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住宅に求められる省エネ性能は、2025年4月以降は省エネ基準の義務化、2030年にはZEH水準の標準化、2050年にはLCCM住宅を目標とどんどん上がってきています。
LCCM住宅とはどんな住宅のことを言うのでしょうか?
今回はこのLCCM住宅について詳しく見ていきましょう。
1. LCCM住宅とは?
LCCM住宅の定義
LCCM住宅とは「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅」の略です。住宅性能を評価する基準の一つで、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、政府も普及を推進しています。
建設時、居住時、解体時とCO₂の排出をできるだけ抑え、また太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーや省エネ設備の利用などにより、ライフサイクルを通じてCO₂排出量の収支をマイナスにする住宅です。
具体的にはどのような取り組みが必要でしょうか?
- ● 建築に用いる建材の使用量を削減し、できるだけ廃棄する量を減らす
- ● CO₂が発生しにくい建材をなるべく使用する
- ● 現在海外からの輸入に頼っている建材をなるべく国産へと切り替える
- ● 省エネ性能、断熱等級の高い住宅
- ● 太陽光発電・蓄電池を用いた再生可能エネルギーの活用
- ● 長く居住できる環境を維持する
- ● リサイクル可能なものを再利用し、産業廃棄物を削減する
2. LCCM住宅の特徴
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)との違い
ZEHは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語です。
家で使うエネルギーと太陽光発電等で創るエネルギーの年間収支が実質ゼロになるような住宅です。
収支を0にするため、以下の2点により快適な環境を保ちながら省エネを実現しています。
- ● 住宅の断熱性能が高い
- ● 設備のエネルギー効率が高い
この点はLCCM住宅もZEHも変わりません。
(出展:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000153.html)
では、『LCCM住宅』と『ZEH』の住宅では何が違うのでしょうか?
LCCM住宅は運用時だけではなく、建築時・廃棄時にもCO2排出量にも配慮した住宅であるということです。
また、CO2排出量の数値をZEHでは実質ゼロを目指しますが、LCCM住宅では実質マイナスを目指します。
LCCM住宅がより「使うエネルギー」よりも「創るエネルギー」が多くなくてはならないという点です。
どちらも太陽光発電等で電気を賄う点は同じですが、LCCM住宅は「一次エネルギー消費量」の削減率がより厳しくなっているため、ZEHよりも一部高性能設備の搭載の検討が必要になります。
実際、ZEH住宅とLCCM住宅の性能基準は似ています。
異なる点は一次エネルギー消費量の削減率が「ZEHは20%以上削減」なのに対し、LCCM住宅は「25%以上削減」という点です。
区分 | 断熱性能 | 一次エネ消費量 | |
---|---|---|---|
再エネ除く | 再エネ含む | ||
ZEH住宅 | 断熱等級5 | 一次エネ等級6 (20%以上削減) |
100%以上 |
LCCM住宅 | 断熱等級5 | 一次エネ等級6 (25%以上削減) |
100%以上 |
LCCM住宅の要件を満たすためには太陽光発電の容量を増やす必要があります。
LCCM住宅認定基準
LCCM住宅の認定は一般社団法人住宅・建築SDGs推進センターが行っています。
認定ルートは2つあり、いずれかの基準を満たすこととなっています。
【対象】 | 新築・もしくは築3年以内の一戸建て専用住宅 |
---|---|
LCCM適合判定ルート | 日本サステナブル建築協会が開発した LCCM適合判定ツールにて「適合」である |
CASBB認証ルート | 「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)にて 環境効率ランクがSまたはAであり、 ライフサイクルCO2ランクが緑5つ星である |
(参考:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター https://www.ibecs.or.jp/rating/lccm.html)
3. LCCM住宅のメリット
LCCM住宅のメリットはZEH住宅とほとんど同じです。具体的にどんなことが挙げられるか見ていきましょう。
快適な生活
断熱性能が高く、家の中での温度差が少なく、一年を通して快適に過ごすことができます。
室内の温度差が少ないことで体へのストレスも減り、急な温度差が原因で起こりやすいヒートショックなどにもなりにくいと言われています。
光熱費の削減
高断熱化により、冬は暖かく、夏は涼しいを実現できるため、家自体の保温効果が高まり、家の中の温度を一定に保ちやすいです。そのため、冷暖房などの光熱費を抑えることができます。
また、LCCM住宅は『居住中』のエネルギー消費量がマイナスになることを目指します。LED電球やエコキュートなどの高効率給湯器などの省エネ設備の導入を行います。そのため、電気代やガス代の削減が見込まれます。
さらに、太陽光発電などにより生じた電気を自家消費することにより、日々の電気代を抑えることができます。
補助金制度の活用
省エネ基準適合住宅の購入や改修については国の補助金が利用できるというメリットがあります。
2025年に適用になる補助金になります。
子育てグリーン住宅支援事業
省エネ性能が高い新築住宅の取得や省エネ改修(リフォーム)を支援する事業です。
子育てグリーン支援事業の対象住宅と補助額は以下のとおりです。
対象世帯 | 対象住宅 | 補助額 | |
---|---|---|---|
すべての世帯 | GX志向型住宅 | 160万円/戸 | |
子育て世帯等※1 | 長期優良住宅 | 建て替え(古家の除却が伴う場合) | 100万円/戸 |
上記以外 | 80万円/戸 | ||
ZEH水準住宅※2 | 建て替え(古家の除却が伴う場合) | 60万円/戸 | |
上記以外 | 40万円/戸 |
※1 18歳未満の子を有する子育て世帯または夫婦いずれかが39歳以下の若者夫婦世帯
※2 断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6を満たすもの
政府が2025年に実施する住宅省エネ系補助金事業には、子育てグリーン住宅支援事業以外にも「先進的窓リノベ2025事業」「給湯省エネ2025事業」があります。
子育てグリーン支援事業などについては以下の記事で詳しく解説しています。
【2025年補助金】子育てグリーン住宅支援事業とは?補助金額や条件を解説!
「子育てグリーン住宅支援事業」の具体的な内容や、補助金を受け取るための条件について詳しく解説します。
4. LCCM住宅のデメリットと注意点
では、LCCM住宅のデメリットについても見ていきましょう。
初期コストが高くなる
LCCM住宅は高気密・高断熱の家を実現するため、以下のような高性能な設備が必要となります。そのため、通常の建築コストよりも高くなります。
- ● 太陽光発電
- ● 性能が高い断熱材、断熱性能が高い窓サッシや窓
- ● 高効率の住宅設備
屋根の形や間取りが制限される
CO2の排出量の収支を0以下にするため、太陽光発電量が多くなるように少しでも多くの太陽パネルが設置できる屋根の形状にすることがあります。そのため、屋根の形に制限が生まれたり、それにより間取りが制限されることがあります。
ハウスメーカー、工務店の選定
LCCM住宅を扱えるハウスメーカーや工務店は限られています。
ハウスメーカーや工務店を選ぶ際は、国産材を積極的に使っているか、LCCM住宅の要件を満たせす断熱性能や気密性能を達成できるのかなど確認する必要があります。
5.LCCM住宅を選ぶ理由
図のように、LCCM住宅は、現時点で低炭素社会に向けた住宅における最終目標として位置付けられています。
2025年4月から「省エネ基準適合」が義務化になります。そして、2030年には「ZEH」基準の省エネ性能の確保が目指されています。
「ZEH」標準化まで5年を切った今、これから住宅を建てることを検討するうえで「ZEH」基準は必ず超えておきたい基準となります。そして、さらにその上の目標となるのが「LCCM住宅」なのです。
性能値がある一定以上を求められる今、差別化を図るためにも「LCCM住宅」を検討してはいかがでしょうか?
LCCM住宅は、地球環境に優しい選択として注目されています。選ぶ理由は、単にエコロジーに貢献するだけではありません。LCCM住宅は、長期的な視点で家計にも優しいのです。エネルギー効率が高いため、光熱費の削減が期待でき、さらに住宅の資産価値を高めることができます。
また、LCCM住宅に住むことは、未来の世代に対する責任ある行動でもあります。持続可能な社会を築くために、今この選択をすることで、次世代により良い環境を引き継ぐことができます。さらに、LCCM住宅は快適な住環境を提供します。高断熱・高気密な設計により、季節を問わず快適な温度を保つことができ、健康的な生活をサポートします。
地球に優しく、家計にも優しいLCCM住宅は、未来を見据えた賢明な選択と言えるでしょう。
6.まとめ
今回の記事では、LCCM住宅について見てきました。
近年、政府は省エネ性能が高い住宅を推進しており、補助金や減税などが手厚くなっています。どんな家を買うか悩んでいる人は、今回ご紹介したLCCM住宅や長期優良住宅、ZEH水準住宅のような省エネ性能の高い住宅にも注目してみてください。
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