朝日新聞デジタルに「若者が流出する神戸市~」という記事があった。福岡市と比較して、神戸市には元気がないと言った論調の記事だ。関西人としてはどうにも切ない感じだ。
確かに神戸市と福岡市の人口増減は対照的だ。2015年と2020年の国勢調査の数字を比較すると福岡市は74,680人で全20市中TOP。一方神戸市は▲10,250人で15位。これに関して記事中では「九州第一の都市で周辺から人口を吸収する福岡市と違い、神戸は大阪・京都という関西の3極構造のなかで、むしろ大阪に人口を吸収されている。」と書かれているが、他のエリアはどうであろうか?
確かに、九州一の大都市である福岡市に対して近接する北九州市は▲21,664人、関西最大の都市である大阪市が63,557人の増加に対して同じ関西圏の政令指定都市である京都市、堺市はそれぞれ▲10,293人、▲12,863人と人口を減らしている。
しかしそれなら東京近辺に人口減の政令指定都市があっても良さそうなものだが、川崎市、さいたま市、横浜市、相模原市、千葉市と首都圏の政令指定都市はすべて人口増。反対に浜松市、静岡市は共に人口減。「エリアの中心に人が流れる」傾向は否定しないが、福岡市が人口を伸ばしているのは単にエリア内の中心部にあるからではなく、住む街としての魅力に富んでいるから。逆に言えば神戸市はそのように捉えられていないとも言える。
オフィス仲介の不動産会社のコメントもまた対照的だ。「(福岡市内の)新築ビルの需要は底堅い」とする一方、神戸市は「新たに大規模なビルを建ててもフロアが埋まるか不安がある」。福岡市の発表によると福岡市天神地区では2026年までに約70棟のビルが建て替わる見込みとの事。住宅同様、オフィスについても神戸市は福岡市より元気がない。
しかし、神戸市に魅力がないかといえば決してそんなことはない。神戸市は横浜市と並ぶ港町。100年以上前から多くの外国人が暮らし、異人館や居留地、南京町、メリケンパークといった異国情緒あふれるスポットがある一方、六甲山、摩耶山といった気軽にドライブやハイキングが楽しめる山もある。
海あり山あり旧市街地ありニュータウンありの神戸市。自然環境の豊かさにおいては大阪市に勝る。またその中心部である三ノ宮界隈の開発もこれから活発になる。コロナ禍で郊外に注目する人が増えた今、プレゼンスを高めるチャンスだ。
(参考URL)
若者が流出する神戸市、福岡市に熱視線 人口と経済、なぜ差が出た?(朝日新聞デジタル)
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