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住まいサーフィン編集部

これからの家づくりは付加断熱が鍵!注目すべきポイントを解説

2025年01月10日

更新日最終更新日:

これからの家づくりは付加断熱が鍵!注目すべきポイントを解説

近年は、省エネ住宅の推進により「断熱」という言葉を耳にすることが多くなってきました。

その中でも「付加断熱」はかなり高い断熱効果が期待できる方法として注目されています。

しかし「付加断熱ってどういうこと?」「断熱方法の種類が多くてよくわからない」とお考えの方もいらっしゃると思います。

本記事では、付加断熱のメリット・デメリットや他の断熱方法との違いについて詳しく解説します。断熱リフォームを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1.付加断熱の基礎知識

付加断熱については「具体的にどんな工法なのかわからない」という方も多いと思います。

この章では、付加断熱の基本的な知識や他の工法(充填断熱・外張り断熱)との違いについて解説します。

付加断熱とは

付加断熱とは

付加断熱は充填断熱と外張り断熱の両方を取り入れた断熱工法です。

充填断熱は住宅の内側に断熱材を設置する工法で、従来は主流となっていました。一方で、外張り断熱は住宅の外側に断熱材を設置する工法で、充填断熱よりも断熱効果が高い工法です。

これらを組み合わせた断熱工法が、付加断熱ということになります。施工業者によってはW断熱(ダブル断熱)とよばれることもあります。

付加断熱では、充填断熱をベースとし、さらに外張り断熱を付け加えるといった工法が一般的です。住宅の内側と外側の両方に断熱材を設置することで、二重の断熱層を作るといったイメージです。

旭化成ホームズ
(画像出典:旭化成ホームズ https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article007/index.html/)

充填断熱と外張り断熱の両方のメリットを享受できるので、断熱性・気密性の高い住宅をつくることができます!北海道などの寒冷地において取り入れられることも多い工法です。

なぜ付加断熱が注目されているの?

断熱等級

付加断熱が注目されるようになった理由の1つとしては、2022年に行われた断熱等級の更新が影響しています。

断熱等級とは、住宅の断熱性能を評価する基準です。1~7までの7段階に分かれており、数字が大きいほど断熱性能が高くなります。

現在では「断熱等級7」が最高基準です。2016年までは断熱等級4が最高値でしたが、2022年に断熱等級5・6・7が次々と制定されたのです。

2020年に政府の「カーボンニュートラル宣言※」がありました。温室効果ガスを減らすには住宅の省エネ化を早急に推進する必要があるため、断熱等級の更新が行われました。※2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること

こうした国の動きもあることから、今後は「断熱等級7」のような高い断熱基準に適した工法として、付加断熱を採用する住宅が増えることも考えられます。

断熱等級については、以下の記事で詳しく解説しています。

断熱等級7の家で暮らすとどうなる!?暑い部屋、寒い部屋対策をしよう

断熱等級7の住宅の基準やメリット・デメリット、断熱等級7に対応しているハウスメーカーについて解説します。

充填断熱(内断熱)とは

充填断熱工法(以下 充填断熱)とは、木造・鉄骨造の建物の内側に断熱材を設置する(充填する)断熱方法です。具体的には、壁の内側の柱と柱の間や、天井のすき間に断熱材を埋め込むような施工方法となります。

建物の内側から断熱するので「内断熱」とよばれることがありますが、正式には、木造・鉄骨造の場合は「充填断熱」、RC造の場合は「内断熱」といいます。

断熱材は主にグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材が使われます。これらの断熱材は安価でコストパフォーマンスが良いことが特徴です。そのため、日本の住宅には従来から充填断熱が用いられてきました。

充填断熱
(画像出典:断熱.com https://dannetsujyutaku.com/basic/knowledge/method)

一方、充填断熱のデメリットとしては、柱や梁などが熱橋(熱が伝わりやすい部分)となり断熱効果が落ちてしまうリスクがあることです。

熱橋

また、木材と断熱材の間に隙間ができやすいので、壁の内部に結露が発生する恐れがあります。結露ができてしまうと、住宅自体を腐らせてしまう要因にもなってしまいます。

外張り断熱(外断熱)とは

外張り断熱工法(以下 外張り断熱)は木造・鉄骨造の建物の外部に断熱材を取り付ける断熱方法のことをいいます。

具体的には、住宅の柱や梁などの外側から全体を丸ごと断熱材で覆って建物にベールを纏わせるような施工方法です。主に発泡プラスチック系の断熱材を使用することが多いです。

建物の外側から断熱するので「外断熱」とよばれることがありますが、正式には、木造・鉄骨造の場合は「外張り断熱」、RC造の場合は「外断熱」といいます。

外張り断熱
(画像出典:断熱.com https://dannetsujyutaku.com/basic/knowledge/method)

建物の全体を断熱材で覆うため、断熱材の切れ目がなくなり室内の気密性が高くなるという特徴があります。断熱性が高い工法のため、近年は取り入れる住宅も多くなりました。

一方で、断熱材のコストが高いこと・断熱材を厚くできないこと(重さで外壁などに影響があるため)などがデメリットとされています。

外張り断熱については以下の記事でも詳しく解説しています。

外張り断熱を選ぶメリットとは?充填断熱と比較して解説!

外張り断熱のメリット・デメリットや充填断熱との違い、費用相場を詳しく解説します。断熱リフォームを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

2.付加断熱のメリット

充填断熱や外張り断熱と比べると付加断熱は一般的な工法ではありませんが、付加断熱を選ぶメリットは何なのでしょうか?

付加断熱のメリットは次のとおりです。

  • 1.高い断熱性能
  • 2.充填断熱や外張り断熱のデメリットをカバーできる

メリット① 高い断熱性能

付加断熱の最も大きなメリットは、高い断熱性能です。

住宅の外側と内側の両方に断熱材を設置することで、熱損失(外に逃げてしまう熱)を最大限に防ぐことができます。

季節を問わず室内の温度を一定に保つことができるので、冷暖房の効率が向上します。エネルギー消費を抑えることができ、光熱費の削減にもつながります。

また、体感的にも快適性が向上するので、長い間にわたって健康的な暮らしを維持することができます!

メリット② 充填断熱や外張り断熱のデメリットをカバーできる

充填断熱と外張り断熱にはそれぞれにデメリットがありました。

付加断熱を用いることによって、これらのデメリットをカバーすることができます。

充填断熱のデメリット

  • ● 熱橋(熱が伝わりやすい部分)ができやすい
  • ● 壁内結露ができやすい
  • ● 上記の理由によって断熱効果が落ちる

外張り断熱のデメリット

  • ● 断熱材に厚みを出すのが難しい

充填断熱は「外張り断熱よりも断熱効果が劣る」という点が大きなデメリットですが、外張り断熱を付加することで断熱性能を向上させることが可能になります。

また、外張り断熱のデメリットである「断熱材の厚みの確保の難しさ」についても、内側から断熱材を充填することで解消できます。

どちらかの工法を単独で用いた場合に起こるデメリットをカバーできるという点は、付加断熱のメリットといえるでしょう。

3.付加断熱のデメリット

付加断熱のデメリットは次のとおりです。

  • 1.コストが高くなる
  • 2.施工できる業者が限られる

デメリット① コストが高くなる

付加断熱を採用すると、使用する断熱材や施工工程が増えるため、全体的なコストが高くなります。

しかし、一般的には外張り断熱よりコストを抑えることができるといわれています。充填断熱・外張り断熱・付加断熱のコストの比較は次のとおりです。

コストが安い順

  • 1.充填断熱
  • 2.付加断熱
  • 3.外張り断熱

(※ 材料の種類・住宅の築年数や面積・施工業者によって変わります)

「2つの工法を合わせた付加断熱の費用が最も高くなるのでは?」と思うかもしれませんが、付加断熱では「費用の安い充填断熱をベースとし、外張り断熱で補う」といった工法が一般的であるため、外張り断熱より安くなることが多いです。

充填断熱よりは初期コストがかかってしまうので、その点はデメリットといえるでしょう。

デメリット② 施工できる業者が限られる

付加断熱を採用している業者はそこまで多くありません。そのため、実績や知識のある業者に依頼することが重要です。

特に、外側の施工では長いビスで断熱パネルや外装材を止めることになります。施工品質が悪いと、断熱欠損だけではなく外壁が垂れ下がってしまったり雨漏りになってしまったりする恐れもあります。

4.付加断熱を採用しているハウスメーカー

実際に付加断熱を採用しているハウスメーカーの事例を紹介します。

一条工務店「外内ダブル断熱構法」

一条工務店の「外内ダブル断熱構法」では、家全体が魔法瓶で包まれたような高い断熱性と省エネ性を実現しています。

外内ダブル断熱構法
(画像出典:一条工務店 https://www.ichijo.co.jp/technology/element/insulation/)

外壁・天井・床には一般的なグラスウールの約2倍の断熱性を持つ高性能ウレタンフォームを採用しています。この高性能断熱材を、構造材の外側(50mm)と内側(140mm)にダブルで重ねることで断熱性が高くなります。

国が定める「次世代省エネルギー基準」と比較しても、2.5倍以上も熱を伝えにくい構造となっています。

熱を伝えにくい構造
(画像出典:一条工務店 https://www.ichijo.co.jp/technology/element/insulation/)

5.断熱リフォームにおける注意点

最後に、断熱リフォームを行う前の注意点や知っておくべきことを解説します。

断熱はトータルのバランスが大事

これまで付加断熱のメリット・デメリット、充填断熱や外張り断熱との比較について解説してきました。

どの断熱方法を選ぶにしても、部位ごとの断熱性能の差をなくしバランスの取れた住宅にすることが大切です。

具体的には、外壁・窓・屋根・床・天井などの1箇所だけではなく、それぞれの箇所で断熱性能を上げることが重要となります。

住宅の中で最も熱が逃げやすいのは、窓などの開口部といわれています。そのため、断熱箇所の優先順位としては窓が最も高いといえるでしょう。

住宅の断熱性能に悩んでいる方は、まず窓断熱のリフォームから検討することをおすすめします。

窓断熱についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

窓断熱の重要性と効果について解説!快適な住環境を手に入れる方法

窓断熱の重要性、自宅で簡単にできるDIYからリフォームの内容、補助金制度などについて詳しく解説します。

付加断熱リフォームで補助金が利用できる

付加断熱のリフォームは、30坪前後でも100万円以上の費用はかかるといわれています。(施工業者・施工内容による)

高額なリフォームになるため、補助金制度を上手に利用するようにしましょう。

付加断熱で利用できる補助金制度については、以下の記事で詳しく解説しています。(2025年度も補助金制度は継続予定です)

【2024年最新】既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは?

「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」について、制度概要や補助金の支給条件を解説します。

【2024年最新】次世代省エネ建材の実証支援事業とは?補助金がもらえる要件を解説

「次世代省エネ建材の実証支援事業」について、制度概要や補助金の支給条件をご紹介します。

6.まとめ

今回は、付加断熱について解説しました。

どの工法にもそれぞれメリット・デメリットがありますので、理解した上で断熱リフォームを進めるようにしましょう。

住んでいる地域の気候や住宅の築年数によっても、どのような断熱リフォームが適しているのかは変わってきます。施工業者などの専門家に事前に相談することをおすすめします!

また、断熱リフォームは高額となりますので補助金制度についても合わせて確認するようにしましょう。

省エネ住宅の重要度は理解できたし、今なら補助金ももらえる。いざ行動しよう!とした皆さんは、以下のように思われたのではないでしょうか?

  • 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
  • ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
  • ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
  • ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない

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