田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第144号]コロナ禍で注目度アップ?大阪府箕面市

2021年05月28日

関西のお屋敷街の一つに箕面という街がある。大阪府の北部、北摂と呼ばれるエリアに位置する。広域エリアにおいては、吹田、豊中等の方が同じ北摂内において高級住宅街として有名だが、地元界隈や業界関係者にとってはそうではない。箕面は吹田・豊中にも勝るとも劣らない「お金持ちの街」だ。実際に市区町村別の比較では2位の豊中市、3位の吹田市を上回る大阪府下TOPの平均所得額を誇っている。(*)

住まいサーフィン」の人気コーナーの一つ「今、旬なマンションランキング」 の100戸未満のマンションでは2位(コスモ箕面アーバンフォルム)、3位(シエリア箕面船場)の2物件が「箕面」の名前を冠している。8位の(ディナスティ千里中央アスティオ)と(インプレスト千里中央)は物件名に「箕面」は入っていないが、箕面市内の物件なので10物件中4物件が箕面市内の物件というわけだ。

ランキングを見ていただくとすぐにわかるのだが、この4物件と他の6物件には大きな違いがある。それは交通利便性。箕面市以外の6物件が全て駅徒歩10分未満であるのに対して、箕面市の4物件はいちばんの駅近物件でも徒歩11分。次に近いのは18分。残る2つはバス便となる。お世辞にも交通利便性は高くない。箕面~大阪市内中心部の移動は、「新御堂筋」と呼ばれる幹線道路を利用すればほぼ信号無しで移動できるので、車通勤の高額所得者である企業の役職者や自営業者にとっては鉄道が使い難くても関係ない。しかし一般の給与所得者には、他の行政区と比べ不便と言える。

箕面市の人気の高さの秘密は交通利便性以外にある。それは自然環境の良さ。箕面市は市域の北側2/3が山間部であり「明治の森箕面国定公園」として保全されている。国定公園と聞いてピンとこなくても箕面の滝や箕面公園といえば聞き覚えがあるだろう。また、少し年配の方なら「箕面温泉スパーガーデン」のCMを覚えている人もいるに違いない。今は大江戸温泉物語として復活を遂げている。

山際に近く、古くは西国街道が横断する宿場町としての歴史がある箕面。大阪のベッドタウンとして往時の富裕層に好まれる町として発展し、今でも広い区画の高級住宅街が多く残っている。バブル崩壊以降は一戸建てよりもマンション、環境よりも利便性が重視され、環境重視のためにマンション開発の難易度が高かった箕面市は住宅街としてより大阪に近い吹田や豊中、JR線での移動が便利な茨木や高槻の後塵を拝していた感があった。それが今コロナ禍で自然環境重視のトレンドが復活。今回紹介したランキングで決めてしまうのは拙速かもしれないが、なんとなくそのような流れが考えられる。

 

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2021/05/28 01:27 現在
期間  30日間  エリア 大阪 北摂

(*) 大阪の平均所得ランキング(スマイティ)

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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