということです。
A銀行とB銀行は不承認だったが、C銀行は5,000万円(満額承認)、D銀行は4,500万円(減額承認)ということも。

そのため、個人事業主やフリーランスの方は、多くの金融機関に審査申し込みをするようにしましょう。

3. 個人事業主・フリーランスの住宅ローン審査における注意点

次に、個人事業主やフリーランスの方が住宅ローン審査に申請する際の必要書類や注意点について解説します。

必要書類

住宅ローンの審査では、本人確認書類と収入関連書類、物件関連書類を提出する必要があります。
このうち収入関連書類について、会社員の場合は源泉徴収票と住民税決定通知書等を提出しますが、個人事業主やフリーランスの場合は下記を提出します。

  • ● 確定申告書の写し(付表を含めたすべての申告書・2~3年分)
  • ● 申告所得税納税証明書(1~3年分)
  • ● 事業税納税証明書(事業を営んでいる人のみ・1~3年分)

何年分の書類が必要なのかは金融機関によって異なりますが、基本的には3年分提出すると考えた方が良いでしょう。
会社員と違って、個人事業主やフリーランスの場合は前年分だけでなく直近3年分の収入を確認するのが一般的です。
その理由は前述のとおり、収入が会社員よりも大幅に増減しやすいからです。

年収ではなく所得が重視される

各書類の内容を審査するにあたって、金融機関が重視していると思われる点は以下の2つです。

  • 1 事業が黒字になっているか
  • 2 所得がいくらなのか

まず、事業が黒字であるかどうかが重要です。
1期分は黒字でも、その前年が赤字決算であれば住宅ローンは不承認となることも考えられます。
金融機関の信用を得るためには、継続して黒字であることが理想です。
ただし、必ずしも赤字があれば借り入れできないというわけではありません。

また、自営業の場合は収入よりも所得金額が重要といえます。

確定申告では、収入金額だけでなく経費についても申告をします。
経費が増えるとその分所得が少なくなるので、結果として税金は少なくなります。
事業に必要な費用であれば経費にできるケースが多いので、積極的に経費へ計上しているという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、住宅ローンをどれだけ借り入れできるのかどうかは、所得を基準として決めている金融機関が多いようです。
同じ年収であっても、自営業の人より会社員の方が多く借り入れができるケースはよくあります。

いくら借り入れできるのか

ここで、住宅ローンの借り入れ金額についてご説明します。

住宅ローンと収入の関係を表す指標には、「年収倍率」と「返済負担率」があります。

年収倍率とは、住宅ローンの借り入れた金額が年収の何倍なのかを示しています。
一方、返済負担率とは年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。

会社員であれば、上記2つは年収で計算をするのが一般的です。
しかし、自営業・個人事業主・フリーランスの方については所得で計算をしましょう。

年収倍率と返済負担率の計算式と平均についてもご紹介します。
ただし、下記の数値はあくまで全体の平均です。
比較的安定した収入の会社員や公務員と比べると、個人事業主やフリーランスの方は収入の安定性や信頼性は高くありません。
所得に対してどれだけ借り入れできるのかは個々の状況によって異なりますので、下記は参考情報としてご覧ください。

年収倍率

年収倍率の計算式は下記のとおりです。

  • 年収倍率=住宅ローン借入額÷年収(自営業等の場合は所得)

住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、2022年4月から2023年3月までの新築マンション購入者(フラット35利用者)の平均年収倍率はこのようになっています。

新築マンション

エリア 平均年収倍率
全国 7.2倍
首都圏 7.8倍
東海圏 6.4倍
近畿圏 7.3倍
その他地域 6.2倍

返済負担率

返済負担率の簡易計算式は下記のとおりです。

  • 返済負担率=年間の返済額合計÷年収(自営業等の場合は所得)

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2023年10月調査)」によると、2023年4月から9月までの住宅購入者(住宅ローン利用者)の返済負担率は、15%超20%以内の利用割合が最も多くなっていました。

また、金融機関の住宅ローン審査時の返済負担率は、25%~35%以内に設定されていることが多いです。

4. 個人事業主・フリーランスが住宅ローンを借り入れるためのポイント

個人事業主やフリーランスの方は、会社員や公務員の人に比べると住宅ローンは通りづらいです。
しかし、少しでも通りやすくするための方法があります。最後に、個人事業主やフリーランスの方が住宅ローンを借り入れるためのポイントを紹介します。

カードローンなど他のローンは完済する

住宅ローンの審査時には、カードローンや車のローンなど他の借入状況についても申告しなければなりません。
そして、その返済状況や残高を考慮した上で審査されます。

少しでも通りやすくするためにも、審査申請時には完済するか、借入開始までに完済する見込みであることが望ましいです。

また、事業用資金を借り入れている場合もそれを考慮された上で審査されることになります。
名目が何であろうと、お金を借りていて完済できていない時点で不利になってしまうということは念頭に置きましょう。

申告忘れや税金・保険料の未納は絶対にしないようにする

確定申告を毎年期限内に行うことはもちろんのこと、所得税や住民税などの各種税金や健康保険料等についても未納がないよう十分気を付けてください。
会社員であれば源泉徴収される方がほとんどなので支払い忘れはありませんが、個人事業主やフリーランスの方はすべてご自身で支払います。
うっかり支払い忘れて滞納していた、なんてことはないようにしましょう。

特定業種の個人事業主には個人事業税の納付義務もあるので、注意してください。

年金未納に注意

自営業・個人事業主・フリーランスの場合は、個人で国民年金を支払っていることでしょう。会社員の場合は、雇っている会社側が給与から厚生年金額を差し引くことがほとんどですが、自営の場合はそうもいきません。年金未納がローン審査に大きく影響する可能性は低いですが、リスクを最小限にするためには十分に気を付けましょう。

頭金を増やす

個人事業主やフリーランスの場合、住宅ローンの借り入れはできても借入希望額には届かないということもよくあるようです。
また、住宅ローンの金利や団信は金融機関によってさまざまです。
なるべく優遇された金利や条件で借り入れしたいですよね。

希望の金融機関での審査に少しでも通りやすくするためには、自己資金から頭金を多く出すようにしましょう。
借入希望額が少なくない方が、審査には通りやすいからです。
自己資金から出すのが難しい場合は、両親や祖父母に贈与してもらって「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」制度を利用するのも方法の一つです。

ぺアローンを検討する

家族で暮らす予定の方は、ぺアローンを組むという方法もあります。
ぺアローンとは、1つの物件に対して夫婦や親子などの2人がそれぞれ申し込む住宅ローンです。

ご自身が個人事業主やフリーランスでも、ぺアローンを組む人が会社員や公務員であれば、単独ローンよりも審査に通りやすいことがあります。

多くの金融機関に申請をする

審査には通りにくいからこそ、なるべく多くの金融機関に申請をしてください。
5社以上に事前審査申請することをおすすめします。

後述のフラット35であれば審査は通りやすいですが、今は変動金利が低いので、なるべく変動金利を選びたいという方が多いと思います。
しかし、低金利で団信が手厚いネット銀行は、普通の金融機関よりも審査が厳しいです。
そのため、ネット銀行以外の地域の金融機関やメガバンクにも審査申請をするようにしてください。
地域の金融機関とは、地方銀行や信用金庫のことです。
普段使用している銀行やご自身の仕事で取引している銀行があれば、まずは相談してみましょう。

なお、すべての金融機関が不承認という可能性もあり得ますし、審査も通常より時間がかかることがあるので、スケジュールに余裕を持って申請してください。

フリーランス向けの住宅ローンを利用する

2022年11月に、ソニー銀行はITフリーランス専用の住宅ローンを発表しました。
ITフリーランスとしての業績が3年以上あり、特定の人材ソリューションサイト等に登録することが申し込み条件となります。
新築住宅購入だけでなく、中古住宅や借り換えも対象です。

参考:新しい働き方を選択するお客さまを支援! INTLOOP株式会社との提携によるITフリーランス専用住宅ローン提供開始のお知らせ

このように、フリーランスや個人事業主の方に特化した住宅ローン商品が、今後新たにできるかもしれません。

フラット35であれば自営業の人も借りやすい

フラット35は、個人事業主やフリーランスの方でも審査が通りやすいです。というのも、フラット35の場合は職業や勤務先ではなく、前年の所得を重視した審査をするからです。
フラット35では、返済負担率が下記のように定められています。

年収(自営業等の場合は所得) 返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

また、開業してから1年経っていれば申し込みができるというのもフラット35の特徴になります。

フラット35については下記の記事でも解説しています。

長期固定住宅ローン金利「フラット35」をお得に借りる方法は?メリット・デメリットも解説!

2024/03/01

フラット35のメリット・デメリットやお得な金利で借りる方法、おすすめの金融機関や商品をお伝えします。

5.住宅ローン控除を利用するときの注意点

個人事業主やフリーランスの方の中には、自宅を事業所として兼用している人もいらっしゃると思います。
住宅ローン控除を利用するためには、「床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること」という要件を満たす必要があるので、注意してください。

6.まとめ

今回の記事では、個人事業主やフリーランスの方の住宅ローン審査について解説しました。
解説したポイントに気をつければ、自営業・個人事業主・フリーランスの方も戸建てやマンションを購入できる可能性はあります。

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