今月13日、株式会社リクルートから「SUUMO住み続けたい街ランキング2024 関西版」が発表された。大変意外な駅がランキングしていた。
この手のランキング、だいたいどれも同じようなもので「住みたい街・駅の常連」のような行政区・駅が上がってくる。一言でいうと変わり映えがしない。長く見続けることで世の中のトレンドを把握したり、急激に順位の上がった場所に何が起きたのかを調べる、といった利用をしている。
ところで、今年の「住み続けたい街」ランキング、とても異色な街(駅)が含まれていた。「急上昇」した街は、多くの場合注目される分譲マンションの供給があったりするのだが、どうにも理由がわからない。2022年の78位から2位にジャンプアップしたのは叡山電鉄「元田中」駅。なぜ「元田中」?
画像出典:SUUMO住民実感調査 ・SUUMO住み続けたい街ランキング2024 関西版/(株)リクルート調べ
「元田中」駅は、京阪電車の始発駅である「出町柳」駅から比叡山口、鞍馬を結ぶ観光路線の色合いが濃い叡山電鉄の駅。南方面は京都大学、北方面は「ラーメン街道」で有名な一乗寺、15分も歩けば家族連れやカップルで賑わう鴨川デルタ、糺の森で有名な下鴨神社。なかなか味わい深い街だ。清水寺や金閣寺、祇園や錦市場等の観光定番スポットと比べると観光客も少なく、住民が住み続けたいと思う気持ちはよく分かる。
しかし、この「元田中」、上位10駅の中では明らかに一駅だけ雰囲気が異なる。他の街は、阪急神戸線の特急停車駅である「岡本」「夙川」などの高級住宅街や、タワーマンションも多い「中崎町」「阿倍野」などの都心の駅。一方「元田中」はお世辞にも高級住宅街とはいえず、ファミリーから学生、お年寄りまでが住みやすい多様性に富んだ街。明らかに「元田中」だけが浮いている。
他にも、他の街が分譲マンションストックの多いエリアであるのに対し、「元田中」は分譲マンションがほとんどなかったり、「元田中」には大型ショッピングセンターがなく、あるのはコンビニや小規模なスーパーのみであったりと「住みたい街常連」とは違う。とても個性的な街。
このような街がランキングするのは、街を知ってもらう良いきっかけと思う反面、人気が出ると分譲マンションが供給され商業施設等も増えて、だんだんと個性が失われていくのではないかという懸念も感じる。
住みたい街上位の街は、憧れや人気のある街。ランキングを見て引越しをする人も多いかもしれない。しかし、住み続けたい街はそこに住む人の評価。住み続けたいと思う人の割合が多いということは、新規流入が少ないということも考えられる。元田中駅は住宅供給数も少なく、このパターンではないかと思われる。