円安が続いている。9月14日はとうとう145円寸前まで進んだ。今年初頭は115円程度であったのが3月に120円、5月に130円を記録し、9月に入りとうとう140円を突破した。
115円が145円になるということは115÷145≒0.8。およそ半年で、一気に20%程度円の価値が下がったことになる。2021年初頭は105円程度だったので 105÷145≒0.72。約30%程度の下落。ドルから見れば半年で145÷115≒1.26、一年半で145÷105≒1.38。同じお金で日本のものが26%、38%余分に購入できるようになったわけだ。
これは不動産においても同じこと。ざっくりいえば、ついこの間まで1億円だったものが7000万円になったということ。ついつい財布の紐が緩んでしまい、甘いジャッジで購入する人も現れそうだ。
実際に外国人の日本買いは起きつつある。元々投資マーケットでは、東京や大阪は世界の他の主要都市と比べ利回りが高く、投資対象として機関投資家には注目されていた。しかし最近の激しい円安は、一般の外国人(といってもある程度の富裕層)の日本への投資が進むと考えられる。
さて外国人はどのような不動産を買うのか?
都心においては、一戸建てよりもマンションであることは想像に難くない。建物の状況や接道状況、再建築の可不可等の調査にスキルが必要とされる一戸建てに比べ、マンションは建物管理も管理会社で把握しており、道路関係も一戸建てに比べると比較的問題が少ない物件が多い。価格査定もしやすく、そして何より流動性が高い。言葉が通じず法律の理解も難しい外国人にとって、法的リスクが少なく価格が見極めやすいマンションは一戸建てよりも投資しやすい。
また、日本人からの評価が低いが海外の人には評価が高い立地の物件も、そのギャップから「いい場所なのに安い」と興味を持つ人が多いであろう。
例えば、駅から遠いが環境が良い物件。都心部において日本人は駅から遠い物件を敬遠しがち。バス便も然り。しかし海外、とりわけ欧米の人は徒歩分数はあまり気にしない。そもそも鉄道移動を想定していない人も多い。関西では芦屋や神戸の山手、駅から遠く坂道を登らなくてはいけないが、その先には豊かな自然環境や眺望等が手に入る立地は古くから外国人に好まれている。神戸北野(神戸市中央区)の異人館街が良い例だ。
「マンション>一戸建て」の図式は以前から既に日本人の不動産購入スタイルにも表れているし、「交通便より環境重視」もコロナ禍でその志向の人は増えた。
外国人による投資で日本の不動産価格は上がるのか?と言われれば一概にそうは言えない。しかし今後海外からの投資が増えるのは確実だ。不動産の価値は、中古市場で選んでもらえること。売買でも賃貸でも市場で選んでもらえるからこそ不動産はその価値を生み出す。
今までは、東京以外の都市ではあまり考えられなかった外国人ニーズ。これからは、エリアやスポットは限られるものの「外国人に受ける不動産」を狙うのもアリではないか。