昨年は元日から大地震が発生し波瀾で始まった一年となったが、今年は今の所平穏無事な年の始まり。そんな2025年、不動産市場は一体どのように動くのであろうか?不動産市場に影響を与えるであろういくつかの観点から見てみよう。
人口減少と高齢化
日本の人口は2008年をピーク(約1億2808万人)に減少に転じ、昨年は約1億2488万人で300万人以上減少している。また高齢化においては、新聞記事などで見かける「2025年問題」がある。今年2025年は団塊の世代が全員、75歳以上の後期高齢者となることを指している。
2025年問題は医療や介護の先行きに対する不安を指すことが多いが、不動産市況の観点から見ると、高齢者が自宅を手放すことによる影響が気になる。高齢者の多いエリア、すなわち地方・郊外エリアの不動産は価格下落が懸念される。
新築住宅供給の減少
建設資材の高騰、職人の不足。そして建設業界の「働き方改革」に伴う労働時間の短縮。建築費に関しては、まったく下がる要素が見当たらない。そのような建築費高騰に加えて、好況感の薄さや先行き不透明もあり新設住宅着工戸数が低迷することが予想される。ただ、新築住宅供給の減少は中古市場の需要を押し上げる要因であり、特に需要の旺盛な都心部においては中古市場は堅調であろう。ただし、既に行きすぎた価格水準となっているエリアについては価格調整も十分考えられる。
インバウンド需要の回復
2024年、訪日外客数はコロナ禍前を完全に上回った。過去最高は2019年だったが、2024年11月時点ですでにそれを上回っている(約3338万人)。今年は円安や大阪万博の影響もあり4200万人を超えるとの予想もある。
これにより観光地界隈の商業用途不動産や宿泊事業に適したもの、付随してセカンドハウス需要が見込める不動産は価格上昇が予想される。ただ、インバウンド増大による価格上昇はエリア・種別ともに限定的であり、全ての不動産がインバウンド需要による恩恵にあずかれるわけではない。
"不動産格差"の拡大
他にも「マイナス金利解除による金利上昇」「空き家の増加」などの観点があるが、上記も含めて総じて言えるのが、そのどれもが既に以前から進行している問題であるということ。人口減少も高齢化も資材高騰等も去年一昨年に始まった話ではない。環境が変わらないということは、今後も過去のトレンドが続くとも考えられる。中でも都市部と地方の不動産価格の格差については今年も続くのではないだろうか。
現在、都心部では1平米100万を超える住宅が珍しくない中、地方では一住戸100万も珍しくない。人口減少と高齢化の影響は地方において大きく現れるため、今後もこのような格差は広がりこそすれ、格差が減少することは考えにくい。インバウンド需要による好転が見込めない地方不動産と都心部の不動産格差はさらに大きくなるだろう。