「ブランズタワー梅田North」が2020年1月末に竣工した。御堂筋線「中津」駅直結徒歩1分、地上50階建 総戸数653戸のタワーマンションだ。
このマンション、当初は売行きが芳しくなかった。グロス・単価共に安い低層階の住戸と最上階に近い特別仕様住戸は堅調だったが、それ以外は申込の入っていない住戸が目立っていた。販売が開始されたのは今から3年前の2017年7月。当時は「ここは梅田ではなく中津」「中津にしては高い」と言った評判を聞くことが多かった。
当時、大阪市内中心部のタワーマンションの価格は危険域に達していると見る向きが多かった。リーマンショックで大きく下がった新築マンション相場はその後徐々に上昇、大阪市内の新築マンション平均坪単価は2015年が200万円、2016年が218万円、2017年は234万円まで上昇した。234万といえば70平米でおよそ5,000万円だ。これ以上価格が上がると購入者がついていけないのではないかという不安が業界にも広がっていた。
他にも不安要素はあった。直近に先行して二本のタワーマンションが販売されていたことだ。2019年竣工のザ・ファインタワー梅田豊崎と2015年竣工のザ・セントラルマークタワー。それぞれ戸数は415戸、312戸。2棟合わせて727戸。本マンションのそこにほぼ同数の住戸が売りに出されるわけであるから「中津で購入する人がそれほどいるのか?」という疑問ももっともな話だ。
そのような理由で、販売時には売れ行きが心配されたわけだが、その後新築マンション相場は2018年250万円、2019年261万円と上がり幅は小さくなったものの上昇を続けだ。市内中心部ではさらなる高額物件も売り出され、結果「ブランズタワー梅田North」は相対的に安い物件となり、とうとう竣工月である1月に申し込み完売となった。
直上に3本のタワーマンションが建つ大阪メトロ「中津」駅。「梅田」駅の隣駅、といっても市内中心部の地下鉄駅の駅間距離は近く「梅田」駅まで徒歩7分の梅田徒歩圏だ。確かに、昔から梅田界隈を知る人にとっては「中津だから梅田よりもステイタスが落ちる」と感じるが、それはJR「大阪」駅北側の「グランフロント大阪オーナーズタワー」を「(大阪)駅の北側はちょっとイメージが落ちる」というようなもの。梅田徒歩圏と考えれば、当初から「安い物件」であったのかもしれない。
ことタワーマンションに関しては、住宅街に立つことが少なく、周辺環境よりも交通利便性を重視される場合が多い。そのあたりを踏まえて、本マンション(および周辺のタワーマンション2棟)を「中津ではなく梅田徒歩圏」と捉えて購入した人は先見の明があったと言えよう。
参考:マンションエンジン
https://www.manen.jp/market/27/01/0/