首都圏の不動産価格が下落か?と目に止まった際に、少し心がざわつくニュースがあった。
不動産経済研究所から22日(2024年7月)に発表された「首都圏マンションが13.5%下落し平均7677万円になった」というニュースだ。少し前に「平均が億ションになった」と景気が良いというか手の届かないものになったというか、いずれにしても「価格上昇」がニュースになったばかりだ。
このニュースを受けて「今後マンションは下落相場に向かう」、さらに悲観的な人は「これが終わりの始まりだ」などと捉える人もいるだろうが、その考え方は正しくない。
確かにタイトルだけを見るとマンション大暴落とも見えるが、中身を見てほしい。これは2024年上半期の首都圏の「新築マンション」の一戸当たりの平均価格の前年同期比の数字。ポイントは新築マンションであるということ。
中古マンションの成約数をエリア別に比較した場合、年度によって極端に流通量が増減するとは考えられない。しかし新築マンションは年度によって分譲がないエリアも、当然ある。なので高額マンションが分譲、または割安なマンションが分譲されたか否かで平均価格は左右される。
しかも中古に比べて新築は成約戸数が少ない(首都圏の2023年中古成約数は約36,000件、新築マンションは約26,000戸)ため、さらに「高いマンションが出た/出ない」で数字は大きく変わる。
筆者は首都圏新築マンション市場には明るくないが、今回のこの数字も前年に高額マンションが多かった、もしくはこの上半期に割安なマンションが供給されたことが理由だと考えられる。
市場の相場を見るには、中古マンションの平均価格を見る方が確からしいといえる。また、「扇動的な見出し」に踊らされずに中身を見ることが大切だ。
*参考URL:
首都圏のマンション価格が13%下落 3年ぶり、平均は7677万円 24年上半期(産経新聞)