東証一部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」社長が土地売買に関する業務上横領の容疑で逮捕された。事件の舞台となった土地は大阪市阿倍野区の明浄学院高。あまり知名度の高い学校ではないので場所がわからないという方も多いと思う。さて、この明浄学院高校の所在地はマンション立地としてはどのような場所であったのだろうか?
明浄学院高校があるのは大阪市阿倍野区。「ミナミ」よりもさらに南の大阪市南部のハブであるJR環状線「天王寺」駅の南東1km強にある。学校でいえば、大阪府立天王寺高校や大阪教育大学附属高校天王寺校舎等にほど近い場所。
天王寺区・阿倍野区は他にも進学校が点在しており教育環境面での人気が高い。上記の2校以外では、大阪屈指の難関進学校である大阪星光学院、四天王寺中学校・高等学校はともに天王寺区(本件土地から直線距離2km程度)にある。公立小学校・中学校についても、大阪市内で一般的に人気の高いと言われている学校が集中する。具体的には真田山小学校、五条小学校(以上、天王寺区)、常盤小学校、晴明丘小学校(以上、阿倍野区)などだ。これらの小学校に通わせたいために引越しをする人も少なくない。
明浄学院高校のある場所で特筆すべきことは学校以外にもある。それは交通利便性の高さ。利用できる路線・駅が豊富にある。当学院の住所は「文の里」で最寄駅も大阪メトロ谷町線「文の里」駅(徒歩3分)なのだが、それ以外にもJR阪和線「美章園」駅(徒歩5分)、大阪メトロ御堂筋線「昭和町」駅(徒歩6分)、近鉄南大阪線「河堀口(こぼれぐち)」駅(徒歩11分)などが利用できる。歩くことを厭わなければ阪堺電気軌道「松虫」駅(徒歩16分)、JR大阪環状線「天王寺」駅(徒歩20分)、なども利用できる。6線利用可能だ。ここまで様々な路線が利用できるエリアはそう多くない。
各社路線に囲まれた文の里は、これだけ「駅近立地」であるにも関わらず住宅街。繁華街にはない落ち着いた街並みだ。各線「天王寺」駅から放射線状に伸びる各沿線の間(はざま)にあるといえばイメージがわきやすいと思う。教育環境がよく、交通利便でありながら住宅街。だがJR大阪環状線の外側に位置するため、内側にある土地よりも総じて価格が安い。分譲マンション用地としてマンションデベロッパーが欲しがるのは想像に難くない。
ところで本件で逮捕者のでたプレサンスコーポレーションは、2018年度事業主別供給戸数ランキングで三井不動産・三菱地所・野村不動産を抑え、住友不動産に続く全国2位。近畿圏では2位の日本エスリード(2401戸)を大きく引き離す4133戸の大量供給を誇る飛ぶ鳥を落とす勢いのマンションデベロッパーだ。
他の「財閥系デベロッパー」が都心でのタワーマンションを中心に供給戸数を伸ばしているのに対し、盤上のファミリーマンションが主で地方都市や郊外での実績が多い。特徴を活かして今のポジションまで上り詰めた企業だ。
そんな企業がこのような事態となったことは、関西の業界人としては大変残念な思いだ。既供給物件はもちろん契約済未引き渡し住戸も多く、今後の市況への影響が懸念される。