田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第88号]2018年〜(不動産寄りの?)ニュースで振り返る関西

2018年12月26日

2018年最後のコラムでは、バブルに始まった平成時代の最後の一年を不動産に関わるニュースを中心に簡単に振り返りたい。

3月
新名神高速道路の神戸JCT〜川西ICが開通し、高槻JCTまで全線開通した。これにより新名神高速道路/名神高速道路/中国自動車道のトライアングルが完成。高速道路網がまた便利になった。また同月に高槻JCTに近いJR京都線「総持寺」駅が開業。同駅周辺の住民にとっては一気に交通利便性が高まった。

4月
大阪市営地下鉄が民営化され大阪市高速電気軌道、通称「大阪メトロ」となった。当面は大きな変化はないが、いままでは制限されていた鉄道事業以外への進出も可能となり、今後は駅ナカ施設の充実が期待できる。ただ先日発表された駅舎改装のニュースは「ダサい」と市民には不評だが……。

6月
大阪府北部を震源として最大で震度6弱を観測する地震(大阪府北部地震)が発生した。この地震の被害で注目されたのがブロック塀倒壊による死亡事故。この事故以降、箕面市の「小中学校に設置されたブロック塀を全て撤去」を皮切りに各自治体による安全点検や撤去時の補助金交付等の施策が実施された。また、建物被害は瓦屋根の一戸建てに集中、今でも大阪府下/京都府下の被災家屋所有者等は屋根工事の工事費高騰/職人不足に苦しんでいる。

住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行された。「民泊を解禁」するための法律だが、全般的に利用件数は低調。多くの自治体が「上乗せ条例」等により独自書類の提出を求めるなどしているの理由。京都では、改正旅館業法により要件が緩和された「旅館・ホテル営業」が2017年より今年の法が増加するという逆転現象が起きている。

7月
西日本各地が豪雨に見舞われた。この豪雨は気象庁により平成30年7月豪雨と名付けられ、各地で観測史上最大の雨量を記録した。京阪神エリアではJR、阪急、阪神等の鉄道が相次いで運休。各地で避難指示や避難勧告が相次ぎ、とくに京都市内においては鴨川や桂川の氾濫の懸念から市内中心部でも避難勧告等が出された。

また同月は記録的な暑さにも見舞われ、京都市では観測史上最高気温1位タイ(39.8度)を記録した。

9月
「今世紀最強」とされる台風21号が四国、近畿を縦断。大阪府下の都市部を中心に大きな被害をもたらした。街路樹、大型看板、自動車等が飛ばされるなど想像を絶する風による被害だけでなく、湾岸部では多くのエリアが高潮で冠水、関西空港は高潮滑走路が閉鎖された上に連絡橋にタンカーが衝突し通行不能となった。

11月
2025年に大阪万博の開催が決定された。開催場所は大阪市湾岸部の夢洲(ゆめしま)。万博開催に伴い、大阪メトロ、京阪電鉄、阪急電車そしてJR等の開発計画も進る。スポーツイベントであるオリンピックに対し、万博は企業が中心となる催し物。これを目指して世界の企業や様々な技術等が大阪へとやってくる。景気浮上へと期待する向きも多い。

2018年の「今年の漢字」は「災」。地震、豪雨、猛暑、台風と自然災害のオンパレード、豪雨、猛暑、台風に到っては「今世紀最大級」。まさに「災」に見舞われた1年だった。今後の不動産市場においては今まで以上に「土地の災害履歴」や「建物の改修履歴・被災履歴」「耐震性」が重要視されることになるであろう。とくに建物についてはインスペクションの実施を推進することば国策でもある。

そんな関西であったが、最後には万博という明るいニュースが舞い込んだ。少し救われた気分だ。さて、来年2019年はどのような一年、そしてどんな元号になるのだろうか?

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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