田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第82号]「梅田」駅徒歩10分 未満の旧市街地立地 〜「プレミスト梅田」

2018年09月26日

【首都圏物件合わせてカテゴリートップの注目度】

「今、旬なマンションランキング」の「マイページ登録数」、エリア「すべて」すなわち全国の100〜199戸のマンションの1位が「プレミスト梅田」だった。関西のマンションがこのランキングでTOPになるのは、結構珍しい。この「プレミスト梅田」、さてどのような物件なのか?

「梅田」がマンション名に入る現在販売中/販売予定の物件はいくつかあるが、「ローレルタワー梅田ウエスト」「(仮称)グランドメゾン新梅田 タワープロジェクト」はいずれも最寄駅がJR「福島」駅、「ブランズタワー梅田 North」は阪急「梅田」駅徒歩7分だが最寄りは大阪メトロ御堂筋線「中津」駅だ。

一方この「プレミスト梅田」は最寄駅が阪急「梅田」駅(徒歩5分)。大阪メトロ御堂筋線「梅田」駅徒歩8分でJR「大阪」駅徒歩8分。阪急、地下鉄、JRそれぞれが徒歩10分未満で「梅田に住む」という感覚の立地だ。最寄駅は大阪メトロ谷町線「中崎町」駅(徒歩3分)だが、「福島最寄り」「中津最寄り」とは街の雰囲気が異なる。


【「うめきた」とは違った「梅田」】

阪急「梅田」駅をはさみ、この「プレミスト梅田」のちょうど反対側のエリアが第78号(https://www.sumai-surfin.com/columns/kansai-mansion-jijo/tanaka-20180725)でも紹介した「うめきた2期」エリア。このJR「大阪」駅北西側の「うめきた2期」エリアではタワーマンションの建設も予定されているが、両エリアはかなり雰囲気が違う。

「うめきた2期」エリアは、現在のグランフロント界隈のように全くの更地から造られる整備されたエリア。建物はもちろん、区画も道路も新設される。全く新しい街並みがそこに現れる。

それに対して「プレミスト梅田」界隈は、旧市街地。周辺には古い文化住宅や一戸建て等の古い街並みが残存するエリアだ。こう書くと「うめきた」エリアと比較して一段下のように見えるかもしれないがそんなことはない。どちらが好きかは嗜好の話だ。


【古き良き梅田の香りという差別化】

たしかに本物件周辺エリアは「パッとしない」場所だった。梅田徒歩圏でありながら開発が進んでおらず、阪急「梅田」駅から東進して新御堂筋を超えると「何もない」ような場所だった。その東側エリアがここ10年位で急激に変化。戦前戦後に建築された味わいのある建物は梅田駅徒歩圏であるにも関わらず賃料が低く、リノベーションブームの追い風もあって雑貨屋・カフェ・ギャラリーなどが相次いでテナントとして入居した。それらの店舗は、街区が整理されておらず路地の多い街並みと相性が良く、周辺はいまや「街歩きスポット」として定着、土日ともなると多くの人で溢れる。つい20年ほど前までの閑散とした感じは微塵もない。

「プレミスト梅田」は、阪急「梅田」駅から東に歩いて「梅田の繁華街」と「中崎町の街歩きスポット」のちょうど中間あたり。阪急「梅田」駅西側の「うめきた」界隈のマンションとは周辺環境が全く異なる。古くから梅田周辺を知る人間にとっては阪急線東側の雑多な雰囲気があるエリアが「梅田」で、「うめきた」周辺を含む西側は「大阪」というニュアンスだ。「うめきた」界隈に今後建築されるマンションが大規模超高層タワーであるのに対して、「プレミスト梅田」は16階建・17階建の100戸以下の2棟(58戸・75戸)からなる中規模板状マンションであるのも、またいい差別化要因となっている。

新しい開発された梅田もいいが古き良き梅田の香りがいいという人も多いであろう。「プレミスト梅田」は、「都心に住みたいが旧市街地に住みたい」というニーズに応えるポジショニングをとった物件といえる。


(参考:今、旬なマンション)
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php
2018/09/26 08:38 現在

 

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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