田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第94号]「まんぷく」の舞台、池田市ってどんな街?

2019年03月27日

〜「まんぷく」人気!?池田市物件が半数ランクイン 〜

NHKの朝ドラで3月末放送終了の「まんぷく」。チキンラーメンやカップヌードルで有名な日清食品の安藤百福の生涯をモチーフにしたドラマで、その舞台となったのは大阪府池田市。「インスタントラーメン発祥の地」としても(少なくとも関西では)有名な街だ。

そんなドラマ人気を反映してなのかどうかはわからないが、「住まいサーフィン」の人気コーナーのひとつ「今、旬なマンションランキング」で、「大阪 北摂エリア」の「100戸未満」「最近、マイページに登録された数が多い物件 (トップ10)」に池田市内の物件が半数を占めた。「プレサンスロジェ池田五月山(池田駅徒歩9分)」「ジークレフ池田石橋(石橋駅徒歩10分)」「ワコーレ池田ステーションフラッツ(池田駅徒歩4分)」「ユニハイムエクシア池田城南(池田駅徒歩6分)」「レ・ジェイド池田満寿美町(池田駅徒歩2分)」の5物件。

さて、この池田市という行政区、一体どのような街なのだろうか?


〜自然環境・歴史と文化、共に豊かな「老舗の住宅地」〜

池田市は、大阪府北部の西端、兵庫県との境に位置する人口約10万人の行政区。人気住宅地の一つである北摂エリアに属する。市域北部は山間部で西側には猪名川が流れる自然豊かな環境が特徴。北部にニュータウンや旧集落があるが、市街地の大半は市域の南部に集中。南向きのなだらかな緩斜面であり南東から北東の方角に阪急宝塚線が走り、市域にある鉄道の駅は阪急「池田」駅と「石橋」駅の2駅。JR宝塚線に「川西池田」駅があるが、こちらの所在は猪名川を越えた川西市となる。

自然豊かな環境だけでなく、平安時代からすでに集落が存在し酒造の町として栄えた歴史、また、その歴史から育まれた文化も池田市の魅力。その魅力が住宅地として人気につながる端緒となったのは箕面有馬電気軌道、現在の阪急電鉄による宅地開発だ。場所は「池田」駅にほど近い室町という場所。先に池田市は「インスタントラーメンの発祥の地」として有名だと書いたが不動産業界内では「日本初の分譲住宅地」がある街として語られることが多い。ちなみに阪急電鉄の登記簿上の本社所在地は、今でも池田市だ。


〜人気の秘密は起業家発祥の地だから??〜

そんな池田市の大阪府下におけるポジションはどのようなものか?つい先日発表された公示地価を調べてみた。「 土地価格相場が分かる土地代データ(https://tochidai.info/osaka/)」によると池田市の地価平均は43市町村の中で第4位。ダントツ1位の大阪市を除けば豊中市、吹田市に続く第3位と高い評価を受けている。

空き家率はどうか?こちらは「スマイティ(https://sumaity.com/town/ranking/osaka/vacant_house/)」の「大阪の空き家率ランキング」をみた。こちらは68市区町村の中で46位(13.7%)。地価平均で池田市を上回る豊中市・吹田市(それぞれ35位・34位、14.3%)よりも空き家率は低い。

JR沿線や複数路線利用可能エリアに人気が集中し、都心中心部の商業地の市況が活発である反面郊外の住宅地が元気がない昨今のトレンドから考えると、ニュータウンを抱えて鉄道路線は1本2駅しかない池田市のこの数値は検討していると言える。

ところで池田市には二つの記念館があるのをご存知だろうか。一つは「まんぷく」の安藤百福発明記念館、もう一つは宅地分譲だけでなく歌劇や百貨店などの事業を起こした小林一三の旧邸、小林一三記念館だ。二人とも池田市が産んだアイデアマンであり起業家。IT技術の進化や価値観の変化も相俟って新しいビジネスモデルが続々と誕生する昨今、「この変化の時代、二人にあやかって池田市で子育てを」といったニーズが地価を支えているのでは?等と考えるのは穿ち過ぎであろうか。


参考URL:今、旬なマンションランキング 大阪北摂エリア(2019/03/26時点)
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

Official Site:https://c-lab.co.jp/
YouTube:@clabkyoto
Twitter:@tanakahant
Instagram:@kazuhiko.tanaka